ヒーローの時代は終わる

 

 今回の米大統領選の一つの焦点は、グローバル化の反省である。日本でも89年に冷戦が終焉すると、一転してグローバル化の中で苦労した。グローバル化は先進国にとって格差を生むんだ。しかし、一方発展途上国はこの4半世紀で先進国との差を大きく改善した。後進国が中産階級層を持つまでになったのはグローバリズムの成果だろう。

 先進国の格差はビジネススタイルでの格差になった。それは知識労働とマニュアル的作業のマックジョブの所得差の拡大を意味する。以前はマックジョブスタイルでも、家が買えたが今は買えない。一方知識労働につける者の数もあまりにも限定的になった。通信・IT、データ解析などの一握りのエリートだけで数万人、数十万人の雇用を作れるから、ヒーローとなる少数のエリートがいれば、それで十分事足りるのだ。また世界の新中産階級層市場の拡大が少数のエリートをさらにヒーローにした。

 しかし、これはグローバル化の第1期の出来事だったかもしれない。

 2020年あたり以降、第2期のグローバル化は大きく変化するのではないだろうか。

 第2期のグローバル化のキーワードは、多様化だろうと思う。そしてこの多様化によって、一人のヒーローが数万人の雇用を作ることはもはやできなくなるかもしれない。ヒーローは人工知能に代わるだけか。

 新中産階級層は、成功の自信と生活の余裕によって急速に多様化が進むかもしれない。

 先進国では大きな変化が出てくるか。グローバル化によって辛酸をなめた敗者たちの反乱とでも言わんばかりに、これまでのビジネス中心の考えを捨て自らのライフスタイルを中心におく人々が出現するかもしれない。ライフスタイルを人生の中心に置くとは、モダンに見切りをつけた「新古代主義者」を大量に生むことを意味するのかもしれない。また一時話題になったゆとり世代が活躍するかもしれない。彼らは組織人間としては多少もろいが、高い感性を持った人たちだ。ひょっとすると世界の新中産階級層は、ヒーローよりもこのような些末な人々により共感するかもしれない。

 ならばビジネス・スタイルは変わるだろう。多様化は一人のヒーローが何万人の雇用を作ることを困難にさせるからだ。多様化の中では、一人の企業家やアイディアマンが作る雇用はたかが知れているし、当たる確率はさらに小さく、当たったとしてもすぐ飽きられるかもしれない。

 何万人と雇用を生むヒーローが生まれにくい時代になるだろう。大企業は思うように利益を上げられず、解体されるかいくつもの小組織に分割され、緩い関係で組織形態を継続するようになるかもしれない。グローバル第2期では今の中小企業のサイズが最適になるのかもしれない。

 もし、本当に大企業の値打ちが急落する時代が来るならば、マス・メディアは未来を暗黒の時代だと書き立てるだろう。

 しかし、いつの時代でも重要なことは、暗黒は夢を描けないことではない。また希望とは夢を描くことでもないということを知るべきだ。希望とは踏ん張って、踏ん張った先に、何かしら見えてくるものだからだ。

ジパング・ジャパン
代表 吉野晋吾

 

The Kyushu ADVANTAGEが目指すコーポレートメッセージ(その3)

 海外への情報発信やプロモーションは急務だとみています。急がなければなりません。
 
 若干国内需要が喚起され、再度国内マーケットを再認識する動きも出てまいりましたが、今こそ海外向けに情報発信をしておかなければ、同じことをやるにしてもコストが膨大になり先送りのつけを払う羽目になりそうです。

 これを日本がJapan As No.1と言われた80年代と比較して考えてみたいと思います。

 この時代は日本のモノづくりが世界に評価され安定成長が続いていましたが、85年のプラザ合意後は円高不況に落ち込みました。しかし苦肉の策としての低金利政策が91年まで続く空前のバブルをもたらします。

 あっけなく終わったバブル崩壊後は20年におよぶ「失われた時代」のつけを負わされたのです。

 現在は震災の復興需要、アベノミクスの円安政策、そして2020年のオリンピック開催決定と環境が大きく変わってきました。

 私は2020年が日本の本当の勝負どころだと思っています。次の時代につなげられるかです。

 情報に関する環境もJapan As No.1の時と大きく変わっています。まずは、世界の情報量です。現在の1年分の情報は1980年代10年間の情報量にあたるそうです。

 一方で、マスメディアからインターネット、ソーシャルサイトの普及で、読む量は80年代の3倍にはなりました。が、発信量には追い付きません。

 このような中で、6年後の東京オリンピックに向けて、海外から日本への注目度はかなり上がってきます。それによって日本から海外に発信する情報量も20年までは毎年倍々に増えていくでしょう。円安がこれに拍車をかけています。

 問題は日本への関心度がピークを迎えるであろう6、7年後に私たちは本当に大切なことを海外の人たちに伝えられているのでしょうか。世界に注目されたバブル期、東京山手線内の土地価格合計でアメリカ全土が買えるなどの情報ばかりでした。その当時、日本人が本当に伝えなければなかったことがもっとたくさんあったはずです。

 今情報発信の大きなチャンスが到来しています。これから日本への海外からの関心が膨らんできます。おそらく、いろんな雑多な情報が日本から海外に伝わっていきますので、その中で本当に伝えたい情報を伝えるためのコストも年々倍々に膨れることでしょう。今始めるのがベストだと思います。3年、6年後を検討してやるのは同じことを伝えるのに何倍も労力がかかることを予想します。そのほうが広告代理店は儲かるのですが。

The Kyushu ADVANTAGE プロデューサー
株式会社ジパング・ジャパン代表 吉野晋吾

The Kyushu ADVANTAGEが目指すコーポレートメッセージ(その2)

 世界はグローバル化に向けてまっしぐらという時代になってきました。大手企業だけでなく国内の中小企業も、海外市場やインバウンド市場を大いに注目しています。

 これまで、日本は海外に向けてどれくらいアピールしてきたのでしょうか。歴史をさかのぼってみますと、マッカーサー元帥が連れてきた米国の記者団から始まります。それは今有楽町にある外国人記者クラブ、正確には日本外国特派員協会になっています。弊社も海外メディアにPRしたいとき記者にここで投げ込みをしていますが、現在では100部投げ込む必要がなくなってしまいました。80から90年代は海外の記者は300人以上いたらしいですが、そのほとんどは香港やシンガポールに移りました。今では日本からは特別な記事しか出ません。

 そもそも80-90年代は海外向け広告のブーム期でした。Japan As No.1と言われた80年代のバブル期に資金調達も海外ファイナンス絶世の時代に入り、また当時メディアでの公示義務もあったことから、「今度○○企業の株を売り出す」というアナウンス広告、いわゆるツームストーン広告出稿が盛んでした。これは墓石広告と言われるように株や債券の売り出し、発行の時期や規模を何行かで記すだけの広告でした。

 この当時は海外マーケット拡大や円高から大手企業の海外工場移設にともない下請けメーカーや、また進出する企業をサポートする金融機関がこぞって海外に支社・支店を構え、まるで護送船団型グローリズムのようでした。

 当時日本製製品が欧米で高く評価される一方、日本企業への風当たりも強くなります。そこで各企業は「私たちはフレンドリーな企業である」ということをアピールするためにストーリーを中心とした広告を出します。これが海外向けアドバトリアル(記事体広告)の始まりです。

 当然ですが、この時代が日本の海外向け広告の全盛期で、海外メディアの記者たちも毎日のように日本のことを取り上げていました。

 バブル崩壊後の失われた20年は、ご存じのように円高やアジアの競争の激化から、人件費削減や国内設備投資減少など貧困の輸入と言われる現象に見舞われました。

 しかし、アジアの富裕層の出現により、ここにきて再び日本ブランドが再評価されています。また、これからの中間層の拡大は今までと違った市場が生み出される可能性も秘めています。

 そのために日本の、九州のストーリーをブランドに変えていきたいとThe Kyushu ADVANTAGEは考えています。

The Kyushu ADVANTAGE プロデューサー
(株)ジパング・ジャパン代表 吉野 晋吾

The Kyushu ADVANTAGEが目指すコーポレートメッセージ(その1)

thekyushuadvantage.jpは、海外に向け九州をアピールするサイトとして5月にローンチしました。ここでは企業だけでなく、九州のいろんなストーリーを取り上げ、紹介・PRしていきます。

 今後は、コンテンツを増やしながら、意味のある情報を世界に伝えていきたいと思っています。

 そこで、通常各企業が持っている海外向けの英文サイトと違うところをご説明させていただきたいと思います。The Kyushu ADVANTAGEのライターであるGiles Murrayの言葉を借りますと、Journalistic Point of View と Authentic English を上げています。

 海外に伝える企業ストーリーを書く場合、まずよっぽどの大企業でない限り、知名度がないところから入って行かなければなりません。海外の人にとって、まず知らない所からどのように興味をもって読んでもらうかは、企業内部の者が、伝えるよりも第三者的な視点から伝えるほうが効果的です。それをJournalistic Point of View(ジャーナリスティックな観点)と言っています。日本企業のHPはほとんどのストーリーを企業内部者で作り上げていることから、いいことが書いてあっても途中で読者は飽きてしまうことが多いようです。

 また、彼はAuthentic Englishが重要だと言っています。要は翻訳でない英語であることが重要です。これは海外の人が、いろんな雑誌等のメディアで慣れた地元の権威のあるといいますか、彼らが読みなれた本物の英語のことです。通常日本からの情報発信はどうしても、翻訳型の英語になってしまい、正しい英語であったとしても読み手には、なにか違和感が残る時があるようです。そもそも日本のことを日本人が書いた文章が英語になるので、気づき方、書き方が違ってくるのかもしれません。単に何かの紹介であればいいのでしょうが、企業がUniversal Significance (普遍的な重要性)を世界に伝えようとする場合は違ってきます。

 企業の英語のHPは特に、日本語を丁寧に訳した文章であればあるほど、インパクトがなくなるみたいです。この際思い切って、外国語のHPはデザインから変えてもいいのではないかと思います。

 いずれにしましても、海外へのコーポレート・メッセージは議論によって説得されるものではなくてはなりません。日本人は情報に対していつも受け身的であり、すぐに信用しますが、海外の方はそう簡単にはいきません。海外の人が納得し、興味をそそるストーリーでなければならないのです。

The Kyushu ADVANTAGE プロデューサー
(株)ジパング・ジャパン代表 吉野 晋吾

グローバルなブランドづくり(第3話)

元フォーチュン誌日本代表清水氏の最後の第3話は、北九州にありますシャボン玉石けんさんの事例です。

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2011年11月21日発行号Fortune誌掲載の「シャボン玉石けん」PR記事です。

日本語訳はここをクリックしてご覧ください。

 マスターストーリーが明確になっている企業は規模の大小に関わらず、ブランドイメージが明確になり、企業ブランドが強力になります。フォーチュン誌で九州特集を何度か掲載しましたが、その中でシャボン玉さんという北九州にある石鹸の会社が参加してくれました。シャボン玉さんは昔、合成洗剤を売っておりましたが、ある時に無添加石鹸の注文があり、先代の森田社長が使ってみると長年患っていた湿疹が治り、その原因が合成洗剤にあることを知り、身体に悪い商品を売るわけには行かないと決心をして無添加石鹸の製造・販売に経営を切り替えました。そのために売り上げが1%に激減して社員も半分以上を失いました。それから17年間も赤字でしたが、ご自分の信念を貫き通し、合成洗剤の問題を指摘した本を出版し啓蒙活動を続けられていました。90年代に入りアトピーなどアレルギー疾患で悩む患者が多くなり無添加石鹸が一躍脚光を浴び、今では年商60億円の優秀な企業になっております。

 このように森田社長が金儲けの道を捨て「身体に良い石鹸しか売らない」という信念を持ち、想像を絶する苦労も厭わずにその信念を貫き通し、その結果、今ではアレルギーに困っている多くの人達の役に立っているというストーリーはそのままシャボン玉さんのブランドイメージになっているのです。フォーチュン誌の多くの読者もこのストーリーに共感してくれました。残念なことはシャボン玉さんの石鹸がまだあまり海外で売られていないので、読者がそれを手にすることができなった点です。私も知ってから友の会に入会しずっと愛用をさせていただいています。それはブランドストーリーの影響も大きいし、実際に製品が素晴らしいからです。

 このようにグローバルブランド構築にもいろいろと方法がありますが、雑誌を通じてのブランドづくりはストーリーテリングが一番だと思いますし、それは特別なストーリーでなく、自社物語で良いのです。私たち個人もアイデンティティは自己物語を他者と共有してそれを承認され、あるいは訂正されるという関係性の中でつくられるものなのです。つまり、「わたし」という認識は自分で勝手に頭の中でつくりあげるものなのではなく、場との相互作用でつくられるのです。機会がございましたら次は「場の理論」について触れたいと思います。

清水良胤氏
清水良胤氏