清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第31話)

第31話:「四季」を感じる感性が、暮らしの文化を育んできたのですが。

 わが国の文化を言い表わす言葉に「四季折々の・・・」「四季が織りなす・・・」といった言葉があります。というよりも「ありました」と過去形で語る方が正しいかもしれません。漫然と過ぎ去るような時の流れにあってもなお、時々の季候の移り変わりを通して、きめ細やかな感性を育んできました。消費購買行動においても、暑さ、寒さに備えることで、生活の知恵を高めてきました。その時々の享楽のための消費は昔からもありましたが、そうした目の前のことよりも、これから起こることへの対応であり備えです。季節の変化が、消費行動を規定するひとつの要因として存在していました。しかし、このような変節が成り立たなくなって来たように思われます。

 凍える手に、はぁはぁと息を吹きかけながら、身体を丸めて歩く姿を全く見ることのない冬になってしまいました。マスクをかけている人の姿を見かけますが、防寒というよりも、花粉症対策のことがあります。暖冬の影響で花粉も早く舞い散ってしまうのでしょうか。暖かい日が続けば防寒用の衣料を買う必然性がなくなってしまいます。

 衣料品の分野での季節感は、女性の場合には非常に細やかに分かれていました。春夏秋冬は勿論、これに加えて「梅春」といった言葉で、何となく冬と春の感覚をブリッジしたものです。女性の繊細なファッション感覚に呼応するような細分化です。一方男性の方はといえば、あっさりしたもので、春夏物と秋冬物といった分類で、暑い時と寒い時の二分割です。それでもなお、春らしいモノとか秋を感じるモノといった評価語がありました。

 ここ数年は、一年の季節を「二季」で語ってしまう陽気です。冬は冬らしく寒く、夏は夏らしく暑い。その変化に細やかに対応することで暮らしの知恵が育まれてきたのですが・・・。一年が「二季」では、大雑把な感性がわが国に蔓延してしまいそうで、気になってしまいます。(第32話に続きます)

清野 裕司 氏
清野 裕司 氏

株式会社マップス 代表取締役 清野 裕司
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投稿者:

ジパング・ジャパン

「にっぽん」を世界へ、情報発信していく会社です。

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