清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第164話)

第164話:ビジネスパーソンは、今いる「場」を知ることが大切です。

 ビジネスの世界に身を置いていると、実にさまざまな人に出会います。発想豊かな人。発想は旧来型で面白みは何も無いのですが、いざ行動するとなると素早さを見せる人。アイデアも行動力もさしたることは無いけれども、決められたことを地道に実行するとなると、ルールにのっとって大過なくやり過ごすことの出来る人。多士済々です。

 ビジネスの世界では、その誰かが欠けても、ある一つの道筋がつくりにくいといったことがあります。また逆に、あの人は別にいなくても、他の誰も困ることはない、といった存在の人もいるもの。なぜ、あの人がこのメンバー(部門)に存在しているのだろう、と疑問に感じるような人もいます。

 これが、それぞれ個人の生活となるとさらに様々です。ビジネスの空間では活かされるキャラクターも、日常生活になると全く正反対の性格を見せる人がいます。ビジネスでは行動力溢れる人も、一歩離れると全くといって良いほど動きの鈍い人。その逆にもであいます。ビジネスの中にあっては動きが鈍い人が、いざ自分の家庭や家族のことになると、疾風怒濤の行動力を発揮する。

 そのような人が、お互いの生活観や人生観の話をし始めると、全く話の筋が通じなくなってしまいます。何故わからないのだろう?と疑問に思いつつ、これ以上議論しても止む無しと、何となく合意すること無いままに自分の思いのたけを一方的に話をして終わってしまうことが多いようです。

 どうやら、自分の立っている「場」がお互いに違うようです。立っている場とは、自分が見ている世界でもあります。職場にあっては、共通のビジネス目標を提示され、それに向かって自らの能力や個性を発揮していく「ビジネス場」があります。しかし、個人生活では自分の立場は自分で目標を設定した「生活場」になります。目標が違うのですから、当然振舞いも異なります。

 「場」をわきまえるのは、まさに今自分の立っている「場」を知ることです。「場違い」な振る舞いは、その場の空気すら悪くしてしまうものです。

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 2016年11月の九州生産性本部での授業風景
株式会社マップス 
代表取締役 清野 裕司

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清野裕司の「ビジネス心論」


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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第218話)

第218話:1993年以来の7月低温

 関東甲信から東北地方で気温の低い日が続いている。東京都心では全国的に冷夏となった1993年以来、7月に7日連続で最高気温が25度を下回っており、市場関係者の間では景気への悪影響を懸念する声も出始めている。

 この背景には、2018年秋から発生しているエルニーニョ現象の影響があるようだ。気象庁によれば、オホーツク海高気圧から流れ込む冷たく湿った風や梅雨前線の影響により関東を中心に日照時間が短くなっている一方で、暑さをもたらす太平洋高気圧がエルニーニョ現象の影響で本州に張り出せずにいるとしている。

 エルニーニョとは、南米沖から日付変更線付近にかけての太平洋赤道海域で、海面水温が平年より1~5度高くなる状況が、1年から1年半続く現象である。エルニーニョ現象が発生すると、地球全体の大気の流れが変わり、世界的に異常気象になる傾向がある。

 前回は、2015年夏から2016年春にかけて発生しており、6月と8月後半に冷夏となり、北海道および東日本~西日本で8-9月を中心とした長期的な豪雨となった。

 最も被害が拡大したのは93年夏から冬である。日本は39年ぶりの冷夏となり、大雨や日照不足もあって稲作を中心に農作物に被害が出た。

 気象庁の過去の事例からの分析では、エルニーニョの日本への影響として、気温は西日本を中心に平年より低い地域が目立つことや、降水量は平年より多い地域が多く、西日本の日本海側や東日本の太平洋側で顕著となること、更には、梅雨明けは沖縄を除き遅くなる傾向がある、ということ等が指摘されている。

 実際、エルニーニョの発生時期と我が国の景気局面の関係を見るべく、過去のエルニーニョ現象発生時期と景気後退局面を図にまとめてみた。すると、90年代以降全期間で景気後退期だった割合は25.4%に過ぎない。しかし驚くべき事に、エルニーニョ発生期間に限れば46.6%と通常の1.8倍の割合で景気後退局面にあった事がわかる。特に90年代以降で見てみれば、91~92年と93年のエルニーニョ現象は、91年3月~93年10月まで続いた景気後退局面に含まれる。また、97~98年のエルニーニョは、殆どの月が97年6月~99年1月まで続いた景気後退局面に含まれている。更に、2012~2013年のエルニーニョも多くの月が景気後退に含まれており、2018年秋以降のエルニーニョ局面でも、2018年11月から景気後退に入っている可能性がある。

 潜在成長率が4%程度あったとされる80年代までなら、気象要因が景気動向に大きな影響をもたらすことは想定しにくかった。しかし、90年代以降になると、バブル崩壊により潜在成長率が2%程度、最近では1%程度に下方屈折していると言われる状況では、気象要因により景気動向に大きなインパクトが生じることも十分に考えられよう。

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第217話)

第217話:6月短観から見た19年度業績見通し

 7月1~2日にかけて公表された6月短観の大企業調査は、6月下旬にかけて金融・保険を除く資本金10億円以上の大企業約1900社に対して行った調査であり、先月公表された法人企業景気予測調査に続いて、今期業績予想の先行指標として注目される。

 まず売上高を見ると、19年度は下期にかけて伸び鈍化となるものの、前回調査からは上期下期とも+0.5%ポイントの上方修正となっている。一方、経常利益は19年度上期で減益率が大幅に拡大しており、前回調査からの修正率も▲5.8%ポイントとなっている。ただし、下期に関しては前年比で+1.6%と増益に転じる見込みは変わってない。このことから、企業は業績の底を今年度前半と見ており、今年度後半は持ち直すと予想している。

 つまり、産業全体で見れば、売上高の半期ごとの伸び率は19年度下期に伸び鈍化に転じるものの、経常利益については19年度下期に増収増益を計画する姿に変わりは無い。特に、年度後半に向けて半導体電子部品を含む情報関連財の在庫循環の底打ちが見え始め、収益回復への市場の期待が高まれば、株式相場の押し上げ要因となることも期待されるだろう。

 続いて、6月短観の売上高計画を基に、上方修正が見込まれる業種を選定してみたい。結果を見ると、製造業では「鉄鋼」「生産用機械」、非製造業では「物品賃貸」を除く全ての業種で増収計画となる中で、前回調査から最大の上方修正率となっているのが「鉄鋼」の+28.5%である。それに続くのが「木材・木製品」の同+8.1%、「通信」の同+2.7%であり、素材業種の上方修正が目立つ。

 従って、19年度の業績見通しにおいては、こうした業種に関連する企業について売上高計画が注目されよう。特に今回は、昨年度に設備老朽化に伴う操業トラブルが相次いだ「鉄鋼」に加え、「情報通信」も引き続き旺盛な日本企業のIT投資意欲の恩恵を受けそうだ。

 続いて、6月短観の経常利益計画から上方修正が期待される業種を見通してみよう。結果を見ると、上方修正幅が最も大きいのは燃料価格や原料の古紙調達価格が落ち着いた「紙・パルプ」の+11.5%となる。それに続くのが、インバウンドに加えて10連休や改元の恩恵を大きく受けた可能性がある「宿泊・飲食サービス」の+8.6%、鉄鉱石や原油価格上昇の恩恵を受けやすい商社を含む「卸売」の+7.5%となる。

 このように、今期の経常利益見通しでは、上方修正が期待される業種として、インバウンドや改元・10連休の恩恵を受けたサービス関連に加えて、昨年度に原油をはじめとした市況価格急変動の悪影響を受けた紙・パルプや、資源メジャー減産に伴う鉄鉱石価格の高止まりの恩恵を受けやすい商社を含む卸売関連が期待される。

 これら以外の業種でも、既存ビルの稼働率改善に伴う賃料増加等により、オフィス市況が好調な不動産も上方修正となっていることにも注目だろう。
 
永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第163話)

第163話:「やすい」は、「安い」だけではなく「易い」もあります。

 世界規模での経済停滞を感じるからでしょうか、販売の一線では、どうしてもモノを「安く」売ることが当たり前のような空気が流れているようです。売りの仕掛けでもありますが、かつて携帯端末を「0円」でばら撒いた時をほうふつとさせる場面に遭遇することすらあります。

 そのような時代環境にあってふと振り返ると、果たしてそれが社会的な善なのかを思ってしまいます。

 確かに、機能的な差がないモノの場合には、全く同じモノを少しでも安く購入しようとする心理は働くでしょう。何もわざわざ、同じものを高く買う必然性が無いことは確かです。しかし、購買に至る際の心理は「安さ」だけがポイントなのでしょうか。

 価格の「安さ」だけで、人は店に出向こうとするのでしょうか。もちろん今は、店に行くことなく買い物が出来る環境ではありますが。ここで一度「安い」の反対語は何かを考える必要があるのではないかと思っています。

 交換行為を想定していると、「安い」-「高い」の構図を描いてしまいそうです。であれば「高い」の反対語は何でしょうか・・・。

 「低い」も当てはまります。敷居が低い/腰が低いといった表現があります。つまり、顧客との関係がなかなかうまくつくれずにいる店や仕組みは、どこかに近づきがたいような要素があるのでしょう。

 そう考えていくと、「やすい」の反対語は「難い(にくい)」でもあります。「入りやすい・選びやすい・話しやすい」店と、「入りにくい・選びにくい・話しにくい」店になります。

 マーケティングの発想は、多元的視点の複合です。何も価格の「安い」だけではなく、仕組み自身の「易い」も考えることを忘れていないかを、自問自答していたいものです。(第164話に続きます)

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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第216話)

第216話:今年度は増収減益の見込み

 6月13日に公表された4-6月期法人企業景気予測調査は、5月下旬にかけて金融・保険を除く資本金10億円以上の大企業約4千社に対して行った景気予測調査であり、今期業績計画の修正度合いを予想するための先行指標として注目される。

 そこで今回は、7月下旬からの四半期決算発表で堅調な今年度計画が見込まれる業種を予想してみたい。

 まず売上高を見ると、19年度は前回調査から上方修正となるものの、直近2年間の同時期計画よりも増収率が低い計画となっている。このことから、四半期決算でも売上高が上方修正となる業種には注目が集まるものと推察される。

 一方、経常利益は前回調査でも前年比▲0.4%の減益計画となっていたものの、減益率は同▲3.3%と前回調査から大幅に下方修正されている。このことから、7月下旬からの四半期決算発表では、経常利益計画の下方修正も出てくることが予想される中、上方修正となる業種には注目が集まるものと推察される。

 以下では、7月下旬からの四半期決算で売上高の上方修正が期待される業種を見通してみたい。19年度の業種別売上高計画前年比を前回1-3月調査と今回4-6月調査で比較し、この3ヶ月の修正状況を見ると、増収業種の中で最も上方修正幅が大きいのは、自動車賃貸業やスポーツ・娯楽用品賃貸業等を含む「その他の物品賃貸」であり、前年比+1.4%→+12.7%と+11.3ptの上方修正となっている。それに続くのが、洗濯・理容・美容・浴場業や旅行・家事サービス・衣類裁縫修理・物品預り・火葬墓地管理・冠婚葬祭業を含む「生活関連サービス」の同▲1.1%→+4.6%、「建設」の同▲3.3%→+1.2%と、いずれもこの3ヶ月間で大幅に上方修正されている。

 従って、特にサービス業の中でも企業の人手不足等に伴う所得の増加や働き方改革などに伴う余暇時間の拡大を取り込んだ企業では、四半期決算でも上方修正の可能性が高い業種として注目されよう。また、不動産も人手不足に伴うオフィス需要が旺盛のようだ。一方、足元の原油価格の下落に伴い、燃料調整費単価が下がる電気・ガス・水道業等では売上高が下方修正となることが予想される。

 続いて、経常利益計画から19 年度の業績を牽引することが期待される業種を見通してみると、増益率が最も大きいのは、原油急落に伴うマージン悪化や在庫評価損で昨年度が大幅減益となった「石油・石炭製品」の+59.2%ptとなる。それに続くのが、燃料価格や原料の古紙調達価格が落ち着いた「紙・パルプ」の+36.2%pt、昨年度に設備老朽化に伴う操業トラブルが相次いだ「鉄鋼」の+15.9%ptとなる。

 このように、今期の経常利益見通しでは、増益幅の大きい業種として、昨年度に原油をはじめとした市況価格急変動の悪影響を受けた紙・パルプや石油・石炭製品、電気・ガス、鉄鋼に関連する企業が期待される。これら以外の業種でも、人手不足の恩恵を受けやすい職業紹介・労働者派遣業が二けた増益計画を立てていることにも注目だろう。(第217話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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