清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第127話)

第127話:雪がとける先へ・・・「想い」は未来を描きます。

 世情余り明るい話しを聞くことなく時が刻まれていくように感じます。政治の世界にあっても、この国の進路についての深い議論が聞こえてこない印象があります。

 昨今の世情に耳を傾けていると、「賢実,斬新,好奇心,挑戦,夢・・・」日本企業がかつて成長の軌道にのって邁進していた時に持ち続けていた心が、いつからか忘れ去られてしまったように感じてしまいます。「ありがとう」「ごめんなさい」「失礼します」「おかげさまで」・・・日常に行き交うお互いを思い遣り、慮る言葉。どこかに置き去りにしてしまったのでしょうか。

 日本には、忘れてはならない「和」の心が底流に流れています。「和」は「なごみ」。決して「癒し」ではありません。ほっとするのは、自らが「和む」ことです。人に何かをされるのではなく、自分自身でかかわりを持ちながら、一つひとつを丹念に仕上げていく達成への想いが基本にあるものです。

 日本型ビジネスのスタイルは本来、そのような和の心を内包したモデルではないかと思います。他者の良いところを積極的に取り入れ、加工し、新たに創り上げる力。決して人真似ではない。創造性に富んだ、一人ひとりの感性が結実したものです。未来に向けて描くデザインは、与えられるものではなく、自分自身で描くものです。

 降り積もった雪が固まってしまったようにも思える時は、自らのビジネス・スタイルを描く力が、一人ひとりに問われているのではないでしょうか。明るい絵を描きたいといつも考えています。寒々しい空気を打ち破る力は、未来像の実現に向けて想い続け、実行する力です。

 雪はとけると・・・「春」になる。その先への道が開けて見える季節になります。

 新しい年も引き続き、時代を描くマーケティング・スタイルを想い、施行を深め、実現の道を求めていきたいと考えて今す。(第128話に続きます)

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 2016年11月の九州生産性本部での授業風景
株式会社マップス 
代表取締役 清野 裕司

当ブログの寄稿記事を元に加筆編集しました新書が出ましたので是非お読みください。

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「清野裕司のマーケティング考 風を聴く」

今、経営に新たな思考力が求められています。市場にはどのような風が吹いているのでしょうか。風の音に耳を澄ませていると、次代に向けた風の通り道から、マーケティング思考で未来への道標が浮かんでくるかもしれません。それはまた、自分の心に吹く風の音を聴くことにも繋がるのではないか考えました。

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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第142話)

第142話:国内設備投資よりも海外展開

 「キャッシュフロー」とは、簡便的には当期利益の内部留保分に減価償却を加えたものであり、こちらも設備投資と密接な関係がある。この考え方は、学問的にも実務的にも定着している。分かりやすく言えば、「キャッシュフロー」とは、企業活動の中で獲得した正味の現金収支であり、企業が自ら獲得した資金となる。そして、仮にキャッシュフローと外部からの調達資金にコスト差が無ければ、設備投資はキャッシュフローの動向に大きく影響を受けないはずである。しかし、キャッシュフローと外部資金にコスト差が生じれば、設備投資が相対的に低コストであるキャッシュフローに影響されることになる。この外部資金のコスト差の部分は「エージェンシーコスト」と呼ばれる。ここでのエージェンシーとは、外部資金提供者(依頼人)と企業(代理人)の関係として整理することができるが、外部資金は企業内部に発生するキャッシュフローに比べて「エージェンシーコスト」がかかる分だけ割高となる。実務面でも、企業が設備投資計画を策定する際には、キャッシュフローの見込額をまず想定する。そして、足りない部分を銀行借り入れや資本市場からの調達等で賄うという資金計画を立てる。事実、キャッシュフローと設備投資との長期的関係を見ても、キャッシュフローと設備投資は総じて連動してきたことが見て取れる。しかし、設備投資とキャッシュフローとの相対関係は、年代によって変化してきた。

 設備投資がキャッシュフローを上回る場合は、外部からの資金調達に依存する。このため、総じて80年代後半から90年代前半に掛けては、企業による資金調達が活発であったことが分かる。その後、90年代後半以降はキャッシュフローに連動して推移したが、98年以降は両者の差が拡大し、設備投資はキャッシュフローを下回っている。この背景には、企業が過剰設備や過剰債務の処理に追われたことがある。これは、期待収益率の低い設備投資よりも、デフレで実質的な負担が高まる有利子負債の返済にお金を使ったほうが有利だったということだろう。

 一方、2003年以降は企業の期待収益率が高まったが、キャッシュフローの水準を鑑みれば、設備投資は依然として抑制傾向にあった。これには経済のグローバル化が関係している。つまり、日本企業が国内設備投資のみならず、海外への設備投資やM&Aといった資金の使い道も視野に入れてきたことが影響している。これらにあたって企業が焦点を当てたのは、生産立地としての新興国の人件費の安さだけでなく、経済連携協定締結において日本が他のアジア諸国に遅れをとってきた中、地域での販売市場の開拓に注力してきたこともある。この裏づけとして、経済産業省の「海外事業活動基本調査」から、製造業の海外生産比率の推移がわかる。これによれば、リーマンショックで急速な円高が進行した2009年度以降の海外生産比率は上昇を続けており、直近の2015年度時点では25.3%まで上昇している。更に、これを海外進出企業だけで見れば、海外生産比率は38.9%まで上昇している。従って、企業活動のグローバル化は今後も進展する可能性が高く、国内設備投資がキャッシュフローの範囲内で賄われる状況は今後も続くことになるだろう。(第143話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第141話)

第141話:設備投資こそが経済成長の原動力

 国内総生産(GDP)最大の需要項目である個人消費は、日本のGDPの6割弱を占めることから、経済成長を大きく左右する。しかし、家計所得の水準が下方屈折した1998年以降の個人消費は、伸びてもせいぜい年+1%台であり、リーマンショック後の落ち込みでも年▲2%台と変動幅が小さいことが特徴である。これに対して、設備投資はGDPの15%程度と個人消費と比べて規模は小さいわけだが、変動幅が大きいことから、景気への影響力も大きいという特徴がある。

 それによって、『景気循環の原動力はむしろ設備投資』という見方が浮かび上がる。したがって、市場関係者の多くは、昔からこのように考えて景気を判断している。経済学者の考え方も同じである。

 GDPにおける設備投資は、正式には「民間企業設備」と呼ばれている。これは企業が製品やサービスを提供するために購入する機械や建築物、ソフトウェアなどが該当する。そして、設備投資の動向を捉えるにあたって、極めて重要性の高い二つの要素がある。

 最初に取り上げる視点は企業の期待収益率から見る「投資採算」である。これは、投資する資本を上回る収益が得られるかどうかということである。つまり、設備投資は投資による期待収益とコストの関係を企業がどう見るかに依存する。企業が投資コストに見合う収益が期待できると判断すれば、設備投資を増やして生産能力を増強する。逆に、景気の悪化で設備が過剰になると判断すれば、設備投資は抑制される。また、市中の金利が低くなると、それだけ企業の資金調達コストが縮小することから、金利の低下は設備投資の刺激要因となり、逆に企業の期待収益率を上回る金利上昇は、投資採算の悪化を通じて設備投資の抑制要因となる。

 一方、マクロ経済の視点から見る「投資採算」は、実物資産の収益性と金利の差分として定義される。そして、これは企業が実物投資か金融資産投資かの選択を行う際に重要な意味を持つ。

 実物資産の収益率が金利に比べて十分高い水準にある場合は、設備投資が増加基調を示し、逆の場合は減少に転じると考えられている。事実、2000年代後半までは設備投資の増減率とマクロ経済の視点から見るこの投資採算との間には、総じて密接な関係が観察されてきた。しかし、2010年代以降は、金利の低下と実物資産の収益率の上昇から投資採算は上昇したが、設備投資は投資採算の伸びほどは伸びていない。

 そのヒントは、内閣府の「企業行動に関するアンケート調査」に隠されている。この調査では、上場企業の中期的な経済成長率見通しを集計している。これによれば、企業による我が国経済の先行き見通しは、2010年代半ばにかけて厳しさを増していたことがわかる。つまり、いくら現状の実物資産の収益率が上昇しても、企業の期待成長率が上昇しなかったのである。結局は、金利は低水準でも、企業が我が国経済の見通しに楽観的になっていないことが、設備投資の伸び悩みの背景の一つにある。(第142話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第140話)

第140話:戦後2番目の景気も2019年は岐路に

 家計部門の低迷はGDPを所得(分配)面から見ると分かる。実際、国民所得に占める雇用者報酬の比率を示す労働分配率は2008年度の72.1%から2015年度に67.8%に下がっており、企業が儲けを家計に分配する度合いが低下していることがわかる。

 この背景には、デフレマインドの蔓延と新興国の台頭を契機とする経済のグローバル化がある。つまり、①過去20年以上のデフレのトラウマで企業経営者が賃上げに臆病になっている、②企業の生産拠点や販売市場の国際化、③株主構成の国際化、といった要因によって企業がグローバル化によって景気回復を主導しても賃金が伸び悩み、政府が財政健全化を急ぐことから内需が盛り上がらない構造になっている。経済のグローバル化は止まらないため、今後も政府が財政健全化を急ぐことが続けば、企業主導で景気が拡大しても家計が低迷する構造は続く可能性が高いだろう。

 一方、一国の経済成長を見る場合、物価変動や性能向上分を調整した実質GDPで見るのが一般的である。

 1960年代の日本は高度成長期と呼ばれ、平均して10.4%成長を遂げた。この時期は、現在の中国のように豊富な家計貯蓄を企業が借り入れて積極的に設備投資を行っていた。また、農村から都市部への人口移動によって第一次から第二次産業へ労働力がシフトし、製鉄や石油化学などの重化学工業にけん引されて経済が急成長した。

 しかし、その後は二度の石油危機で1970年代が5.0%、1980年代が4.4%と大きく減速した。原油高でけん引役だった重化学工業が打撃を受けたほか、都市部への人口移動が一段落したこと、先進国への技術面のキャッチアップ余地が限られてきたこともあり、設備投資の伸びが大きく鈍化したためである。

 ただ、1980年代後半にはバブル経済により一時的に成長率が高まった。株価や地価の上昇による資産効果を背景に民間需要が大きく拡大したためである。しかし、経済の実態からかけ離れた資産価格の上昇は長続きせず、バブル経済が崩壊した1990年代以降は日本経済が設備、雇用、債務の「三つの過剰」の処理に苦しみ、日本経済の成長率は平均1.6%に落ち込んだ。その後、2000年代の経済成長率は平均0.5%まで落ち込んだ後、2010年代以降の成長率は2016年度までの平均で1.3%と改善した。背景には、リーマンショックからの持ち直しによる海外経済の好調に支えられたことや、アベノミクスの始動により過度な円高・株安が是正され、ビジネス環境の改善が進んだことがある。

 しかし、足元の日本経済は、景気回復が8年以上続いている米国の金融正常化の影響もあり、2012年末から始まった戦後二番目の景気回復が終盤を迎えつつある可能性がある。こうしたことから、足元の日本経済は、特に東京五輪特需のピークアウトと消費税率引き上げが重なるかもしれない2019年10月以降は景気回復が持続できるかの重要な局面に近づいているかもしれない。(第141話に続きます)

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清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第126話)

第126話:「ご迷惑をお掛け致します」の相手は誰でしょうか。

 人それぞれに生活のリズムがあるものです。自分にとっての通常時間に家を出て、いつもの時間の電車に乗ります。朝の通勤時間が通学時間と一緒になり、交通機関もそれなりの混み具合です。土曜日はタイミングが良いと席を確保できることもあり、しばしの書斎空間で読書の時間と決め込んでいます。でも普段はなかなかそうはいきません。

 その混みあった車両の中で大きく空間をとり、新聞を開いている者がいます。ひたすら黙って携帯メールを操作している者もいます。はたまた、他人と肩を接しそうになる空間で、眼の周りの化粧を整えている者。声高に視聴率の高い番組への評論家的な会話も聞こえてきます。自分の高校時代の通学時に携帯はありませんが、同じようにその時々のTV番組の話をしていたのかと思い起すことがあります。

 程なくして、ターミナル駅に到着。出口のドアに人が溜まります。その混乱の中で自分のペースで歩いていくのは至難の業。何となく今日一日の予定などが頭に浮かんでくる時に、車内放送で「車内混雑、大変ご迷惑をお掛け致しました」のアナウンスが流れます。ほぼ毎日耳にしているフレーズですが、不思議に思うときでもあります。

 迷惑をかけたのは、誰でしょうか。迷惑をこうむった人は、どのような迷惑を受けたのでしょうか。その電車に乗っていた乗客全てに向けたメッセージなのでしょうか。とすれば、私はどのような迷惑を受けたか。しいて言えば、大声で担当教諭の悪口を言い合う無礼な話か、二人分の空間を占有して新聞を読む女性。長くもない足を投げ出して座る若いビジネスマン。降りる駅が近づくと、一言の声を発することもなく目一杯ヒジに力を入れて人を押しのけていく者。彼らは確かに迷惑でした。

 とすれば、先ほど聞いたアナウンスは、彼らに代わって車掌が発したお詫びの言葉だったのでしょうか。(第127話に続きます)

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代表取締役 清野 裕司

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「清野裕司のマーケティング考 風を聴く」

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