清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第105話)

第105話:「技」を磨くよりも「芸」を深めることが大切です。

 ビジネスパーソンには実にさまざまなタイプがいるもの。年齢だけの差ではなく、キャリアの差でもなく、その人なりのこだわりの差によるものかもしれません。同じことを聞いても、人によってその回答の様子が違って聞こえてくるのですから、振る舞いの差なのかも知れません。

 決して技術のレベル差があるとは思えません。パソコンのキーボードをブラインドタッチで出来るからといって、その人から先鋭的なマーケティングの考え方が聞こえてくるわけではありません。逆もあります。パソコンはおろか、携帯やスマホも持ち歩かないにもかかわらず、たまにはあの人のマーケティング・センスに出会いたいと思わせる人がいます。その差は何でしょうか。

 マーケティングには、市場の動きなどに関する調査結果をいかに読み取るかの、操作的な技術が必要な場合があります。あるときは統計学的なアプローチであり、あるときは社会心理学的なアプローチです。しかし、いかに操作を学んでも、問題はその結果をどのように読み取り、解釈したかです。そこには、他人が気付かない何がしか、その人なりの感度や感性が働いているものです。小手先の技術では解決できない、人間的な発想であったり感度の違いであったりします。伝統芸能の世界に通じるものがあるのかもしれません。

 落語家は多くの噺を自らに取り込み、自分なりの話法で芸を磨きます。歌舞伎役者は立ち居振る舞いから、伝統的な形式美を自分なりのものへと仕上げていきます。言葉で詳細に語り継ぐことのできない「芸」の世界。同じ噺を聞いても、笑えるものと、ちっとも面白みを感じないものがあります。同じ場面でありながら、演者によって感銘を受けたり、さっぱり何も感じない舞台もあります。これらも「芸」の違いでしょう。

 ビジネスのスタイルも芸風の違いがあります。同じマーケティング・テーマが何ともダイナミックなものとして共感されるもの。理解に苦しむ解釈。そこには、伝えるべき人の人間性から醸し出される芸があります。決して表層的に身についた技ではなく、底流にある本人のこだわりを持つ職業人としての「業」であろうと思います。「技」先行型のマーケティング・スタッフよりも、個人的な「芸」を見せるスタッフとの会話には、お互いの気付きがあるものです。(第106話に続きます)

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 11月の九州生産性本部での授業風景

株式会社マップス 
代表取締役 清野 裕司

当ブログの寄稿記事を元に加筆編集しました新書が出ましたので是非お読みください。

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「清野裕司のマーケティング考 風を聴く」

今、経営に新たな思考力が求められています。市場にはどのような風が吹いているのでしょうか。風の音に耳を澄ませていると、次代に向けた風の通り道から、マーケティング思考で未来への道標が浮かんでくるかもしれません。それはまた、自分の心に吹く風の音を聴くことにも繋がるのではないか考えました。

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投稿者:

ジパング・ジャパン

「にっぽん」を世界へ、情報発信していく会社です。

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