清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第147話)

第147話:目の前に広がるのは、今を写す「無言」社会でした。

 時に仕事の関係や家族と共にファミリーレストランに立ち寄ることがあります。仕事関係のメンバーとは、夜の7時過ぎの場合が多い。店内では、案外仕事帰りの人に出逢います。つい最近の体験では、その日の仕事を終えたビジネスパーソン4人が席を占有していました。ただ、静かな席です。会話が聞こえてきません。ドリンクバーの注文をしたのでしょうか、飲み物の入ったグラスの氷がとけている様子が目に入ります。特に目線をそちらの席にやっているわけではないのですが、何となく気になります。

 語り合うこともなく、静寂な4人席です。ただ、一人ひとりの眼だけがらんらんとしています。真剣な眼差しです。その行く先には両手でしっかりと握った小さなスマホのゲーム画面が見えます。

 人との会話よりも、画面との会話の方が大切なようです。時折、言葉にならない奇声が発せられます。どうやら、ゲームの中で予想外のことが起きたか、もしそれが勝負を競うモノであれば、自分が負けたのかと思えます。いずれにせよ、幼い子供の発する声にも似ています。昭和30年代に路地裏で遊んでいた10歳前後の自分の姿がだぶってきます。ただ違うのは、今私の眼の前にいるのは、どう見ても年齢は大人です。そして心は子どものままです。

 仕事帰りに、その日の成果を語り合い、愚痴を言い合い、励まし合い・・・、明日は今日よりきっと良くなると、ほろ酔いの足で家路についていた多くの若きサラリーマン。その光景がいつの間にか薄れてきてしまった社会。サラリーマンをビジネスパーソンと言い換えたところで、同種の人種と心得ていたのが、どうやら異なるようです。

 他者との深い縁を求めようとしない「無縁社会」が言われる今、私の眼前に広がるのは「無言社会」の光景です。そこに「ヒト」が居ないのが、何とも空しいと思う空間です。

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 2016年11月の九州生産性本部での授業風景
株式会社マップス 
代表取締役 清野 裕司

当ブログの寄稿記事を元に加筆編集しました新書が出ましたので是非お読みください。

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「清野裕司のマーケティング考 風を聴く」

今、経営に新たな思考力が求められています。市場にはどのような風が吹いているのでしょうか。風の音に耳を澄ませていると、次代に向けた風の通り道から、マーケティング思考で未来への道標が浮かんでくるかもしれません。それはまた、自分の心に吹く風の音を聴くことにも繋がるのではないか考えました。

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清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第146話)

第146話:同類の中の「差異性」とは何かを考えてしまいます。

 小学生の教科書にも掲載された「世界に一つだけの花」の歌詞に、“No.1にならなくてもいい。もともと特別なOnly one。♪”の一節があります。相対的な価値観よりも、絶対的な価値観。無益な競争よりも独自の生き方をつくりだすという、現在の「ものを見る選択尺度」を言っているようにも聞こえます。

 かつてよりマーケティングは、競争環境の中で自らの「差別的優位性」をいかにつくり出すかの重要性を言ってきました。顧客の選択基準に合致しなければ、たとえ店頭に多く商品を並べても、類似商品から一つに絞られることは至難です。コンビニエンスストアに行っても、お茶や菓子類にいたっては、どれも皆同じ商品に見えて特段の違いを感じることがありません。一つのことが受け容れられると知るや、こぞって横並びの商品が誕生してきます。チョコレートのポリフェノール効果が注目されると、一気にチョコレートの種類が増え、茶カテキンが注目されると、健康茶が横並びに。「差異」はどこにあるのかと迷ってしまいます。

 私のオフィスは麹町駅の側にあります。地域内には多くのオフィスが立ち並び、その影響でしょうか、ビジネスパーソンを対象にしたコーヒーショップが林立しています。徒歩1分圏内に「ドトールコーヒーショップ」「カフェベローチェ」。2分圏内に「スターバックス」「エクセルシオールカフェ」「カフェ・プロント」「タリーズ」。「クロワッサンカフェ」も徒歩圏内です。それぞれの店舗が、我こそが王道の「コーヒーショップ」であるかのごとき存在感を示そうとしています。

 林立するコーヒーショップの差別的優位性はどこにあるのでしょうか。「空間的ゆとり」「人的サービス」「メニューの豊富さ」「立地(便宜性)の良さ」「商品提供の仕方」「価格の適正さ」「支払いの容易さ」・・・思えば多岐にわたります。しかし、外延的なものにいかなる差をもってしても、コーヒーの味という原点の差は動かしようがありません。であれば、「差異性」とは何をもって言うべきでしょうか。どうやら各店(社)が発信する差異は、顧客の味覚の嗜好的優位性にあるようにも見えてきてしまいます。(第147話に続く)

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清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第145話)

第145話:音から広がる「想像力」も創造のきっかけになります。

 3ヶ月を一つの区切りにして、テレビのドラマが幾つか変わっていきます。自分自身はそれ程テレビのドラマは見ることもなく、いつの頃からか、テレビを見るのはニュース番組が中心で、それ以外を視聴することのない生活習慣が身についてしまいました。仕事柄もありますがCMは良く見るのですが、他の番組となると目を凝らして見入ることがありません。テレビから流れる喧騒を離れて、活字に眼をやっています。しかしオフィスでは、映像を見ることよりもFM放送から流れる音楽やニュースが自然と耳に入ってきます。

 その昔、昭和30年代の頃、一日の始まりは映像ではなく「音」であったように思います。牛乳ビンがぶつかる音、母がガタガタと立て付けの悪くなった雨戸を開ける音。そして、ラジオから流れる音楽や時報を聴きながら朝の身支度をしていたように記憶しています。帰宅して夕刻になれば、子ども向けのラジオドラマが始まりました。女性の銭湯が、がらがらになったという「君の名は」というドラマも、ラジオの番組です。そこには映像の情報はありません。音声だけの情報です。

 映像がないので、聴取した内容から自分なりの想像が広がっていきます。ヒーローも原作は漫画で、後になって映画にもなったものがあります。映画より前に、胸躍らせて動画を描いたのは自分の想像力です。状況の解説と台詞だけですが、それでも周囲の情景は自分の脳裡に鮮やかに描かれていたものです。翌日学校に行けば、そのラジオドラマの話が弾みます。10人いれば10人のヒーローが活躍していました。想像の世界のぶつかりあいがあったのです。

 時流れて今や、情報はその殆どが映像です。想像の世界を遮断しているようにも感じることがあります。一人ひとりが勝手に想いを広げることよりも、これこそが真といったスタイルが見えてきます。これほど映像が当たり前になってくると、「想像力」を「創造力」に繋ぐメディアとして、ラジオの役割も今一度見直す必要があるように思えてきます。(第146話に続きます)

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清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第144話)

第144話:今の時代。「くらしの十戒」はどう考えるべきでしょうか。

 暑さを実感するようになると夏休みの季節が浮かび、子どもたちのにぎやかな声が、セミの泣き声と共に聞こえてくる風景が思い出されます。しかし今、休日に自宅にいても、殆ど子どものはしゃいだ声は聞こえてきません。少子化が叫ばれて久しいのですが、かと言いつつも近隣に子どもの姿は散見されます。

 最近はテレビのニュースや新聞紙上に子どもたちのことが多く取り上げられます。しかも、明るい話ではありません。幼児虐待や児童監禁といった、何ともやりきれなくなるような漢字の中に、その主人公として登場してくるのです。「子どもらしく・・・」「子どもだから・・・」といった前提が成り立たない様子です。何が問題なのか、社会的な背景は何なのかと、多くの意見が発信されます。そのどれを聞いても、ある場面で「したり」と思うものはあるのですが、一人ひとりの大人が、わが身を振り返る必要があるのではないかとも思います。

 その昔、「十戒」を映画で見て鮮烈な印象が今も残っています。モーゼがシナイ山で神から啓示を受ける。「あなたはわたしのほかに、何ものも神としてはならない。」に始まる10の掟(『旧約聖書』出エジプト記 第20章)。

 その中に、「あなたの父と母を敬え。」「あなたは殺してはならない。」「あなたは姦淫してはならない。」「あなたは盗んではならない。」「あなたは隣人について、偽証してはならない。」「あなたは隣人の家をむさぼってはならない。」があります。それぞれに時を超えた真理を感じます。心に刻まれた言葉は、いつか暮らしの中の態度や行動に現れます。

 今の社会の十戒は、どのように刻まれているのでしょうか。そんな想いが広がる夏のひと時です。(第145話に続きます)

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清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第143話)

第143話:状況を説明するには、実感を伴った「感字」の力も活用できる。

 ここ数年の夏は例年暑さが厳しい。そのような様子を表現するには、どのような言葉が似合うのでしょうか。既定の熟語では当てはまらない気がします。その時の想いを言い当てるならば、その時に浮かんでくる文字で表現するしかありません。幾つかを思いつくままに・・・。

 「酷暑連々」「湿潤飽和」「発汗辟易」「麦酒礼賛」「身体倦怠」「動作緩慢」「冷菓想起」「冷茶暴飲」「胃腸痛感」「早朝颯爽」「夕刻脱力」・・・さしたる重みも無い文字の羅列ですが、何となくそうか、と感じることはないでしょうか。

 更に暦の上では秋を告げる9月に入ってからも変わらぬ陽気で、夏の尻尾をひきずったままであれば、「残暑延々」「涼風恋慕」「秋日炎天」「疲労延伸」「回復遅延」「四季喪失」・・・等々が浮かびます。

 例年、その年の漢字一文字が年末に京都の清水寺で披瀝されます。漢字一文字から、そのときの様相が浮かび上がってくるといった経験をした人もいるでしょう。子どもの頃に何度も間違えて書いてしまい、今もなお間違ったままで覚えている漢字もあると思います。まさに個人的な想いがそのまま文字になった感字です。

 漢字はカタチ・意味・音とさまざまな要素を源として今に生きています。そこには、単なる音としての記号を超えた意味を持ち、コミュニケーションに力を与えています。ひらがなで記述すると平易な印象を与えはしますが、かといってその言葉の裏側にある書いた人の心までは言い表わしていないもの。文字そのものの誤記はほめられませんが、正確な文字で自分の心を表現してみると、語呂合わせではない本当の意味がわかってきます。

 マーケティングも「市場論」と置き換わった途端に、何やら古典的学問に出会ったような気分になってしまいます。(第144話に続きます)

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