エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第67話)

第67話:求められる財政政策②

 財政政策については、既に昨年度の補正予算という形で政策がまとめられており、このメニューについて全般的な方向性は一定の評価ができよう。ただ、事業総額を見ると3.5兆円にとどまっており、これは内閣府の試算によれば今年度のGDPを+0.4%程度押し上げるということになっているが、当研究所の計算によれば同+0.3%程度であり、非常に力不足である。このため、今後の財政政策の方向性としては、これをさらに拡充するという方向が良いのではないかと考えられる。

 一方、公共事業について、よく建設現場で人手不足ということを言われてきたが、建設労働者の労働需給判断DIを見ると、不足感は解消してきており、マイナス金利の面でも、今、安倍政権始まって以来、最も機動的な財政政策の効果が出やすい時期になっていると考えられる。

 このため、公共事業も一定割合は増やす必要があろう。具体的には、熊本地震復興を筆頭に、介護施設や保育所の増設の部分については昨年度の補正予算では不十分であるため、そうした方向性の増額も考えられるだろう。また、国内の空港整備や港湾インフラといった日本全体の国際競争力が増すような公共投資であれば、国民にも理解される可能性が高いと考えられる。

 さらには、数年前にトンネルが崩落した事故もあったように老朽化インフラの整備も重要である。日本のインフラは50年以上前に建っているものが多くを占めるため、老朽化インフラ整備については、本気で取り組めば甚大な需要が存在する。こうしたメニューを上手く取捨選択して、いかにワイズスペンディングという形ができるかが重要であろう。

 具体的に必要な規模については、1つ目安となるのは足下の需要不足である。去年の10-12月期時点で年換算8.6兆円となっているため、昨年の補正予算の規模も加味すれば最低でも5兆円規模は必要と考えられる。さらに、ESPフォーキャスト調査に基づくエコノミストの予測の平均成長率が実現した場合、今後の日本のGDPギャップがどうなるかを予測すると、消費増税が織り込まれているため一旦は駆け込み需要で縮小するも、その後は反動減でマイナス7兆円のデフレギャップに逆戻りすることになる。デフレ脱却を重視するのであれば、次の消費増税も織り込んだ形で日本経済を考えると、デフレ脱却は2017年度一杯までは厳しいことになる。逆にデフレ脱却よりも財政再建ということを前向きに打ち出すのであれば、消費増税という選択肢もある。このため、ここはどちらを重視するかによって消費増税を予定通り実施するか先送りするかの重要な決断になってくるのかと思われる。(第68話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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投稿者:

ジパング・ジャパン

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