清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第157話)

第157話:時代の節目ごとに「団塊世代」論はついてまわります。

 この2月8日に惜しまれて堺屋太一氏が逝去されました。社会的に根付いた言葉やメッセージを数多く残されましたが、中でも、わが国の行く先を逸早く捉えた「団塊世代」は、その後の人口構造を語る際の慣用句にもなりました。

 今世紀初めには「2007年問題」が言われ、団塊世代の定年退職が注目され、今また「2025年問題」で、団塊世代が75歳を迎える超高齢社会のあり方が問われています。

 一方で新たな消費力として団塊世代への注目度が高まっています。かつて団塊世代が取り上げられると言えば、年齢とともに職を失した人に眼が行き、年金問題と相まって、わが国での第二の人生設計は容易ではないといったイメージが蔓延していました。ちょっと暗い団塊世代論です。しかし最近では、そのような情報発信ではなく、「おやじバンド」の活躍や「団塊起業」の動きなどの前向きな話も多くなり、消費の一大パワーとしての注目度も高くなってきているようです。

 確かに日本の消費を、その数の多さで支えながら、一方で経済成長の基盤となる労働力として、ある時は企業戦士と呼ばれながら仕事中心の生活をしてきた人たちが多くいます。幼い時から、多くの同輩の中で仲間をつくり、競争を余儀なくされた世代です。その世代が還暦を過ぎ、古稀を超えてきています。そうなれば、今までとはどこか違う生活スタイルを描くことになります。

 しかし、今までに語られる団塊世代論の多くに登場するのが、男性です。女性もほぼ同数いることが何となく忘れ去られているようにも感じてしまいます。今まで、夫は朝の定刻になれば職場へと向かい、帰宅は不定時といった生活リズムが大きく変わることになるのです。家庭生活時間の変化です。その変化への対応はどのようになるのでしょうか。経済的にも、多くのサラリーマン世帯にあって、比較的安定的なキャッシュフローが描かれたものが変化しそうです。

 変化は新しいビジネスを生むきっかけでもあります。数の多さだけで語るのではなく、それだけ多彩な変化要素が考えられる団塊世代の様相。生産活動や消費活動にどのようなインパクトを与えるのか。多彩な変化に対して、多才な知恵を発揮した機会開発こそが「団塊世代論」でしょうか。私自身団塊世代の一人として、改めて考えを巡らせたいと思います。(第158話に続きます)

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 2016年11月の九州生産性本部での授業風景
株式会社マップス 
代表取締役 清野 裕司

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清野裕司の「ビジネス心論」


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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第204話)

第204話:昨年11月の懸念が現実のものに

 足元の経済動向について、昨年11月5日に公表したレポートで指摘した「既に日本経済は景気後退局面入りしている可能性がある」との筆者の懸念が現実味を帯びてきている。背景には、景気に先行するとされる株価の昨年10月以降の下落速度が、アベノミクス以降で見ると非常に大きかったことがある。(下線をクリックするとレポートが読めます)

 実際、2012年12月のアベノミクス始動以降の日経平均株価の月間下落率を大きい順に並べると、最大の下落幅を記録したのが世界経済の悪化懸念が強まった2018年12月であり、それまで最大であったイギリスの国民投票で予想外のEU離脱が決まった2016年6月を上回っている。更に、第三位も2018年10月だったことからすると、昨年10-12月期はアベノミクス以降で最大の株価調整が起こったことがわかる。

 こうした状況は、既に実体経済にも影響が出ている。事実、日本の製造PMI(景況指数)を見ると、昨年1月から急落し、2月には30ヶ月ぶりに好不調の分かれ目となる 50 割れとなっている。

 また、経済成長率が鉱工業生産の変化率と関係が深いことから見れば、日本経済は 2019 年1-3月に大幅マイナス成長になる可能性も出ている。実際、2019年2月分の生産予測指数の経産省試算値と同3月分の生産予測指数を基に、2019年1-3月期の前期比を機械的に計算すると、前期比▲4.4%と大幅マイナスになると試算される。

 この結果に基づけば、既に昨年4-6月期が水準のピークとなっている実質GDPが2019年1-3月期に大幅マイナス成長になる可能性もあり、非常に厳しい状況といえる。

 一般的に、景気がピークアウトしたことを簡便的に判断するには、経済成長率が2期連続でマイナスになったか、もしくは景気動向指数の一致CIや鉱工業生産がピークアウトしたか等により判断される。こうした中、このまま景気後退が認定されなければ、2019年1月には戦後最長の景気拡大期間となる 73か月を更新することになっていた。

 一方、景気の現状を示す代表的な指標とされる一致CI・鉱工業生産指数とも2018年10月をピークに低下基調にあることからすると、景気後退時期に関する議論が盛り上がることも不思議ではない。ただし、そもそもこうした判断はあくまで目安にすぎず、経済成長率や鉱工業生産、一致CI等の動向を見ているだけでは、景気の正確な転換点は決められない。

 そこで次回、実際に政府が景気の転換点を判断する際に用いる手法を簡便的に再現することにより、いわゆる「景気の山」が事後的に判定される可能性があるかについて検討してみる。(第205話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第203話)

第203話:昨夏の猛暑により1-3月期の家計消費は平年比で▲1.0%減少

 経済の平均成長率が4%程度あり、なおかつ花粉症患者が少なかった80年代までならこうした要因が個人消費に悪影響をもたらすことは想定しにくかっただろう。しかし、90年代以降になるとバブル崩壊により経済の平均成長率が1~2%程度に低下する一方、花粉症患者も増加しているため、花粉の大量飛散が個人消費に悪影響を及ぼしていると考えられる。つまり、昨年の猛暑により花粉が大量飛散することになれば、日本経済に悪影響が及ぶことは否定できないだろう。

 なお、過去の経験によれば、花粉の飛散量で業績が左右される代表的な業界としては、製薬関連やドラッグストア関連がある。また、カーテンやメガネ関連のほか、ヨーグルト等の乳酸菌食品関連も過去の花粉大量飛散時には売上げが大きく伸びている。

 昨年の猛暑による花粉の大量飛散によって、今年の日本経済にはどの程度の影響が生じるだろうか。総務省の家計調査を用いて、過去のデータから前年7-9月の平均気温と1-3月の個人消費の関係式を作成し試算を行ってみた(注1)。すると、前年7-9月の平均気温が1℃上昇すると、翌1-3月の実質家計消費支出が▲0.9%押し下げられる関係があることがわかる。

 したがって、昨年夏の平均気温が平年より1.0℃上昇したので、今年1-3月の実質家計消費は平年に比べ▲0.9%×1.0℃=▲1.0%(▲5,691億円)程度押し下げられる可能性がある。そして、消費減に伴う輸入の減少なども加味すれば、同時期の実質GDPは同▲0.3%(▲3,464億円)程度減少する計算になる。同様に前年比の影響を見ると、昨年夏の平均気温が前年より+0.4℃上昇したため、今年1-3月期の実質家計消費は前年比で▲0.9%×0.4℃=▲0.3%、実質GDPが同▲0.1%(▲1,175億円)押し下げられる計算になる。

 データ数が十分でなくこの推計結果は幅を持ってみる必要があるが、花粉の大量飛散は身体だけでなく、日本経済にもダメージを与える可能性があるといえよう。また、今春の花粉大量飛散により新規の花粉症患者が増加すれば、悪影響が更に拡大する可能性もある。

 以上を勘案すれば、今後の景気動向次第では、減速感が漂う日本経済に、花粉の大量飛散が思わぬダメージを与える可能性も否定できないだろう。特に足元では、値上げや消費マインド統計の悪化等マイナスの材料が目立っているが、今後の個人消費の動向を見通す上では花粉の大量飛散といったリスク要因が潜んでいることには注意が必要であろう。(第204話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第156話)

第156話:「さくら、さくら♪」と繰り返すのは心に春を感じる証でしょうか。

 今年もまた、桜の開花が早いようです。3月の彼岸の週明けに既に開花とか。桜と言えば4月のイメージが強いのですが、これも地球温暖化の影響でしょうか。今までは、入学式風景の主役の座を占めていたものが、ここ数年は卒業式の風景に登場してきます。セピア色をしたモノクロ写真ですが、自分の小学校・中学校入学時の記念集合写真には、誇らしげな桜が新しい時を告げています。

 咲き始めから満開を経て、散り行く時間の短さに、ある種の空しさと潔さが錯綜するからなのでしょうか、日本人の価値観にマッチしているようで、その間の花見の人の群れは、また異常なほどの混みようです。

 花の美しさを愛でるというよりも、冬の陰鬱な心境からの開放感を味わうことが主題といった感じです。所狭しとマットが敷かれ、宴の始まりです。酒酌み交わす人の顔が、皆にこやかです。「春が来た!」とはしゃぐ集団が、自分たちの陣地を守ろうとします。戦国時代の領地獲得競争そのものの様相です。

 そこでは余り桜の花の話にはなりません。仕事の話、家族の話、友人の話、異性の話・・・、尽きぬ話題が桜を背にして進められます。酒の量も自然と増えようと言うもの。背景の花は、桜でなくてもよさそうな喧騒ですが、やはり「桜」でなければならない。これ程、新しい時の始まりを教えてくれる花も無いように思います。

 それだけ日本人の感性に合っているのでしょうか。桜を感動と共に賛美する歌に、その心が見えてきます。繰り返して呼びかける歌詞を多く聴きます。

 「さくら、さくら・・・」と感極まって抱きしめるような歌詞です。そこでは、「開放」「感謝」「清潔」「決断」「潔白」「瞬発」と、耳ざわりの良い感慨用語が桜を説明しています。

 今年もまた、開花の早い桜。どう声をかければよいのでしょうか。四季躍動の始まりに感謝すべきでしょうか。とすると、やはりまた「さくら、さくら・・・♪」と繰り返して歌いながら、今年の桜を見ることになりそうです。(第157話に続きます)

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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第202話)

第202話:昨夏の猛暑の影響で予想される花粉の大量飛散

 昨夏は記録的な猛暑に見舞われた。特に7-9月期の全国平均気温は平年を+1.0℃上回り、2003年以来の高温となった。この影響により、今春は花粉が大量に飛散する可能性が高まっている。㈱ウェザーニュースが2月20日に公表した「第四回花粉飛散傾向」によると、今春の花粉は6年ぶりの大量飛散の恐れとされている。また、スギ花粉の飛散量のピークは3月中旬までとされており、東日本を中心に大量飛散が懸念される。

 花粉の飛散量に関係する統計として、前年夏の平均気温や日照時間がある。昨夏の記録的猛暑の影響で、今春の花粉飛散量が2013年以来の大量飛散になる可能性も指摘されているが、実際に2018年夏の平均気温と日照時間の程度を見ると、2013年以来の高水準だったことがわかる。

 花粉症は日本人の3人に一人が患者とも言われ、今や「国民病」と呼べる存在であり、花粉の大量飛散が現実のものとなれば、経済全般にも影響を及ぼすことが想定される。

 そこで本稿では、花粉が大量飛散した場合、日本経済にどれほどの影響を及ぼすのかについて分析してみたい。

 花粉の大量飛散は、主に以下の経路を通じて日本経済に影響を及ぼすことが想定される。まず、花粉が大量に飛散すれば、花粉症患者を中心に外出が控えられ、個人消費に悪影響を及ぼすことである。具体的にはレジャーや小売、外食関連等の売れ行きが不調になると見られる。

 実際、前年夏の気温と1-3月期の家計消費支出には関係がある。1-3月期の家計消費(前年比)と前年7-9月期の気温(前年差)の関係を時系列で見ると、夏場の気温が前年を上回った翌春の消費は概ね減少する関係があり、前年の猛暑は翌春の個人消費にとってマイナスであることが示唆される。

 そして、1-3月期の家計消費水準指数の伸び率と前年7-9月期の平均気温(全国平均の前年差)の相関を品目毎に見てみると、2000年代以降では外食を含む「食料」、レジャー関連を含む「教養娯楽」、外出頻度が増えれば支出されやすくなる「被服及び履物」、等の支出で前年夏の平均気温と強い負の相関関係が現れている。一方、外出頻度が下がれば支出が増えやすくなる「光熱・水道」や、薬やマスク・医療費等を含む「保健医療」や空気清浄機などを含む「家具・家事用品」等の支出で正の相関関係が合われている。

 また、店舗形態別の売上との関係を見てみると、「百貨店」では花粉の大量飛散による負の相関が観測される一方で、「スーパー」で正の相関が観測される。この背景としては、花粉症になると百貨店に遠出して買い物する頻度が少なくなる一方で、近所のスーパー等での買い物の頻度が高くなるためと推測される。(第203話に続きます)

永濱 利廣 氏

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永濱利廣

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