清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第98話)

第98話:「大人顔の子ども」に多く出逢うようになりました。

 毎年のように、その時々を賑わすヒット商品が誕生します。短命のものもあれば、社会的に常態化していつの間にやら定番化するものもあります。一時的な風に敏感に反応するのは、好奇心旺盛な子どもであることが多いもの。世情の理(ことわり)を知ってしまった大人にとってみれば「たわいない」ものでも、子どもの眼には新鮮に映るものがあります。

 何事にも旺盛な好奇心を発揮して、新しいものを生み出そうとする活力を見せることは、大人になった途端に忘れ去ってしまう感性かも知れません。しかもその活力が、社会的な新しい動きを生み出そうとするエネルギーに転換されるなら、その活力に期待がもてます。

 しかし、最近の子どもの活力はどうも違うところで発揮されてしまっているように感じることがあります。なぜか訳知り顔をした子どもがいます。無邪気に飛び跳ねることもなく、好奇心を発揮して未知なる世界に飛び出そうとせぬままに老成の境地に至ってしまったような顔。「なんでだろ~なんでだろ~」と繰り返す歌もありましたが、そのような疑問詞が聞こえてこない社会になっているように感じさせます。

 「子ども心を持った大人」は愛嬌があるもの。分かった振りをしない。素直に不思議と思う心をぶつけてくるからです。その逆はどうにも性質が悪いものです。したり顔で世の中を見ようとする。人と人との関わりに、それ程の経験を持たぬが故に、自分の行動を善として動こうとする。横柄なのです。我が物顔で街を闊歩する。しかも体つきが、栄養のバランスが良いのでしょう、大きいのです。世の理を伝えようとしても、聞こうとしない。横着なのです。

 「身体だけが大人になってしまった子ども」。体格の成長と、思考力の生育とのアンバランスがあるようです。

 市場を細分化してみる際の尺度も、どうやら年齢によるものだけではすまなくなってきています。大人と子どもの、マインド面でのインデックスが必要な時代の風を感じます。(第99話に続きます)

法政2015年最終講義:2015.12.21

清野氏 法政大学 講義

株式会社マップス 代表取締役 清野 裕司

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