エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第101話)

第101話:今年と来年の政府の働きで2020年以降の日本が決まる

 もし社会保障改革が現内閣で上手く進むとしたら、どういう将来が見渡せるのか、考えてみたい。

 再来年の2019年10月には消費税の引き上げが予定されており、引き上げが行われれば、おそらく景気は一時的に後退するだろう。1989年の時のようにバブルになっていれば話は別だが、バブルが発生すると、その後の崩壊が問題になる。つまり、今年と来年が、日本経済にとってのボーナス期の可能性がある。

 更に、現在の安倍政権の政権基盤は磐石である。このように、政権基盤が安定している時ではないと、痛みを伴う改革は断行できないため、ある意味、社会保障改革を実施するための最大のチャンスが訪れているとも考えられる。

 2020年のオリンピックの後には、日本の経済成長にブレーキがかかることが予想される。そのため、それ以降の日本の成長に道筋をつけるためにも、今のうちに社会保障改革を実行することが必須となっており、更には成長戦略で息の長い成長を促す手立てを打っておくことが必要である。

 つまり、2020年以降の日本の進む道が、今年と来年の2年にかかっていると言っても過言ではない。

 2020年以降の日本を占う意味で、社会保障改革と並んで重要なのが、アベノミクス第三の矢である成長戦略である。

 アベノミクスの成長戦略には大きく分けると、「稼ぐ力を取り戻す」「担い手を生み出す」「岩盤規制の改革」「その他」という、4本の柱が掲げられてきた。

 そのうち「稼ぐ力を取り戻す」に関しては、それなりに進んでおり、すでに成果も出ている。例えば、法人税率も20%台まで下がり、コーポレートガバナンスコードも進んでいる。

 また、政労使会議は定期的に実施され、賃上げに関しては2016年まで3年連続で成果が上がっている。公的年金の運用方針見直しも既に実施されている。

 「その他」の観光に関しても進んでおり、2016年は日本を訪れる海外位観光客数が2400万人を突破した。この調子で推移すれば、政府が掲げている「2020年に訪日外国人客数4000万人」という目標は微妙だが、3000万人は余裕でクリアできる可能性がある。

 しかし残念ながら、これら以外に関しては、成長戦略はまだまだ全然進んでいないと言わざるを得ない。今後は、雇用、医療・介護、農業といった三大岩盤規制にどの程度発破をかけられるかがカギを握ろう。また日本の発展のために、将来的には移民の受け入れ議論も避けては通れないだろう。(第102話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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