エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第70話)

第70話:経済対策は1億総活躍や消費拡大に重点

 参院選前に打ち出される観測の経済対策のメニューについては、消費税率引き上げ後の個人消費の低迷がリーマンショック後以上に長引く中、政府が5月に公表した「1億総活躍プラン」に沿った個人消費の喚起策が中心になろう。

 具体的には、5月18日に開催された「一億総活躍国民会議」において決まった「ニッポン一億総活躍プラン」案が参考になろう。この案では、半世紀後の未来にも人口一億人を維持するとして五つの柱の下、包括的な取り組みを進めるべきとしている。そして、これが実現されれば、賃金総額が2020年に20.5兆円増えるとしている。

 一つ目の柱が「子育て支援の充実」であり、保育の受け皿確保、保育士確保に向けた待遇改善も含めた総合的取組の推進を目指す。これまで、2017年までの保育園の児童受入数を40万人から50万人分と上積みし、保育士の給料を2015年度に2%引き上げた。具体的な注目メニューは、待機児童の解消に向けた受け皿拡大や第二子・第三子への支援の拡充、子育て支援バウチャー(クーポン)、子育て世帯に空き家を低家賃で提供すること等が挙げられる。

 二つ目の柱が「介護支援の充実」であり、介護の受け皿確保、介護人材確保に向けた待遇改善も含めた総合的取組の推進を目指すとしている。中でも注目のメニューは、介護ロボットの活用促進やベトナム等の外国人介護士の受け入れ、介護職員の待遇改善等があげられよう。

 三つ目の柱が「高齢者雇用の促進」であり、働く希望を持つ高齢者の雇用促進に対応すべきとしている。具体的には、65歳以降の継続雇用延長や65歳までの定年延長を行う企業を支援する。

 四つ目の柱が「非正規雇用者の待遇改善」であり、不本意非正規雇用者の正社員転換や同一労働・同一賃金に向けた非正規雇用者の賃金改善を目指すとしている。中でも注目のメニューは、同一労働同一賃金を実現する法令整備が挙げられよう。具体的には、非正規雇用者と正規雇用者の待遇差を縮小するために、労働契約法や労働者派遣法などを改正する。

 五つ目の柱が「最低賃金の引き上げ」であり、最低賃金を年率3%上昇させ、雇用者全体の賃金を底上げるとしている。ここでの注目メニューは、現在約800円の最低賃金時給を早期に1000円に引き上げることが挙げられよう。(第71話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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投稿者:

ジパング・ジャパン

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