清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第75話)

 

第75話:感じたままに書かれた文章には、発信者の想いが溢れます。

 ビジネスのさまざまな場面で「提案力」「企画力」を良く聞きます。従来からも、企画することの重要性は唱えられてきました。現在の経営環境にあっては、従来にはない新しい発想が待たれています。

 提案することは、まだ知られていないこと、思いついていないことを「気づかせる」ことから始まるもの。既に分かっていることを改めて言われても、さしたる驚きもなく、「言われるまでもないこと」と無表情な答えが返ってくるでしょう。「気づき」を提示することは、聞く側にとっての感動を演出することに繋がります。そこに企画提示の楽しさ、面白さがあります。何も知ったかぶりをして告げることではありません。新しい見方や考え方を提示することです。マーケティング・スタッフに求められるのは、自分自身の「気づき力」です。

「世の中にある現象や事実に対して、自らが先ず疑問符を投げかけて考えてみる。なぜこのようなことが起きるのか、なぜ今、このような商品や店が受け入れられるのか・・・」幾つもの疑問を自分自身に投げかけてみる。何がしかの解釈が浮かんでくる。それからが問題です。書き残しておかなければ、自分の気づきがどこかに飛んでいってしまいます。忘れてしまうのです。

 折角思いついたのに、あの考えは何だったか。後になって思い出します。そして企画書に自分の想いを書き込もうとすると「作文」になってしまいます。抽象的な文章が並び、現象や事象は丁寧に説明しているのですが、感動を呼びません。心が揺れないのです。作り込まれた文章は、説明的です。必要なことは、自分が感じたことをそのままに表現する「感文」です。美しいものを「美しい」と書き込む力。感じたものがそのままに表現されることが、人への気づきを提供します。

 マーケティングは、未来を予見し、まだ見ぬ世界を描き出すビジネス・アプローチ。作り込まれた「作文」よりも、自分自身の感じた心から発信された「感文」にこそ夢の説明力が内在しているのです。(第76話に続きます)

 

清野氏 法政大学 講義

株式会社マップス 代表取締役 清野 裕司

Eメール: maps@mapscom.co.jp

URL: http://www.mapscom.co.jp

 

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