清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第79話)

第79話:サラリーマンとビジネスマンの違いは何でしょうか。

 古い話ですが、昭和30年代に流行った歌に、植木等が歌った一連の「サラリーマン讃歌」があります。曰く♪サラリーマンは気楽な稼業・・・・♪わかっちゃいるけどやめられない・・・♪そして、当時の東宝映画には「社長シリーズ」や「サラリーマン出世太閤記」のような、会社勤めの楽しさ、つらさ、面白さを謳った喜劇に人気がありました。すでに何年の時が流れたでしょうか。何となく悲哀を感じさせながらも、その響きには今の状況から逃げることの出来ない何かを感じさせる単語として「サラリーマン」があったように思います。

 そして今も、「サラリーマン減税」や「サラリーマン年金」と、やはり普段の生活がにじみ出るような呼称です。職業を言っている言葉ではありません。働いたことの対価として俸給を得ている「サラリー」を貰っている人々を「サラリーマン」と言うことでしょうか。あまり前向きな印象ではありません。何を対価物として供しているのかがはっきりしないからです。労働力・労働時間といった、どちらかと言えば「人力」を対象としているように感じてしまいます。

 その言葉と対峙するように、最近は「ビジネスマン」が良く使われます。本来的には実業家でしょうが、仕事をしている人といったダイナミックな印象もあります。サラリーマンが状況的であることに対して、ビジネスマンは行動的です。やっていることの内容まではわからないものの、イメージで言えば、決められたことを所定時間内に仕上げるだけのルーチン業務に限らない領域にまで、行動範囲が広いようにも感じます。

 サラリーという対価を主にした言葉。ビジネスという仕事を主にした言葉。「サラリーマン」は思い至る先には「自分の生活」があり、「ビジネスマン」のそれは、「人生を描く」想いにあるようにも解釈できます。個人的には対価意識よりも業務意識の方が強いのですが、あなたの思考はどちらでしょうか。(第80話に続きます)

 

清野氏 法政大学 講義

株式会社マップス 代表取締役 清野 裕司

Eメール: maps@mapscom.co.jp

URL: http://www.mapscom.co.jp

 

books

 

 

 

清野裕司氏の書籍はアマゾンページからご購入いただけます。

(写真をクリックしていただくとアマゾンページに移動します)

 

 

エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第54話)

第54話:電力小売り自由化の影響

 4月の電力小売り自由化に向けて、新規電力事業者が顧客の獲得へ動いている。自社商品とのセット割引や独自の販売網を生かし、電力大手のシェアを奪おうとしており、自由化で新たに生まれる年8兆円の市場を巡る争いが激化している。実際、総務省の統計によれば、電気料金の価格が東日本大震災を経て急激に上昇しており、電気料金が家計支出に占める割合も拡大傾向にあったことがわかる。

 まず、電気は生活必需となるため、これが引き下げられれば低所得世帯により恩恵が及ぶ可能性がある。また一方で、外出の頻度が低い傾向があるため、相対的に高齢層の負担軽減効果が高い可能性がある。

 実際、総務省の家計調査を用いて、二人以上の世帯主の年齢階層別と年収階層別に分け、2014年の消費支出に占める電気料金の割合を算出した。結果は、世帯主の年齢階層が高いほど電気代の割合が高く、電気料金値下げの恩恵を受けやすいということになる。また、年収階層別でみると、年収600万円未満世帯で電気代割合が平均を上回る。なお、地域別に比較すると、一人当たり利用額で見ると北陸・四国、消費支出に占める割合でみると沖縄・東北の利用が高いことがわかる。

 従って、電気料金が引き下げられれば、特に地方の高齢者世帯や低所得者層世帯への恩恵がより大きくなる可能性が高い。

 一方、2014年の総務省家計調査を用いた試算では、一人当たり年平均47,163円を電気代に費やしていることになる。これは、仮に電気代が5%安くなると国民一人当たり2,358円の負担軽減につながるため、家計全体では3,018億円程度の負担軽減になることを示唆している。

 そこで、内閣府の最新マクロモデルの乗数を用いて、電気料金が仮に5%引き下げられた場合の効果を試算すると、個人消費の+0.03%押し上げを通じて経済成長率を+0.02%ポイント押し上げることになる。

また、2014年平均の総務省家計調査を用いて世帯主の年齢階層別の負担軽減額を算出すると、世帯主の年齢が20代の世帯では5000円/年を下回るも、世帯主が40代以降になるとその額が6000円を上回る。同様に、世帯の年収階層別では、年収が1000万円以上の世帯では8000円を上回る、年収200万円未満ではその額が5,000円を下回ることになる。

 しかし、一律的な値下げとなると、家計部門への直接的な恩恵はあるが、電力会社の売り上げは値下げ分減少することが想定されるので、その分の悪影響も考慮しなければならない。したがって、家計部門のメリットはあるが、電気事業者には業績悪化のリスクもあり、トータルでどの程度のメリットとなるかの計算は困難である。

 このため、電力小売り自由化は、家計支援策として議論を進めるというよりも、電力事業者の競争環境の整備を通じて、いかに料金引き下げを図るかという観点で議論を進めるべきものと考えられる。(第55話に続きます)

 

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所

経済調査部 主席エコノミスト

永濱利廣

 

エコノミスト永濱氏の新刊も是非お読みください。

http://www.seishun.co.jp/book/16673/

(ご購入は上のURLからもできます)

 

 

nagahama20161011企画提案、事後報告、業界予測──。自分のやりたい仕事を通すには、わかりやすさと説得力を兼ね備えたレポートをつくる力が欠かせません。でも、多くは「表やグラフを多用しすぎ」「論旨が脱線」「とにかく長い……」など、“残念なレポート”になってしまっています。長年、業界のプロや一般読者を対象に“読ませるレポート”を作成してきたエコノミストが、どんなレポートも見違える大原則を公開します。

原秀治の“わくわくイノベーション”コラム/柔らかい発想(第31話)

第31話:ネットワーク・イノベーション

 イノベーション・モデルのパターンの中に、ネットワーク・イノベーションがあります。簡単に言えば、「価値を生み出すために、どのようにして他社(者)とつながるか」です。

 企業(個人)の能力や経営資源には限界があるので、自社の強みを生かしながら、弱みについては、他社(者)の能力や経営資源を利用すれば良いのです。

 ネットワーク(つながり)の期間には、短期間や長期間による連携や提携方法などがあります。

 クラウド・ファンファンディングといって、アイデアをインターネットにより、広く告知することで、ファンづくりや資金調達をするビジネスモデルがあります。

 具体的な取り組み事例では、1人のプロレスラーが離島の魅力を島外に伝えたい。離島をもっと元気にしたいという想いから、離島でプロレスを無料開催するというプロジェクトを考えました。

 プロレスラーの強みは、プロレスにより、島内外からお客様を集客できることです。

 離島の強みは、自然の魅力・人の優しさ・美味しい食などです。そして、地元の行政からも、記者会見などプロジエクトの告知をサポートして頂きました。

 これに、地域を元気にするプロジェクトをクラウドファンディングでサポートすることを強みとしているプラットフォーム(FAAVO)が連携することにより、

 「離島(行政)☓プロレスラー☓プラットフォーム」というネットワークが構築され、離島プロジェクト(新しい価値の提供)が実現しました。

 「道具は使い方。頭は使い方。知恵の集結。」などという言葉もあるように、「強みは使い方」です。強みを生かすために、「どのようにして他社(者)とつながるか?」。イノベーションへの大切な問いです。(第32話に続きます)

 

毎月開催している「わくわくイノベーション塾」では、参加者の想いと対話を重視した「オープンな共創の場」の提供により、皆さんと一緒に地域の未来を描いています。

 わくわくイノベーション塾の詳細は、下記リンクの「新着情報」でご覧になれます。

http://www.biznavi.co.jp/news/171.html

https://faavo.jp/fukuoka

原 秀治 氏

原 秀治 氏

株式会社ビズ・ナビ&カンパニー

シニア・コンサルタント 原 秀治

Eメール:shuji@biznavi.co.jp

URL: http://www.biznavi.co.jp/

//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

☆原 秀治(はら しゅうじ)

☆所属コンサルティング会社

株式会社 ビズ・ナビ&カンパニー

・シニア コンサルタント(MBA)

・FAAVO福岡(ファンド最高運営責任者)

・わくわくイノベーション塾(主宰者)

 

☆専門領域 (企業コンサルティング&研修講師)

・イノベーション発想(未来シナリオ含む)

・戦略的問題解決(交渉術含む)

・意思決定と行動

 

☆開催セミナー&研修(主な実績)

・「わくわくイノベーション塾」毎月開催

・「地域×クラウドファンディング活用セミナー」随時開催

・「問題解決思考法」研修

・「問題解決のビジネス交渉術」研修

・「問題解決型リーダーシップ」研修

・「ロジカル シンキング」研修

・「クリエイティブ シンキング」研修

・「アイデア実現!ビジネスモデル作り」研修

・「地方自治体の政策形成」研修

・「新入社員の心構え」研修

・「プレゼンテーション力」研修

 

☆株式会社 ビズ・ナビ&カンパニー

・福岡市中央区舞鶴3-1-10 セレス赤坂門4F

・tel:092-761-6130

・HP:http://www.biznavi.co.jp/

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第78話)

第78話:ビジネススタイルは、基本を繰り返す「凡事徹底」こそが重要です。

 「継続は力」と昔から言われていることですが、現在のような変革の時代といわれる中にあって、改めてその重要さを実感します。旧弊を維持することを良しとはしませんが、変えなくても済むことを、無理やりに変えて、変わることが正しいようなコメントを聞くと、果たしてそうか・・・と疑問文を投げかけたくなります。

 新しい機能が、これでもかと言っているかのような新機種ラッシュのスマホ。本来的な機能や操作に慣れる前に次。新しければ良しとする風潮も気になります。環境適応を言いながら、使い切る前に新商品のラッシュ。今までのものの何が不都合だったのかとも思ってしまいます。それだけ、技術の進化スピードが速まってきていることの証でもあるのでしょう。付帯する技術的な進化に合わせて、次々と付加される便宜性であれば納得も出来ます。しかし、本来やるべきことをやっていないケースは、何ともやり切れぬ思いになります。

 買い物に店を覗く。当然客を出迎える「いらっしゃいませ」の溌剌とした声が聞かれるものと想定します。しかし聞こえてこない場面があります。聞こえるのは店員同士の会話の声。欲しいものを探して、客によって勝手に動かされた商品。整然と並べておくことが全てとは言わないまでも、いつでも選択しやすい状況になっているのが店頭ではないかと思います。そうではない雑然とした商品。塵ひとつ落ちていない清潔な店を求めているのではないまでも、食事をする空間は清潔感が基本。ところが、何とも雑然たる空間になっているファミリーレストランやファストフードの店。客が店内不案内であれば、丁寧に導くのが大型店舗にいる担当者だと思うのですが、客と眼を合わすことを避けるような態度の百貨店のフロア-スタッフ。

 基本とは何か。今の社会に問われているような気がします。当たり前と言われることには、特段の目新しさはありません。まさに平凡なことの繰り返しです。しかし、その凡事を徹底してやり続けることが難しいのです。難しいが故に、実現されている場に出会った時の感動と心の安定の高さがあることも事実であることを忘れてはならないと思います。(第79話に続きます)

 

清野氏 法政大学 講義

株式会社マップス 代表取締役 清野 裕司

Eメール: maps@mapscom.co.jp

URL: http://www.mapscom.co.jp

 

books

 

 

 

清野裕司氏の書籍はアマゾンページからご購入いただけます。

(写真をクリックしていただくとアマゾンページに移動します)

 

 

エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第53話)

第53話:消費税率引き上げで2017年度の経済成長率を1%程度押し下げ

 2017 年4 月から軽減税率を導入せずに消費税率が10%に引き上げられると、最終的に税収が5.6 兆円増えることになる。これは、一方で酒類・外食を除く食料を軽減税率の対象品目とした場合の必要な財源が1 兆円となるため、家計全体では4.6 兆円程度の負担になることを示唆している。

 そこで、内閣府の最新マクロモデルの乗数を用いて、消費税率が2%ポイント引き上げられた場合の影響を試算すると、初年度に個人消費の▲1.02%押し下げを通じて実質GDP を▲0.48%押し下げることになる。一方、そこに総額1兆円分の軽減税率を導入した場合の効果を試算すると、初年度に個人消費の押し下げ▲0.84%を通じて実質GDP を▲0.39%押し下げることになる。従って、1兆円分の軽減税率導入効果としては、初年度に個人消費の+0.18%押し上げを通じて実質GDPを+0.09%押し上げることになる。

 従って、内閣府のマクロ計量モデルの乗数をもとに経済成長率への影響を試算すれば、2016年度は駆け込み需要により+0.5%ポイント経済成長率を押し上げるが、2017年度については▲1.0%ポイントも経済成長率を押し下げると試算される。従って、外部環境にもよるが、無防備で消費税率を引き上げれば相当景気腰折れの可能性が高まるだろう。

 なお、軽減税率導入となると、IT関連業界への直接的な恩恵となるが、事業所などの会計システム変更を余儀なくされることが想定されるため、その分の一時的な効果も考慮しなければならない。一方、先に指摘した通り、財源捻出のために軽減税率以外の分野で増税となる可能性もあり、トータルでどの程度のメリットとなるかの試算は困難である。

 今後の消費税率引き上げにおける課題としては、まずデフレ脱却への影響が指摘できる。理由としては、ESPフォーキャスト調査に基づけば、フォーキャスターのコンセンサス通りに成長した場合はデフレギャップが来年度後半に解消することになるが、2017年4月から消費税率を引き上げることになると再度デフレギャップが生じてしまうためである。特に、2014年4月に消費税率を引き上げた際も、引き上げ直前にデフレギャップが一時的に解消したものの、消費税率引き上げ直後に安倍政権発足以前の水準までデフレギャップが逆戻りしてしまった経緯がある。また、軽減税率の事前準備が難しく、来年4月までに法律を作るには相当の困難を伴おう。

 更に、前回の消費税率引き上げの影響を勘案すると、安定的な財源が確保されることにより税収増が期待できる一方で、家計の恒常的な購買力低下で内需への影響が大きいという声もある。従って、前回の消費税率引き上げでは家計向けの支援策が0.7兆円弱にとどまったことからすれば、家計向けの支援策等、ある程度の予算を配分した対策は不可欠であると思われる。一方で、将来のさらなる消費税率引き上げ幅を抑制する意味でも、社会保障の効率化も必要な策といえる。(第54話に続きます)

 

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所

経済調査部 主席エコノミスト

永濱利廣

 

エコノミスト永濱氏の新刊も是非お読みください。

http://www.seishun.co.jp/book/16673/

(ご購入は上のURLからもできます)

 

 

nagahama20161011企画提案、事後報告、業界予測──。自分のやりたい仕事を通すには、わかりやすさと説得力を兼ね備えたレポートをつくる力が欠かせません。でも、多くは「表やグラフを多用しすぎ」「論旨が脱線」「とにかく長い……」など、“残念なレポート”になってしまっています。長年、業界のプロや一般読者を対象に“読ませるレポート”を作成してきたエコノミストが、どんなレポートも見違える大原則を公開します。