清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第92話)

第92話:ビジネス現場では「5現主義」の思考が重要です。

 日本が生み出した経営管理手法の一つにQC(Quality Control)があります。そこで問われることは「品質優先」であり、管理のサイクルとしての「PDCA(Plan-Do-Check-Action)」はよく知られたことです。業務をその結果だけで見るのではなく、仕事のやり方に着目し、その方法や仕組みを常に向上させようとする「プロセス管理」や、仕事のやり方の「標準」を決めて活用していこうとする思想が代表しています。

 その中に、管理の方法として、個人的なあるいは組織の経験や勘にのみ頼るのではなく、過去のデータや事実を基本にして判断をする「3現主義」は有名なキーワードとして取り上げられます。「現場・現物・現実」の3現です。さらにこの3現に音としてのふたつの「ゲン」「原理・原則」を加えて5現主義と言うこともあります。

 音としては確かに「ゲン」ですが、どうも私には馴染みません。マーケティングでは、「現在・現象」を加えた「5現主義」と捉えています。

 送り手と受け手の出会いの場である「市場」の変化を自らの経営思想に取り込み、変化に適応することは勿論、それだけに止まらず送り手自身が変化を生み出す行動を仕掛けていく。そこにマーケティングの根源的な意味があります。つまり、顧客と出会う「現場」の変化をいかに捉えるかが変化適応のスタートにもなるのです。

 しかも、過去を追いかけて分析するのではなく「現在」起きている「現象」をつぶさに見る姿勢が求められます。過去のしがらみにこだわっていたのでは、新しい発想が阻害されてしまいます。しかも、やり取りされるのは架空のものではなく、「現実」の暮らしやビジネスの中で活用される「現物」であることは言うまでもありません。

 リアルな社会にある事実を読み解き、新たな社会の変化を予見するマーケティング・スタッフにとって必要なことは、「現在」起きている「現場」の「現象」を、取引の「現物」を通じて「現実」的に捉える「5現主義」思考の実践ではないでしょうか。(第93話に続きます)

法政2015年最終講義:2015.12.21

清野氏 法政大学 講義

株式会社マップス 代表取締役 清野 裕司

Eメール: maps@mapscom.co.jp

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エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第69話)

第69話:参院選前に打ち出される観測の経済対策

 各紙の報道によれば、政府は足元のマーケットの混乱や世界経済の減速に対応すべく、5月26~27日に伊勢志摩で開催されたG7サミット後に経済対策をまとめるとされている。

 経済対策の規模についても、政府・与党内で「5兆円超」や「10兆円前後」との見方があると報道されている。また、熊本・大分両県で4月14日以降相次いでいる地震の復旧・復興に対して、大型の補正予算が組まれることが予想される。

 経済対策の規模を設定する際に一般的に参考にされるのが、潜在GDPと実際の実質GDPのかい離を示すGDPギャップ率である。2015年10-12月期のGDP二次速報を反映した直近のGDPギャップ率は、内閣府の推計によれば▲1.6%に拡大しており、これを金額に換算すれば約8.6兆円となる。

 政府は既に平成27年度に総事業規模3.5兆円の補正予算を決めており、今年度からその効果が出現することが期待されている。そして実際に、政府は平成27年度補正予算の経済効果として実質GDPを0.6%程度押し上げると試算しており、これを金額に換算すると3.2兆円程度となる。従って、経済対策の内容にもよるが、少なくとも平成27年度補正予算に近い内容の経済対策を前提とすれば、事業規模の約9割分が実質GDPにカウントされる計算となる。

 一方、平成27年度補正予算の経済効果が出現しても、足元のGDPギャップを基準とすれば、まだ8.6兆円から3.2兆円を引いた残りの5.4兆円のデフレギャップが残ることになる。従って、少なくとも平成27年度補正予算に近い内容で足元のGDPギャップを解消するのに十分な規模の経済対策を前提とすれば、5.4兆円を0.9で割った結果として得られる6兆円程度の追加の経済対策が必要となる。

 ただ、4月以降に熊本県と大分県で相次いで発生している地震では、巨額な資本ストックの被害が発生していることが予想される。実際、内閣府によれば、今回の熊本地震の被害額を2.4~4.6兆円と試算している。資本ストックの被害総額が1.7~3.0兆円と試算された新潟中越地震においても、発生年度に打ち出された補正予算の規模が4.8兆円にも上ったことからすると、すでに閣議決定した熊本地震対応の補正予算案7780億円に加えて、5兆円程度の復興予算が予想される。(第70話に続きます)

 また、夏の参議院選挙を見据えた景気対策の意図もあることからすれば、サミットで示されたG7が機動的な財政出動と構造改革の推進に協力するという宣言を踏まえ、日本が率先して政策総動員で取り組む姿勢を前面に打ち出すという意図から、需要不足解消に地震の復旧・復興の費用を加えることで、規模がさらに膨張して真水で10兆円規模の対策に拡大する可能性も十分に考えられよう。nagahama0607png

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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60分でわかる「マイナス金利」
第一生命経済研究所
首席エコノミスト:永濱利廣(監修)

mainasu2016年1月29日に日銀の金融政策決定会合で決定され、2月16日から実施された「マイナス金利」。

プラスであることが当たり前の金利がマイナスになるとは、いったいどういうことなのか?

日本の経済を再生する原動力となるのか?

そして、私たちの生活にどのように関係するのか?

誰もが疑問に思うことを、Q&A方式を用いて簡潔に解説していきます。
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“Solution”の思考プロセスを考える。

第5回:“Solution”とは「課題解決」ではなく、現状の「問題発見」である。

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“Solution”の思考プロセスを考える。

ソリューション・ビジネスに関する議論が活発です。そのまま「課題解決」と訳して使われます。しかし、「課題」とは実行すべきこと(テーマ)を言います。

したがって「課題」は解決するものではありません。重要なことは、現在起きている「問題(現象)」を細かく見て、起きていることの背景は何故かを押さえることです。

「問題」は現在起きている事実。「問題点」は現象が起きる背景や原因を考えること。それらを踏まえて、今後への道筋を設計するのが「課題」です。思考は断片ではなく、プロセスなのです。(第6回に続きます)

 

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清野氏 法政大学 講義

株式会社マップス 代表取締役 清野 裕司

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