清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第102話)

第102話:「顔立ち」は変えられませんが、「顔つき」は変えられます。

 中学生の時以来、通学・通勤路に渋谷があります。ほぼ毎日の交通アクセスの拠点です。そして様々な人に出会います。特に土曜日ともなると、ビジネスパーソンの集団よりも、圧倒的に学生を含めた若者たちとすれ違います。最近はちょっと歩きにくくなったように思います。意識・無意識に関わらず、すれ違いざまに人とぶつかってしまいます。決して私の歩く速度は遅いほうではありません。逆に、それほど急いでどうする・・・の声が聞こえるような歩き方です。前が見えないからでもないのですが、どうやらスピードが違うようです。一群の若者たちが、ゆっくりと前をさえぎりながら歩いています。無目的的な歩みは、思考回路を瞬間的に停止したように見えます。

 今の時代に真剣に立ち向かおうとする、力に満ちた眼に出会わないのです。「顔つき」がゆるい。何となく風に吹かれているような顔つきが多いようです。何も毎日・毎時間難しい顔をしている必要はありません。しかし、思考の回路やその想いはどうやら顔に出るもの。端正な顔立ちながら、何となく茫洋としていると、茫洋とした顔つきになります。真剣に今と未来を考えていると、いかつい顔立ちでも未来志向的な顔つきになるもの。

 経営者の顔つきも同様です。ここ数年、企業の倫理観が問われるような出来事が多く表出しました。その都度、トップが打ち揃って頭を下げ「ご迷惑を掛けました」と言う。その言葉の空疎な響き。人が真剣に非を認め、謝るときの顔つきではないように思えることがあります。「顔立ち」は生まれ持ったもの。小顔が流行ろうが、そう易々と自分の顔立ちを変えることは出来ません。しかし「顔つき」は違います。その折々の自分自身の想いが表出されるものです。

 マーケティング・スタッフは、さまざまな商品やサービスを創出し市場(顧客)にその是非を問う立場にあります。その際に、商品の「顔立ち=見かけの良さ」ばかりに目をやっていないでしょうか。それ以上に、時代の風を受けながらも、堂々と凛とした姿をみせる、その時々の「顔つき=裏づけを持った良さ」を考えることが必要ではないかと、私は思います。(第103話に続きます)

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清野氏 法政大学 講義風景

株式会社マップス 代表取締役 清野 裕司

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