エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第207話)

第207話:10連休の悪影響

 まず、10連休により保育園や病院、銀行、役所等が長期閉鎖することによる国民生活への影響は無視できないだろう。

 というのも、子供の預け先が確保できなければ、仕事を休まざるを得ない労働者も出てくる可能性がある。勤務日数が減る非正規労働者の所得が減ることも考慮すれば、10連休が日本経済に及ぼす影響そのものはプラス・マイナス両面あることがわかる。

 こうした社会生活への影響として最も懸念されるのは、やはり医療機関が休日になることであろう。患者の中には、人工透析を受けている人や、複数の医療機関を別の日に受診する高齢者に加え、病状が急変する可能性もあるため、こうした対応が課題といえよう。

 また、新しい生活にようやく慣れた児童や生徒、新入社員等への心理的な影響を懸念する向きもある。このほか、銀行業務が10日間停止するとなれば、資金繰りへの影響も懸念されよう。

 意外な分野では、株価など金融市場への影響にも警戒が必要だろう。実際、10日間も連休が続けば、連休前後の株価の振れ幅が大きくなる可能性がある。

 というのも、日本の株式市場は休場となっても世界の市場は動いているため、海外で大きな材料が発生しても株式を売買できない恐れがある。特に、為替市場は世界中のいずれかの市場で24時間取引されており、当然のことながら日本の10連休中も市場は開いている。しかし、この間に円の取引量が減れば、通常よりも少ない規模の売買で円レートの値動きが大きくなり、それが株式市場にも反映される可能性がある。

 こうした中で、海外で悪材料が出ても、日本の投資家が損失を回避する売りが出せなくなることになれば、10連休中に株式を保有するリスクを避けるために連休前に株式市場に売り圧力が高まり、株価の下落をもたらす影響も懸念される。

 以上のように、GWの10連休を中心に、様々な側面から改元がもたらす日本経済への影響は様々な分野に波及することになろう。

 しかしこの他にも、昭和天皇の崩御による平成の代替わりでは国民の間に自粛ムードが漂ったのに対して、退位日を含めて10連休となればお祝いムードが盛り上がるといったプラスの側面もある。逆に、製造業では工場の稼働日数が減ることで生産量が抑制され、その挽回生産が連休前後で補えなければ、10連休によって想定ほど景気が押し上げられない可能性もあるだろう。

 尚、GW明けの5月20日に控える1-3月期のGDP成長率はマイナスになることが予想されることや、10連休でお金を使いすぎた消費者が一気に節約モードにシフトする可能性があること等から、改元に伴うお祝いムードが一気に景気後退モードへ様変わりする可能性がある点については十分な注意が必要であろう。(第208話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第206話)

第206話:今年のGWは10連休

 今年は、新天皇が即位する5月1日と即位礼正殿の儀が行われる10月22日が休日になる。これらの休日は国民の祝日扱いになり、4月30日と5月2日も休日となることから、今年のGWは10連休となる企業もある。

 一般的に、連休が増加すれば、娯楽、レジャー、外食等へ費やす時間が増え、これらの関連支出が増加することが予想される。ただし、製造現場で工場の稼働日数が減れば、生産量の抑制を通じて日本経済への押し下げ要因となる。

 そこで以下では、今年のGWが10連休になることが日本経済に及ぼす影響、すなわち改元がもたらす日本経済への影響を検討してみたい。

 まずは、旅行動向に対して及ぼす影響を検証してみよう。ここでは、JTB総合研究所が昨年12月20日に公表した「2019年の旅行動向見通し」を参考にした。これによれば、今年は旅行総消費額が前年比+2.8%の15.3兆円と予想されている。今年のトピックスを見ると、ゴールデンウィークなど2019年限りの祝日があるほか、大型スポーツイベントの「ラグビーワールドカップ2019日本大会」が開催される。なお、前年からの増加額が4,156億円程度であることからすれば、約0.1%のGDP押し上げ効果に相当し、総旅行延べ人数が3.1億人であることからすれば、一回当たり約4.9万円程度の平均消費額となる。

 10連休により、車による帰省ラッシュや国内旅行が増加すれば、車の給油の増加や、洗車や車両メンテナンスの需要も伸びるだろう。実際、最新の2011年産業連関表によれば、「宿泊業」の需要が1万円増加すると、「その他の運輸付帯サービス」分野の需要が489円増加する関係がある。

 しかし、企業活動への影響を見る場合には注意が必要であろう。というのも、例年4月下旬には上場企業の3月決算発表が本格化する。特に例年、5月上旬をピークに多い日には一日数百社が決算を発表する。従って、ここで10連休により営業日数が減少し、GW前後の限られた日程に決算発表が集中することになれば、発表会場の不足や決算内容を読み解く投資家への影響も無視できないだろう。人手不足が続く業界にも警戒が必要だろう。というのも、10連休で長期不在となる世帯が増えることになれば、連休前にネット通販の駆け込み需要が発生する可能性があり、配送面でトラブルが多発することにもなりかねない。

 また、GW中はイベントや小売・外食等の販促、引越しなど大量の短期バイト募集が発生することが予想され、採用する企業側からすると、より時給を上げないと人手が確保できなくなる可能性もありそうだ。(第207話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第158話)

第158話:スカート丈の変化は一人ひとりの自己主張の現われでしょうか。

 私のオフィス近くに、女子中・高校があります。6年間の一貫教育の場です。春になれば新入生が加わってきます。その小集団が打ち揃って行儀良く歩いていました。どうやら、近隣施設を確認するための団体行動のようです。1クラスの集団でしょうか、嬉しそうに前後を歩く者同士で話をしている子もいれば、独り黙々と集団に付いて歩いていく子もいます。

 しかし全体の様子が、普段出逢っている制服とは違って見えます。制服のスカート丈が違います。膝にかかった長さで、整然と歩いています。それが、春から夏に向かっていつの間にか様子を変えてしまいます。年次と共にでしょうか、スカートの丈が短くなっていくようです。気が付けば膝上の丈になっていることもあります。日々注目しているわけではありません。普段の様相と異なるものに出逢うと、新たな気付きを得るものです。そして疑問符が浮かんできます。

 集団の統一行動の全てを善しとはしませんが、ある規則や規律のなかでの行動を日常のなかで見るのもなかなか良いものです。何かの目的性すら感じさせます。スカートの丈が短くなると共に、単純な相関関係ではないでしょうが、個々の動きは乱雑になってくるように見えます。集団の環境に慣れた証かもしれません。それ程、堅苦しく考えるべきことではないのでしょうが、ただ一方で、慣れてしまうことのつまらなさを思ってしまいます。ある場面に慣れてくると、自分自身に、さも自由度が高くなったように考えてしまうのでしょうか。実は、慣れることの怖さがそこにはあるように思えます。

 初心忘れずとはよく言われることですが、なかなか初心を維持していくのは難しいもの。繰り返しの行動に変化がないように思えてくるからです。同じことを繰り返すことの空しさを感じることもあります。そして、いつのまにやら、自分でルールを創造してしまうことも。集団の規則よりも、自分の規則を優位と考えてしまうのです。

 鮮度の維持には、集団のルールを守ること以上の心の力が必要なのかもしれません。スカート丈の変化に、ふとマーケティング・センスの鮮度維持を感じた春の一コマです。(第159話に続きます)

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 2016年11月の九州生産性本部での授業風景
株式会社マップス 
代表取締役 清野 裕司

10冊目の新書が出ましたので是非お読みください。

清野裕司の「ビジネス心論」


今、マーケティング・スタッフには効率よく作業をこなすためのスキルを高めることよりも、幅広い視野で変化を敏感に捉える感度(センス)が問われています。起きている現象を見る目だけではなく、時にもう一つの目(心眼)を開いて、今迄と今を見直し、明日への道を切り拓いて行くように、自らの心に問う学びの志です。
学ぶこと考えることの楽しさを知った自らのビジネス体験を、次代へと歩み行く方々に伝承しておきたいと考えて「心論」と題しました。

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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第205話)

第205話:予想通り盛り上がってきた景気後退の判断

 正確な景気の山谷は、政府の景気動向指数研究会によって、ヒストリカルDI(以下HDI)を計算して決められる。HDIはDIの一致指数として採用されている9系列の山・谷を決定し、景気拡張期は+、後退期は-に変換して新たにDIを作り直すことにより求められる。そして、HDIが 50%を切る直前の月が景気の転換点となる。

 なお、各指標の山谷は、全米経済研究所(NBER)が開発したブライ・ボッシャン法という手法を用いて設定される。この手法では、3種類の移動平均をかけたデータについて検討を行い、①山やその後のデータの値より高いこと(谷はその逆)、②山や谷が系列の終了時点から6か月以上離れていること、③山と山、谷と谷が15か月以上離れていること、④山と谷が5か月以上離れていること、等の条件を考慮して山谷が確定される。このため、実際の景気の山・谷は、発生してから1年以上の期間をおいて十分なデータが得られたところで決定されることになっている。

 そこで、今回の局面について簡便的にHDIを推定してみた。ただ、データにかなりぶれが生じやすくなっているため、今回はブライ・ボッシャン法の移動平均の一つにも採用されている3か月移動平均値も用いて考慮した。

 一致指数を構成する9の系列を見ると、有効求人倍率を除く8系列が 2018年10月までに山をつけたと事後的に判断される可能性がある。このため、この8系列が2018年10月にピークアウトしたと判断されれば、9系列中過半の8系列以上が山をつけることになる。こうなれば、日本経済はHDIが50を下回る可能性のある2018年10月あたりが景気の山となり、翌11月あたりから景気後退局面入りと機械的に判断される可能性がある。

 ただ、政府の公式な景気動向指数研究会で景気の山・谷を設定するに当たっては、HDIの試算に加えて、①転換点を通過後、経済活動の拡大(収縮)が殆どの経済部門に波及・浸透しているか(波及度)、②経済活動の拡大(収縮)の程度(量的な変化)、③景気拡張(後退)の期間について検討する。併せて、念のため、参考指標の動向が整合的であるかどうかについても確認する。

 そこで、これらについても具体的に見てみると、波及度については8/9系列が2018年10月にピークを付けている可能性がある。また量的な変化については、1月の鉱工業指数の結果などから一致CIが2019年1月に大きく低下している。

 したがって、これらの指標の動向を勘案すれば、機械的に判定したHDIが50%を下回っても、景気の波及度や量的な変化といった観点から2014 年4月~2016年2月までHDIが 50%を割ったのに景気後退と認定されなかったが、今回こそは景気後退局面入りと最終的に判断される可能性があると判断できよう。ちなみに、今後の景気が更に悪化し、2018年9月期が景気の山となれば、今回の景気拡大局面は70か月となり、戦後最長の景気回復 73か月は更新できないことになる。(第206話に続きます)

*合わせて前回のコラム「第204話:昨年11月の懸念が現実のものに」もお読みください。

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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3月30日(土)「第8回在日華人国際ビジネス交流展示会」に参加しました。

これは在日の華人(及び企業)と日本企業をつなげ、また華人コミュニティーを通して中国に日本の商品をPRするイベントです。

当日は朝10時半から、東京錦糸町駅前の丸井デパート8階「すみだ産業会館」のホールで行われました。

主催は在日華人向けのビジネスメディア日中商報で在日華人情報紙です。中日両国語で書かれた新聞で、中国商務部が主催する「国際商報」指定の協力情報紙です。有限会社長城協力によって発刊され、毎月1日と15日に発行。毎回の発行部数は3万部。配布場所は(有)長城協力の4,000軒を超える中華料理会員店、駐日中国大使館、酒店、物産店、学校、旅行社及び商社等です。また共催に日本国際貿易促進協会を加え、弊社(株)ジパング・ジャパンが九州の参加企業の窓口になりました。

九州からの参加企業様は「めんべい」でおなじみの山口油屋福太郎様。

焼酎蔵元さんは鹿児島県鹿屋市の大海酒造様と

同じく鹿児島県伊佐市の大口酒造様です。

私もお手伝いさせていただきました。アジア・中国に向けて九州ブランドをドンドン発信していきたいです。


次は9月の開催を予定しています。