グローバルなブランドづくり (第2話)

タイムインク フォーチュン誌元日本代表の清水氏は第2話で「企業ブランドをストーリーで語る」ということがどういうことなのかをオリンパスさんの例で説明します。

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2010年7月26日発行号オリンパスPR記事

 フォーチュン誌の日本特集に20年以上参加していただいた企業にオリンパスさんがおります。オリンパスさんは「胃の中を見ることができたら胃がんの患者を救うことができるのに」というお医者さんの話しを聞いて、胃カメラをつくることを決意するのです。当時は胃の中に入る小さなカメラをつくることは至難の業でした。しかも胃の中といっても一回の撮影で撮れるのは一部でしかないので、胃の中全部を撮るためには何枚も撮影できる必要があり、しかも胃の中は真っ暗なのでフラッシュも必要となります。そのフラッシュも何度も点灯するものでなければなりません。オリンパスの開発者は大学と協力して、非常な苦労の末に世界で初めて胃カメラを製造することに成功しました。このストーリーは4ページの記事広告として2004年にフォーチュン誌75周年号で掲載されましたが、500ページにも及ぶ記録的な厚さの号でしたが、その中にある広告の中で最も記憶に残るものとして選ばれました。つまりこういうストーリーは一回聞くと忘れられないのです。

 オリンパスさんはカメラメーカーとして有名ですが、現在は内視鏡のシェアが世界で70%を占める医療機器のトップメーカーです。オリンパスさんのカメラは世界中で販売しておりますので、フォーチュン誌読者の多くはオリンパスのカメラを所有している人が多いのです。記事広告で医療関連のストーリーを紹介すると、カメラの話しは何もしていないのに、「だからウチにあるオリンパスのカメラは素晴らしいんだ」と、多くの読者が勝手に連想してくれるのです。ストーリーで語るとどういうところが素晴らしいのかは読んだ読者の主観的判断になりますから、百人百葉のイメージが生まれます。そしてそれは読者が自分で主体的に判断したことになりますので、それを信じようとします。それでその企業に対するブランドイメージが固まっていくのです。

 もしオリンパスさんが自分達の優れているところを言葉に表して読者にアピールしたらどうでしょうか。例えば、企業イメージとして、「革新的な会社です」「技術力があります」何故ならば、世界で初めて胃カメラを開発しましたと読者に伝えたらどうでしょうか。確かにその通りかも知れませんが、あまり読者にはアピールしないでしょう。そこには共感するようなストーリーはないし、「革新的な会社」と言われてもそれは会社からの押しつけであり、読者が選択して判断したものではないのです。逆にストーリーから創られるイメージはいくらでもでてくるのです。「医学の発展に貢献している会社だな」「社員が本当に社会のために働いている会社だ」「人々の夢を実現する会社だ」などと本当に幅広いポジティブな強みや優れているイメージがその会社の生き方に共感する形で生まれるのです。

 このようにストーリーテリングで伝えることは読者に読む楽しみを与え、その企業への共感を呼び、読者が自分で感じたポジティブなイメージをつくりあげることができるのです。もちろんそのイメージもストーリーによって変わりますので、そのストーリーでどのようなブランドイメージになるのかは予め考えておいてストーリーを選ぶと良いでしょう。オリンパスさんのように会社のブランドをそのまま表現できるようなマスターストーリーはとても大切です。(第3話はシャボン玉石けんさんの例に続きます。)

清水良胤氏
清水良胤氏

Institutional Investor誌 9月号 「JAPAN特集」

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世界にとって日本は「型にはまらない経済学を研究するうってつけの場所」であると締めくくる2014年9月号Institutional Investor誌の「JAPAN特集」はアベノミクスの現状と今後を予想しています。結論は「第3の矢」のインパクトはまだまだ見えず、安倍首相は防衛問題に時間を割いている場合ではないと書いています。

「第1第2の矢」である金融政策、財政政策はそれぞれ海外からA評価、B評価をもらっていますが、「第3の矢」はE評価にとどまっています。

日銀がお札を刷り続けるうちに、インパクトのある政策を実現できなければ、時間切れになるだろう予想しています。実際債券市場はまだまだアベノミクスに対し懐疑的であるため、長期国債利回りが目標インフレ率の2%を目指す動きにはなっていないのが現状です。一番怖いのはこのマーケットがアベノミクスに対する信用を失墜させた時です。今のところ為替が円安安定に触れたのは評価できますが、これまで海外に生産拠点を移してきた輸出企業にとってまだ大きなインパクトはまだ出ていません。アベノミクスは為替だけで終わるという辛辣な海外エコノミストもいるぐらいです。

一方日銀当局が懸念するのは行き過ぎたインフレです。円安のコスト高に加え、建設業界の人手不足が拍車をかける可能性がありますし、全体の賃金上昇によって確実に消費も復活しているとみています。

同誌はインフレが実現してからでは、もはや第1、第2の矢は打てなくなるといっています。そのため「第3の矢」を急がなければなりませんが、インフレは思った以上早く達成される可能性が見えてきました。

サプライサイドにフォーカスした規制緩和の「第3の矢」がいつ効き出すかが今後の大きな課題です。IMF関係者には5年かかるとみている筋もあります。実際「第3の矢」のタイムテーブルをちゃんと安倍首相は公表していません。

高齢化が進む中、社会保障の増大で、思い切った財政政策が難しくなる一方ですし、日銀が不意な金利変動にどれくらい耐えられかも不透明です。

成功するか失敗するかは、今後の「第3の矢」の進捗状況にかかっていると言えるでしょう。

原文はこちらをクリックしてください。

 

Institutional Investor誌日本代表

ジパング・ジャパン

吉野晋吾

 

グローバルなブランドづくり(第1話)

今回から3回にわたって、元フォーチュン誌日本代表 清水良胤氏にグローバルなブランドつくりについて話していただきます。

フォーチュン誌 2011年11月21日号 「九州特集」
フォーチュン誌 2011年11月21日号 「九州特集」

 私はフォーチュン誌で日本特集を23年間に渡りプロデュースしてきました。この広告特集は日本と日本企業のブランドをグローバルに構築することが目的です。フォーチュン誌のGlobal 500という世界の企業の売り上げ番付が掲載される号は世界の企業から最も注目される号で、この番付の掲載号で日本特集は1962年から50年以上の長きに渡って継続されています。長年特集に参加されている、日本でも有数な企業はグローバルエクセレントカンパニーになることを目指して、この番付のすべての項目で100位以内に入ることを会社の目標にしています。

 今回は雑誌という媒体でどのように私が日本企業のグローバルブランド構築をお手伝いしてきたのかをお話しさせていただきます。私が取材をしていてとても感じたことは、ブランドづくりが客観的なデータに基づいていなければならないという思い込みが企業に多いということでした。ビジネスの場合は数字を出して、それを比較することで自社の製品・サービス・価値が優れていることをプレゼンすることが当たり前のようになっていますが、これは科学的根拠がすべての意味をつくりだすという近代の科学主義的な考え方がベースになっていると思われます。こういう客観的なデータをベースに記事を書いていくと非常に説明的な文章になってしまいます。本当に読者はそういうパワポ的な説明を望んでいるのでしょうか?そうではないと思います。読者は単に情報を収集するだけでなく、読むこと自体を楽しみたいから雑誌を購読しているのです。

 そこで私は客観的なデータよりも人の主観を大切にし、ストーリーで企業ブランドをつくる手法を使いました。というのは雑誌には読み物としての楽しみがあり、それはストーリー仕立てになっていると思ったからです。そして最近の脳科学でもインパクトのあるストーリーは忘れることができないという研究が発表されております。実際に毎年の読者調査でも「読んだ記憶がある」が平均で約60%と圧倒的に高い数字を得ることができ、読者に最も人気のあるそして記憶に残る広告特集として受け入れられました。

 企業ブランドをストーリーで語るということがどういうことなのかをもう少し説明します。企業というのはそこで働く人々の様々なストーリーが存在します。経営者や従業員がどのような夢を描いたのか、その夢の達成にどのようにチャレンジして、どういう問題を乗り越えて、最終的にどのよう結果をもたらしたのか、そしてその結果がどのような社会的価値を生み出したのかというストーリーです。単純なプロットですが、自分達が何をやってきたのかを語ることがブランドづくりになるのです。(第2話に続く)

清水良胤氏
清水良胤氏

元 タイムインク フォーチュン誌日本代表、

現在は、場の研究所で活動されていると同時にサクセスポイント株式会社で人材育成・組織開発の仕事に携わっておられます。

 

http://www.successpoint.co.jp/company/consultants.html