清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第145話)

第145話:音から広がる「想像力」も創造のきっかけになります。

 3ヶ月を一つの区切りにして、テレビのドラマが幾つか変わっていきます。自分自身はそれ程テレビのドラマは見ることもなく、いつの頃からか、テレビを見るのはニュース番組が中心で、それ以外を視聴することのない生活習慣が身についてしまいました。仕事柄もありますがCMは良く見るのですが、他の番組となると目を凝らして見入ることがありません。テレビから流れる喧騒を離れて、活字に眼をやっています。しかしオフィスでは、映像を見ることよりもFM放送から流れる音楽やニュースが自然と耳に入ってきます。

 その昔、昭和30年代の頃、一日の始まりは映像ではなく「音」であったように思います。牛乳ビンがぶつかる音、母がガタガタと立て付けの悪くなった雨戸を開ける音。そして、ラジオから流れる音楽や時報を聴きながら朝の身支度をしていたように記憶しています。帰宅して夕刻になれば、子ども向けのラジオドラマが始まりました。女性の銭湯が、がらがらになったという「君の名は」というドラマも、ラジオの番組です。そこには映像の情報はありません。音声だけの情報です。

 映像がないので、聴取した内容から自分なりの想像が広がっていきます。ヒーローも原作は漫画で、後になって映画にもなったものがあります。映画より前に、胸躍らせて動画を描いたのは自分の想像力です。状況の解説と台詞だけですが、それでも周囲の情景は自分の脳裡に鮮やかに描かれていたものです。翌日学校に行けば、そのラジオドラマの話が弾みます。10人いれば10人のヒーローが活躍していました。想像の世界のぶつかりあいがあったのです。

 時流れて今や、情報はその殆どが映像です。想像の世界を遮断しているようにも感じることがあります。一人ひとりが勝手に想いを広げることよりも、これこそが真といったスタイルが見えてきます。これほど映像が当たり前になってくると、「想像力」を「創造力」に繋ぐメディアとして、ラジオの役割も今一度見直す必要があるように思えてきます。(第146話に続きます)

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 2016年11月の九州生産性本部での授業風景
株式会社マップス 
代表取締役 清野 裕司

当ブログの寄稿記事を元に加筆編集しました新書が出ましたので是非お読みください。

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「清野裕司のマーケティング考 風を聴く」

今、経営に新たな思考力が求められています。市場にはどのような風が吹いているのでしょうか。風の音に耳を澄ませていると、次代に向けた風の通り道から、マーケティング思考で未来への道標が浮かんでくるかもしれません。それはまた、自分の心に吹く風の音を聴くことにも繋がるのではないか考えました。

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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第175話)

第175話:2019年後半から世界の経済成長率は鈍化も21年に復調

 2008年9月に発生した「リーマンショック」以降、米国は負のGDPギャップの着実な縮小が続き、経済は正常化に向かっている。そうした正常化は今後も進展することが期待されるため、米国は経済の成長力を取り戻し、ユーロ圏経済も遅れながら正常化に向かうことが注目される。

 ただし、米国経済の景気回復が長期化していることは、米国の景気回復局面が終盤に差し掛かっていることも意味する。過去の経験則に基づけば、米国経済はGDPギャップがプラスになってから2~4年で景気後退になるため、米国経済は2020年前後の景気後退が想定される。その後は米国の迅速な金融・財政政策により1年程度で景気後退は脱し、平均2%程度の潜在成長率に見合った経済成長を取り戻すことを想定している。

 一方のユーロ圏は、中期的には1%台半ば程度の安定した経済成長が続く見込みである。2018年のユーロ圏経済は引き続き+1%台の潜在成長率を上回るペースで拡大しており、賃金上昇圧力が高まる中、インフレ率は緩やかに上昇することが予想される。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和政策は年内に終了し、来年中にもECBは政策金利の引き上げを開始すると予想する。

 他方、これまで世界経済をけん引してきた中国は、人口動態の推移通り緩やかな減速過程が続く。中国の人口ボーナス指数はすでにピークアウトした。こうした人口動態の変化はすでに経済成長率の鈍化に表れている。しかし、中国の経済成長率は、依然として6%台を上回っている。従って、中国経済のけん引力は低下するものの、2020年代後半でも4%台の経済成長を維持するだろう。

 この関係を念頭に、今後の主要地域の経済成長率の中期展望を示すと、2010年代後半は先進国が停滞を脱して正常化に向かう傾向を見て取ることができる。一方、新常態を標榜する中国の経済成長率は低下傾向を辿り、2020年代後半は4%台に低下する。こうしたことから、2020年代後半には、経済大国での生産年齢人口の伸び鈍化などから世界経済全体の成長率もやや鈍化する可能性が高い。

 また、今後も先進国と新興国の経済成長率見通しについて、IMFデータを元にした筆者の予測では、2019年後半以降に先進国は米国の景気後退局面入りで成長率が減速に向かい、新興国も先進国向けの輸出減速等により減速することになる。

 しかし、2020年以降は先進国が金融緩和に転じることなどにより、比較的早期に世界経済の減速は収束することになろう。このため、2021年以降は新興国経済の持ち直しも相俟って、世界経済も緩やかに正常化路線に復帰することが予想される。(第176話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第174話)

第174話:サマータイムを導入しても労働時間が伸びれば意味はない

 サマータイムの経済波及効果としては、社会経済生産性本部が2004年3月に「レジャーや観光産業に対する余暇需要の増加は6471億円で経済波及効果は9673億円になる」との試算を公表している。ちなみにこの付加価値の増加は、GDP比で約0.1%に相当する。

 また、政府や民間部門におけるコンピューターやソフトウェアの対応等でも約1000億円レベルの初期投資が必要となり、システムの面でも経済効果が期待できるとの向きもある。

 なお、2009年7月の1ヶ月間、札幌市で行われたサマータイム導入の実験をもとにした試算では、レジャーおよび観光産業に対する個人消費の増加を通じて北海道のGDPを0.4%押し上げる効果が確認されている。

 しかしこの他にも、例えばシステム変更等の導入コストがかかること等により企業の設備投資が押し上げられる可能性もあり、想定以上の特需が発生する可能性も否定できない。ただ、サマータイムを導入してもその分だけ勤務時間が増えれば、当然のことながらこうした経済効果は縮減される。事実、我が国が1948年に当時のGHQの指導で取り入れたサマータイムでは、朝鮮戦争特需の好景気により長時間労働を余儀なくされ、食糧不足とも相俟って結局4年で廃止となった経緯がある。

 従って、想定する程の経済効果が発生しない可能性も十分考えられるだろう。また、こうした中小企業等で労働時間の延長につながる労働強化の可能性以外にもサマータイム導入に伴う問題点は多い。たとえば。人体の体内時計が狂うことで睡眠不足になり、労働者の生産性が低下する可能性もある。また、早く帰宅して自宅や娯楽施設で電気を使用するなどでエネルギー節約効果が削減されるとの指摘もある。そして何よりも、時計の針を動かすことに伴う余分な導入コスト負担の増加や、システムを中心とした混乱といった大きなリスクが伴う。

 以上より、サマータイム導入の選択基準としてトータルの便益を定量的に算出することには限界があり、問題点の完全解決にも課題が残るといえよう。そもそも、先進国の殆どが導入していることへの対応や、明確に交通安全や防犯効果等を目的としたものであれば理解できる側面もある。しかし、そもそも東京五輪に向けた暑さ対策が目的なのであれば、効果が不透明でシステム等のトラブルリスクの伴うサマータイムを導入するよりも、競技時間の変更等で対応するほうが国民の理解を得やすいものと思われる。したがって、環境や経済、防犯面での不確実なメリットだけでなく、労働強化や生産性低下、システムトラブル等のテールリスクについても活発に議論され、良い方向に進むことを期待したい。(第175話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第144話)

第144話:今の時代。「くらしの十戒」はどう考えるべきでしょうか。

 暑さを実感するようになると夏休みの季節が浮かび、子どもたちのにぎやかな声が、セミの泣き声と共に聞こえてくる風景が思い出されます。しかし今、休日に自宅にいても、殆ど子どものはしゃいだ声は聞こえてきません。少子化が叫ばれて久しいのですが、かと言いつつも近隣に子どもの姿は散見されます。

 最近はテレビのニュースや新聞紙上に子どもたちのことが多く取り上げられます。しかも、明るい話ではありません。幼児虐待や児童監禁といった、何ともやりきれなくなるような漢字の中に、その主人公として登場してくるのです。「子どもらしく・・・」「子どもだから・・・」といった前提が成り立たない様子です。何が問題なのか、社会的な背景は何なのかと、多くの意見が発信されます。そのどれを聞いても、ある場面で「したり」と思うものはあるのですが、一人ひとりの大人が、わが身を振り返る必要があるのではないかとも思います。

 その昔、「十戒」を映画で見て鮮烈な印象が今も残っています。モーゼがシナイ山で神から啓示を受ける。「あなたはわたしのほかに、何ものも神としてはならない。」に始まる10の掟(『旧約聖書』出エジプト記 第20章)。

 その中に、「あなたの父と母を敬え。」「あなたは殺してはならない。」「あなたは姦淫してはならない。」「あなたは盗んではならない。」「あなたは隣人について、偽証してはならない。」「あなたは隣人の家をむさぼってはならない。」があります。それぞれに時を超えた真理を感じます。心に刻まれた言葉は、いつか暮らしの中の態度や行動に現れます。

 今の社会の十戒は、どのように刻まれているのでしょうか。そんな想いが広がる夏のひと時です。(第145話に続きます)

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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第173話)

第173話:政界で活発になるサマータイム導入の動き

 夏の間、時計の針を進めるサマータイム制の導入を目指す動きが出ている。その中で、サマータイムの導入に伴って我々の生活活動時間内に明るい時間が増加すれば、娯楽・レジャー・外食等への出費増を通じて経済効果をもたらす可能性があることが指摘されている。事実、既に(財)社会経済生産性本部がサマータイムの経済社会に与えるインパクトを調査しており、短期的な直接効果と長期的な間接効果の両面から報告している。ただし、こうした効果の中には省エネやライフスタイル変化による効果が含まれており、必ずしも短期的にGDPに影響を及ぼすとは限らない。また、経済波及効果についても、余暇需要の増加といった切り口から産業連関表を用いて産業毎の生産および付加価値誘発額を試算している。しかし、サマータイムの導入で増加するのは余暇時間そのものではなく、余暇時間に占める日照時間である。

 そもそもサマータイム(夏時間)の定義としては、日照時間が増加する時期に時計の針を早めて早起きをし、その明るい時間を有効に活用しようとするものである。

 世界では、欧州40カ国をはじめ、60カ国がサマータイム制を実施しており、特にOECD加盟国では35か国中31カ国がサマータイムを実施している。そして、未実施国としては日本、韓国、アイスランド、トルコと少数派である。

 こうした導入国では、ライフスタイルの改善や余暇の充実、省エネ・環境保護の推進、観光の振興、治安などの面で評価されており、市民生活に根付いた制度となっている。

 ただ、日本でも戦後にGHQの指令によりサマータイム制度を実施したが、国民の理解を得られず4年で廃止となった。そして、その後に何度も省エネ目的で検討されたが、結果的に見送られている。

 一般的なサマータイム導入の効果としては、電気などの使用を控えることでエネルギーの節約や温暖化ガスの削減に役立つことのほか、退社後の明るい余暇の時間ができることで、小売店などの売り上げ増や仕事のあとの時間を楽しむことができるなどが指摘されている。ただ海外の事例では、もっとも明確な効果として交通安全・防犯効果が指摘されている。

 なお省エネ効果としては、チームマイナス6%(地球温暖化の一因とされる温室効果ガスを抑制するために2005年〜2009年12月まで日本国政府が主導したプロジェクト)が、4-9月までの6ヶ月において1時間サマータイムを実施しても、原油換算の節約量は政府の省エネ対策目標の1%に満たないが、約25万世帯の1年分のエネルギー消費量に相当すると指摘していた。また、サマータイムに伴う年2回の時計変更により、少なくとも年2回サマータイムの意義や環境問題についてPRすることで、更なる省エネに寄与するとの指摘もある。(第174話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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