清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第58話)

第58話:マーケティングの思考や実行は、顧客が育てるものです。

 いつ行っても人だかりの絶えない店もあれば、いつ覗いてもひとりとして客の姿を見ることのない店があります。当然、前者の店には何気ない活力が感じられ、後者は薄暗い印象を与えてしまうもの。なおさら、外からの景色を見ても足を踏み入れようとする気が起きてきません。顧客と店との間に、循環する息遣いが感じられないのですから、例えその店ならではのオリジナルなものがあったとしても価値はないでしょう。

 それに比べて客の賑わいを見る店は、その店を飾る壁面の絵や小道具、働く人のごく普通の振る舞いまでが、他の店とは違った印象を与えるのですから不思議です。さしたる料理でもないのに、さながら料理の載った皿が何かを語りかけてくるようにすら感じます。空気自体に活気を感じさせます。店サイドが意図して生み出していることもあろうでしょうが、それ以上にこれは、一方的な店サイドの操作によるものではなく、その店にいる顧客が生み出しているようです。

 企業の提供する商品やサービスも同様です。例え、つくる側が納得して「これこそが最高のもの」と思っても、購入者・使用者側がその良さを評価しなかったならば、単なる企業サイドの独り善がりに過ぎなくなってしまいます。その逆に不安半分で上梓したものが、多くの顧客に支持され成長していくこともあります。

 営業担当者の成長過程にも、同じことが見られます。一生懸命に自分のことを売り込もうとする動き。商品説明に汗を流す姿。そのスタイルに共感をもってくれた顧客が、ある時は厳しく、ある時はやさしく導いてくれることがあるもの。顧客との関係を励みに、営業担当者も自らを磨こうとします。芸人の世界も同様で、見る人、聞く人がその芸人の芸に磨きをかけます。

 マーケティングは、まさに顧客との関係を生み出す思考と行動の体系です。「生み出された商品やサービスは顧客が育てるもの」との謙虚な姿勢が求められているのです。(第59話に続きます)

清野 裕司 氏 オフィスにて
清野 裕司 氏 オフィスにて

株式会社マップス 代表取締役 清野 裕司
Eメール: maps@mapscom.co.jp
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投稿者:

ジパング・ジャパン

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