清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第45話)

第45話:「無愛想」なやりとりには、相手を思う心が足りないようです。

 週末に書店を回るのが好きです。一週間の仕事を終えて、次週に向けての心積もりをした後は、少し気を緩やかにして、オフィス近くの古書街を回ったり、帰路に少し手前の駅で降り、駅近くのリサイクルブックの店に立ち寄ります。最近その類の店は、書物だけではなくCDやDVDの扱い幅も増え、老若男女入り乱れた店内になっています。

 店で働く人たちは元気一杯。客がいようがいまいが、大きな声で「いらっしゃいませ」の大合唱です。時には耳に響き過ぎて、うるさいと感じることもあるほど。その店は、立ち読みは自由。立ち読み読者に大きな声は、ノイズになると思うのですが、一切構わずに大声の連呼。自分自身の作業にリズムを取っているだけに聞こえてきます。決して、来店客に愛想を振りまいているわけではないでしょう。彼らの顔に、微塵の笑顔も見えないからです。

 そこそこ店内を見回して、数冊の本を持ってレジへ。「メンバーカードはお持ちですか・・・?」のお決まりの質問をされます。「はい」と答えて、本と共にカウンターに置く。精算が始まる。機械的なレジの音だけが響く。一切の会話が排除されています。合計金額の案内に沿って代金を払う。「ありがとうございました」の声よりも早く、他の店員から「いらっしゃいませ」の声。そこには入店した人は誰もいないのに。

 私の次に並んだ男性が、無造作に本をカウンターに置く。置くと言うより放り投げる感じです。レジ担当者からは同じ質問。客は答えようともしない。眉間にしわを寄せて、早く計算をしろといった風情。会話も笑顔もない。かといって、気まずい空気でもない。何の会話もないことが当然と言った雰囲気で、支払うべき金を、これまた放り投げます。愛嬌を感じない空間です。

 週末のリサイクルブックストアでの一こま。いつからこの国は、笑顔も会話も愛嬌もない、店も客も「無愛想な関係」が生まれてしまったのでしょうか。(第45話に続きます)

清野 裕司 氏
清野 裕司 氏

株式会社マップス 代表取締役 清野 裕司
Eメール: maps@mapscom.co.jp
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ジパング・ジャパン

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