清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第53話)

第53話:リアリティはつくられたものではなく、今起きている事実です。

 日常の生活行動の中で、テレビを通じた情報収集の時間の割合が徐々に減ってきていることを感じます。インターネットを通じたものや、雑誌等の文字情報に接することの方が多くなってきました。その日のニュースは見ますが、ドラマなどは、その時々で話題になっているものを見流す程度。こちらから積極的に見ようと動機付けられるような番組がないことが大きな理由です。と言うよりも、余りにもつまらないからです。
 
 過去に作られたものを、さも今のように伝える嘘くささ。結論を待つ瞬間に場面が転換し、再開時に繰り返し戻って同じ場面を見る空しさ。ちょっとでも注目されると、さながら消耗品のように登場してくるタレントを見る退屈さ。世間で流行っている言葉をそのままドラマのタイトルにする軽薄さ。どこから見ても、視聴するに値する番組が余りにも少ない。特にリアリティの欠落は致命的です。

 虚構の世界は、映画がその役割を担っていたのですが、TVが同類になってしまったように感じます。時代の今を伝えるべきものが、今ではない時につくられたモノを承知で、視聴者も今の気分で見ている。どこまでが本来の時間なのかを忘れてしまいます。正月に流れた番組でも、年が変わっているにもかかわらず出演者が「来年」と口走ってしまう。視聴者側も、今流れている番組が、今つくられているものではないことを承知しています。

 草創期のTVドラマは、その時に演じている事実を提供していました。そこには、何ともいえぬ緊張感があったものです。うまく演じられなかった瞬間がある。裏方の動きが見えている場合もある。それだけに真剣。見る側も失敗を許さないのではなく、容認しながら見ていました。動きを無理に止めて、場面転換することもない。それだけに、次の展開が楽しみになる。昔を懐かしがるわけではありません。入念に事前チェックがなされたモノにこそ、自在性を感じるものなのです。リアルな動きや会話。マーケティングに求められるのも、今をリアルに考える思考であることを忘れてはならないと思います。(第54話に続きます)
 

清野裕司氏講義中
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株式会社マップス 代表取締役 清野 裕司
Eメール: maps@mapscom.co.jp
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ジパング・ジャパン

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