エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第30話)

第30話:先送りされただけの気象リスク

 暑後の10~12月期は反動が予想されることには注意が必要だ。過去の例では、記録的猛暑となった94、10年とも7~9月期は大幅プラス成長を記録した後、翌10~12月期は個人消費主導でマイナス成長に転じているという事実がある。

 つまり、猛暑特需は一時的に個人消費を実力以上に押し上げるが、むしろその後の反動減を大きくする姿が窺える。猛暑効果により売上を伸ばす財・サービスは暑さを凌ぐ為に止む無く出費するものが多い。従って、今年も猛暑効果で夏に過剰な出費がされれば、秋口以降は家計が節約モードに入ることが予想されるため、秋以降は注意が必要だ。

 更に我が国では、エルニーニョが冬まで続けば暖冬になりやすいという傾向がある。そして暖冬になれば、季節性の高い商品の売れ行きが落ち込み、いわゆる冬物商戦に悪影響を与えることが予想される。具体的には、冬場に需要が盛り上がる暖房器具や冬物衣料などの売れ行きが鈍るとみられる。

 実際、最も暖冬の影響が大きかった2006年10-12月期を例にとってみれば、家計調査における「家具・家事用品」は冷暖房用機具の落ち込みを主因に前年同期比▲1.2%に減少した。また「被服及び履物」も同▲5.4%と落ち込んでいる。また、暖房器具等の使用量が減り、いわゆる電気代等が減少することも予想される。2006年の暖冬を例にとってみれば、家計調査における光熱水道費は、10-12月期が前年同期比▲1.3%と減少している。

 一方、暖冬の影響としては、外出しやすくなることも予想される。このため、冬のレジャー以外の外出に関連する支出は恩恵を受けることになろう。実際、2006年の暖冬を例にとってみれば、家計調査の「交通」「教養娯楽」「保健医療」は、10‐12月期がいずれも増加している。

 そこで、国民経済計算のデータを用いて気象要因も含んだ10-12月期の家計消費関数を推計すると、10-12月期の平均気温が+1℃上昇すると、同時期の家計消費支出が▲0.6%程度押し下げられることになる。

 従って、この関係を用いて今年10-12月期の平均気温が2004年および2006年と同程度となった場合の影響を試算すれば、平均気温が前年差でそれぞれ+0.7℃、+0.8℃上昇することにより、今年10-12月期の家計消費はそれぞれ前年に比べていずれも約▲0.3兆円(▲0.5%)程度押し下げられることになる。

 ただし、家計消費が減少すれば、同時に輸入の減少等ももたらす。このため、こうした影響も考慮し、最終的に日照不足が実質GDPに及ぼす影響を試算すれば、04年並となった場合、06年並となった場合のいずれも▲0.25兆円(▲0.2%)ほど実質GDPを押し下げることになる。このように、暖冬の影響も経済全体で見れば無視できないものといえる。(第31話に続きます)

永濱 利廣 氏
永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所 経済調査部
主席エコノミスト 永濱利廣

エコノミスト永濱氏の書籍をご案内させていただきます。書店やネット(下の写真をクリックしてください)でお買い求めいただけます。

永濱利廣著
永濱利廣著

図解 ピケティの「21世紀の資本」
トマ・ピケティの『21世紀の資本』が世界的に注目を集めました。
しかし、原著(日本語版)は700ページを超え、完全に読みこなすのは難しいものとなっています。
本書では、難解な点を図にまとめたほか、ポイントを絞って原著に忠実に全体を解説しています。
あわせて、ピケティの著書や発言を参考にして、日本における格差問題やアベノミクスの評価について独自の解説を加えています。
800円+税 ()イーストプレス http://www.eastpress.co.jp/shosai.php?serial=2378

原秀治の“わくわくイノベーション”コラム/地域未来を考える(第6話)

第6話:未来人からのメッセージ?未来シナリオの描き方

突然、あなたの目の前に、未来人が現れました。「あなたの住んでいる街は、2040年に消滅してしまう」と言いました。現代人は頭が良くデータから未来人と同じような消滅危機を予測していました。なぜなのか現代人は、この問題から目を反らすので、未来人は、未来の危機を伝えるために現れたのです。「2020年になってからでは手遅れとなり、2015年の今から備えていかなければ間に合わない。2040年に街が消滅せずに、より良く暮らしている地域未来のシナリオを一緒に描くまでは、未来に戻れない」と嘆きました。

そこで、あなたは、未来人と友人・知人・様々なステークホルダーたちの知恵を借りながら、一緒に未来シナリオを描くことにしました。

皆さんなら、どんなステークホルダーと一緒に、どんな未来シナリオを描きますか?

過去は事実ですが変えることはできません。未来は不確実ですが変えることはできます。過去から現在の時代背景を把握して、今後の変化の兆しは何なのかを考えてみることが、未来シナリオ描きの大きなヒントとなります。

未来シナリオを描くには、不確実性が高く影響のインパクトが大きい変化の兆しから、未来を左右する分かれ道(軸)を発見することが重要です。

異なる軸から異なる世界観を描き、世界観を具体化しながら未来へのシナリオを作成していくのです。

これが未来に向けての方向性となり、ゴールに続く新しい道づくりと未来に向かうスタートの第一歩となるのです。

その世界に魅力があり実現可能性があるのならば、新しい実現づくりに向けて勇気をもってアクションすることが最も重要です。

自分と周りのステークホルダーの考え方と行動の変化から、社会イノベーションが起きるのです。(第7話に続きます)

 

毎月開催している「わくわくイノベーション塾」では、参加者の想いと対話を重視した「オープンな共創の場」の提供により、皆さんと一緒に地域の未来を描いています。

※わくわくイノベーション塾の詳細は、下記リンクの「新着情報」でご覧になれます。

http://www.biznavi.co.jp/news/157.html

原 秀治 氏
原 秀治 氏

 

原 秀治 氏

株式会社ビズ・ナビ&カンパニー

シニア・コンサルタント 原 秀治

Eメール:shuji@biznavi.co.jp

URL: http://www.biznavi.co.jp/

//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

☆原 秀治(はら しゅうじ)

☆所属コンサルティング会社

株式会社 ビズ・ナビ&カンパニー

・シニア コンサルタント(MBA)

・イノベーション ファシリテーター

・地域クラウドファンディングFAAVO福岡(プロジェクトマネージャー)

 

☆専門領域 (企業コンサルティング&研修講師)

・社会イノベーション

・戦略的問題解決

・問題解決リーダーシップ

 

☆開催セミナー&研修(主な実績)

・「わくわくイノベーション塾~地域の未来を考える~」毎月開催

・「地域×クラウドファンディング活用セミナー」随時開催

・「誰でも分かるアイデア発想法」セミナー

・「戦略的問題解決」研修

・「問題解決のビジネス交渉術」研修

・「問題解決リーダーシップ」研修

・「やさしいロジカルシンキング」研修

・「クリエイティブ・シンキング」研修

・   地方自治体職員向け「政策形成」研修

・「新入社員の心構え」研修

・「プレゼンテーション力」研修

 

☆株式会社 ビズ・ナビ&カンパニー

・福岡市中央区舞鶴3-1-10 セレス赤坂門4F

・tel:092-761-6130

・メール:shuji@biznavi.co.jp

・HP:http://www.biznavi.co.jp/

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

 

清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第52話)

第52話:創造性を育むのは「ごっこ」の思考かもしれません。

 既に半世紀近い時が流れた昭和の話。子どもたちの遊び場は、家の近くの原っぱや空き地でした。今の環境からすれば危険極まりないところで、仲間と生み出した遊びに夢中になっていたものです。「三丁目の夕日」に登場してくるような景色は、既にセピア色の郷愁すら誘う時が流れた昭和30年代の景色です。

 その頃の遊びに、さまざまな「ごっこ」がありました。「鬼ごっこ」「電車ごっこ」「怪獣ごっこ」「戦争ごっこ」・・・・。誰かのアイデアが仲間の遊びに昇華して、「ごっこ」は擬人的な真似の世界を自分たちの世界に引き込むものです。そのためにはルールが必要です。これは、リーダー(ガキ大将)が言い出したとしても、メンバーの合意形成がないと成り立ちません。小さいながら、組織の基本ルールに沿った「ごっこ」の真面目なルールが形成されます。そして皆真面目に、それぞれの役割になりきる。なりきらなければ「ごっこ」にはならないからです。「電車ごっこ」であれば、運転手・車掌役の子は、見てきたこと、聞いてきたことを基本に、出来るだけリアルに演じます。だからこそ、その場の仲間はますますその気になるのです。

 最近、そのような「ごっこ」に出会うことが少なくなりました。リアルに近いモノが既に準備されています。準備された道具をうまく操作することに長けた子どもが増えてきます。「ごっこ」は想像の世界から、自然と創造する力を育んでいました。

 今、新たなマーケティング・モデルの創出が待たれています。マーケティング・スタッフに「ごっこ」のマインドが必要な時代です。体験をベースにしたシミュレーションを、あるルールの中で真面目にやってみる「ごっこ」をビジネスの中で展開することが、新しい発想を生むきっかけになるかもしれません。(第53話に続きます)

清野裕司氏夏休み
清野裕司氏夏休み

株式会社マップス 代表取締役 清野 裕司
Eメール: maps@mapscom.co.jp
URL: http://www.mapscom.co.jp

books
清野裕司氏の書籍はアマゾンページからご購入いただけます。
(写真をクリックしていただくとアマゾンページに移動します)
 

エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第29話)

第29話:幅広い猛暑効果

 今夏は冷夏予測から一転して、暑い夏になっている。気象庁は6月時点ではエルニーニョ現象により、日本の夏はほぼ全国的に気温が低くなる傾向があるため、平年に比べて曇りや雨の日が多くなると予測していた。しかし、同庁は7月に入って、8月にかけて東日本などで平年と同様に晴れの日が多くなる見込みと発表した。

 各業界においても、猛暑の影響が出そうだ。過去の経験によれば、猛暑で業績が左右される代表的な業界としてはエアコン関連や飲料関連がある。また、目薬や日焼け止め関連のほか、旅行や水不足関連も過去の猛暑では業績が大きく左右された。そのほか、冷菓関連や日傘・虫除け関連といった業界も猛暑の年には業績が好調になりがちとなる。更に、飲料の販売比率の高いコンビニや猛暑による消費拡大効果で広告代理店の受注も増加しやすい。缶・ペットボトルやそれらに貼るラベルを製造するメーカーや原材料となるアルミニウム圧延メーカー、それを包装するダンボールメーカーなどへの影響も目立つ。更には、ファミレスなどの外食、消費拡大効果で荷動きが活発になる運輸、猛暑で外出しにくくなることにより販売が増えるゲーム関連なども猛暑で業績が上がったことがある。

 一方、食料品関連やガス関連、テーマパーク関連、衣類関連などの業績には、過去に猛暑がマイナスに作用した経験が観測される。

 そこで、国民経済計算を用いて7-9月期の実質家計消費の前年比と東京・大阪平均の日照時間の前年差の関係を見ると、両者の関係は驚くほど連動性があり、7-9月期は日照時間が増加したときに実質家計消費が拡大するケースが多いことがわかる。従って、単純な家計消費と日照時間の関係だけを見れば、猛暑は家計消費全体にとっては押し上げ要因として作用することが示唆される。

 ただ、家計消費は所得や過去の消費などの要因にも大きく左右される。そこで、国民経済計算のデータを用いて気象要因も含んだ7-9月期の家計消費関数を推計すると、7-9月期の日照時間が同時期の実質家計消費に統計的に有意な影響を及ぼす関係が認められる。そして、過去の関係からすれば、7-9月期の日照時間が+10%増加すると、同時期の家計消費支出が+0.4%程度押し上げられる。

 従って、この関係を用いて今年7-9月期の日照時間が94年および2010年と同程度となった場合の影響を試算すれば、日照時間が平年比でそれぞれ+21.6%、+13.9%増加することにより、今年7-9月期の家計消費はそれぞれ+0.6兆円(+0.9%)、+0.4兆円(+0.6%)程度押し上げられることになる。

 ただし、家計消費が増加すれば、同時に輸入の増加等ももたらす。このため、こうした影響も考慮し、最終的に猛暑が実質GDPに及ぼす影響を試算すれば、94年並となった場合は+0.4兆円(+0.3%)、10年並となった場合は+0.3兆円(+0.2%)ほど実質GDPを押し上げることになる。このように、猛暑効果は経済全体で見ても無視できないものといえる。(第30話に続きます)

永濱 利廣 氏
永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所 経済調査部
主席エコノミスト 永濱利廣

エコノミスト永濱氏の書籍をご案内させていただきます。書店やネット(下の写真をクリックしてください)でお買い求めいただけます。

永濱利廣著
永濱利廣著

図解 ピケティの「21世紀の資本」

トマ・ピケティの『21世紀の資本』が世界的に注目を集めました。
しかし、原著(日本語版)は700ページを超え、完全に読みこなすのは難しいものとなっています。
本書では、難解な点を図にまとめたほか、ポイントを絞って原著に忠実に全体を解説しています。
あわせて、ピケティの著書や発言を参考にして、日本における格差問題やアベノミクスの評価について独自の解説を加えています。
800円+税 ()イーストプレス http://www.eastpress.co.jp/shosai.php?serial=2378

原秀治の“わくわくイノベーション”コラム/地域未来を考える(第5話)

第5話:ルールを変えてみると?仕事や遊びも楽になりますよ。

ルールと言えば、仕事では就業規則や社内規定、慣習的なものなどがあります。

スポーツでも、ルールはあります。例えば、サッカーでは、ゴールキーパー以外は、ボールを手で触ってはいけない。野球では、「9人×9人で試合をする。」というルールがあります。

私も、小学校時代では、休みの日や休み時間には、野球をして遊んだことを思い出します。ただ、小さな学校でしたので、9人×9人の人数が集まりません。

そこで、6人×7人など人数を変えてみました。さらに、人数が少ないので審判は、

キャッチャーがする。キャッチャーに負担をかけないために、盗塁はなし。ファウルボールを取りに行く時間がもったいないから、ファウルは1打席で3回まで。3回を超えるとアウトなど、自分たちでルールを変えていました。

ルールを変えることにより、スムーズに試合を楽しむことができました。

もしも、「野球のルールは決まっているので、ルールに従いましょう!」という固執した考え方だけでしたら、私たちは野球を楽しむことはできませんでした。

あるいは、野球のルールを活用して、サッカーのように足で蹴るルールを取り入れたスポーツは何でしょうか?キックベースボールです!

バレーのルールを活用して、サッカーのように足で蹴るルールを取り入れ、場所も体育館内ではなく砂浜で試合をするなどルールを変えて誕生したスポーツは?

ビーチバレーですよね!

仕事では、通勤ラッシュを避けるために出退の勤務時間を変えてみると?フレックスタイム制の誕生。

暑い夏ぐらいネクタイを外しても良いのでは?クールビズの誕生。

会議の方法を集合方式ではなくスカイプに変えてみると?スカイプ会議の誕生。

本を店舗販売ではなく、ネットでの注文販売にすると?アマゾンの誕生。

資金調達を金融機関や補助金などだけでなく、一般の方から集めると?クラウド・ファンデイングの誕生。

このように、ゼロからルールを作るのではなく、既存のルールを少し変えてみるだけでも、仕事のルールが変わります。仕事が楽になり効果もあるならば、変えられるルールは変えてみるという発想も必要であると考えます。(第6話に続きます)

 

毎月開催している「わくわくイノベーション塾」では、参加者の想いと対話を重視した「競争」ではなく、「オープンな共創の場」の提供により、皆さんと一緒に地域の未来を描いています。

※わくわくイノベーション塾の詳細は、下記リンクの「新着情報」でご覧になれます。

http://www.biznavi.co.jp/news/157.html

原 秀治 氏
原 秀治 氏

 

原 秀治 氏

株式会社ビズ・ナビ&カンパニー

シニア・コンサルタント

原 秀治(イノベーション・ファシリテーター)

Eメール:shuji@biznavi.co.jp

URL: http://www.biznavi.co.jp/

 

//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

☆原 秀治(はら しゅうじ)

☆所属コンサルティング会社

株式会社 ビズ・ナビ&カンパニー

・シニア コンサルタント(MBA)

・イノベーション ファシリテーター

・地域クラウドファンディングFAAVO福岡(プロジェクトマネージャー)

 

☆専門領域 (企業コンサルティング&研修講師)

・地域イノベーション

・戦略的問題解決

・問題解決リーダーシップ

 

☆開催セミナー&研修(主な実績)

・「わくわくイノベーション塾~地域の未来を考える~」毎月開催

・「地域×クラウドファンディング活用セミナー」随時開催

・「誰でも分かるアイデア発想法」セミナー

・「戦略的問題解決」研修

・「問題解決のビジネス交渉術」研修

・「問題解決リーダーシップ」研修

・「やさしいロジカルシンキング」研修

・「クリエイティブ・シンキング」研修

・   地方自治体職員向け「政策形成」研修

・「新入社員の心構え」研修

・「プレゼンテーション力」研修

 

☆株式会社 ビズ・ナビ&カンパニー

・福岡市中央区舞鶴3-1-10 セレス赤坂門4F

・tel:092-761-6130

・メール:shuji@biznavi.co.jp

・HP:http://www.biznavi.co.jp/

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////