エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第110話)

第110話:日米金融政策の注目点

 金融政策の変更以外でFRB(米連邦準備理事会)の動向やFOMC(連邦公開市場委員会)の最大の注目点はずばりドットチャート、つまりFOMCメンバーのFFレート見通しを点(ドット)で示したものである。ただ全体の見通し以上に注目されるのが25パーセンタイルである。

 3の倍数の月に開かれるFOMCではFFレートの見通しが公表される。多くの場合、メディアで報道されるのは「全体の中央値」である。しかし、全体の中央値以外にも「下位25%のメンバーの平均」も出る。それが25パーセンタイルである。

 なぜ注目されるかというと、その下位25%の中に、恐らくハト派のイエレン議長が含まれているからである。例えば2016年12月の利上げでドル円レートは118円台まで円安に振れた。しかし、筆者はあまり時間を置かずに円高に戻ってくるのではないかと予想していた。

 その理由は、2017年の利上げ回数について「全体の中央値」は2回から3回に引き上げられていたものの、25パーセンタイルでは2回のままだったからである。FOMCは合議制とはいえ、イエレン議長が2017年の利上げは年2回と考えているのであれば、急激なドル高はオーバーシュートであり、早晩アンワインドすると予想された。

 一方の日本銀行については、世界的に景気が上向いている状況では、イールドカーブコントロール政策は非常に効果を発揮する。原油価格が戻って期待インフレ率が上昇すれば、世界各国の長期金利に上昇圧力がかかり、ゼロ近辺にアンカリングしている日本の長期金利との金利差が拡大し、円安になりやすいためである。

 従って、しばらくはこのままで維持されると予想される。ただ、来年くらいに金融政策の変更を行う可能性がある。具体的には、長期金利ターゲットの引き上げである。なぜ引き上げるかというと、物価上昇で実質金利が下がった等の色々な理由付けはできるが、引き金を引くのは円安の進行だと思われる。

 トランプ氏のインフラ投資や減税の中でも特にレパトリ減税が相当効くと予想されるが、来年にかけてドル高円安が相当進む可能性がある。過去を振り返れば、1ドル125円を超えてくると、輸入物価の上昇で庶民から悲鳴が上がり、官邸もそれを気にして、黒田総裁にその気があったかなかったかは別にして黒田ラインが形成された経緯がある。

 FRBの利上げは今年2〜3回、来年は3~4回と想定している。そうすると、基本的にはドル高円安になる可能性があるが、1ドル120円台半ば程度まで円安が進む局面になると、日銀は長期金利ターゲットの引き上げも検討してくると考えられる。(第111話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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第一生命経済研究所
首席エコノミスト:永濱利廣(監修)

mainasu2016年1月29日に日銀の金融政策決定会合で決定され、2月16日から実施された「マイナス金利」。

プラスであることが当たり前の金利がマイナスになるとは、いったいどういうことなのか?

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