エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第39話)

第39話:来年度一杯まで景気回復が続くと思う理由

 1980年代後半と足元の経済環境が非常に似ている。1980年代後半は、経済環境が良過ぎてバブルになってしまったが、85年にプラザ合意で円が切り上げられて景気が悪くなり、政府も日銀も景気対策をして景気が上向いたことがきっかけとなっている。

 2014年も消費税率を上げて景気が悪くなったことにより日銀は追加の金融緩和をした。政府も昨年度は補正予算を組み、今年度も補正予算を組むのは確実な勢となっている。

 もうひとつ、1986年にも原油価格が暴落し景気回復している。また、1986年に衆参ダブル選挙があって与党が圧勝したが、今回も去年末に与党が圧勝して、小泉政権以来、久方振りの長期政権になっている。長期政権のときは改革が進み期待が高まるため投資が増えやすく景気回復が長く続く傾向がある。

 2014年の3年後となる2017年4月には消費税増税が予定されている。このた、消費税が上がるまでは回復が続くと思われるが、バブルになるかならないかといえば、筆者はバブルにならないと考えている。なぜなら、1980年後半にバブルになったのは土地神話があったからである。また、1980年代後半は生産年齢人口(現役世代15~64歳)が人口全体のペース以上で増えているときだったため、経済成長が過熱しやすかったこともある。

 以上により、来年度いっぱい景気は回復し、消費税アップ後は一旦落ち込むものと思われるが、2020年には東京オリンピックがあるため、それまでは景気はもつのではないかと思われる。

 マーケットは実際の経済の半年程度先を動く傾向があるため、少し違う動きをする可能性がある。すなわち、来年度前半中に株はピークアウトする可能性があると考えられる。

 現在の株式市場は公的年金のマネーで支えられている部分があるが、来年度前半には公的マネーのポートフォリオ調整が終わる可能性がある。一方、ユーロ圏の量的緩和政策も今のところの予定では来年9月まで続けることとなっている。更に、足元ではアメリカが利上げをしようとしている。これらのことを考えれば、来年後半は株価が調整する可能性もあり、再来年4月の消費増税の決断に多大なる影響を及ぼす可能性があると筆者は考えている。

 更に、安倍首相が一番やりたいのは憲法改正であると思われる。このため、国民の反発の可能性がある消費増税と憲法改正と2つを通すのは難しいということになれば、憲法改正を優先して消費増税は先送りされる可能性も考えられ、そうなればもう少し景気回復は続くというサブシナリオもありうる。(第40話に続きます)

永濱 利廣 氏
永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 主席エコノミスト
永濱利廣

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経済は「環境」と「政策」に左右されます。 だから、それらが今とそっくりの時代がもしあれば、 今後の日本経済に何が起きるかを予測できるはずです。 しかし、そんな都合のいい時代があったのでしょうか。 実は、あったのです。 それが1986年と、2014年の日本です。 80年代後半、日本は未曾有の好景気に沸きました。 それと同様、今の日本は、黄金期の入り口に立っているのです。

【1986年→1989年】 原油価格が1/3に下落 史上最低の公定歩合 公共事業費が増加に NTT株公開 消費税導入 「死んだふり解散」で自民党圧勝 「前川リポート」による構造改革 ブラックマンデーと、その後の急回復

【2014年→2017年】 原油価格が1/2に下落 金融の異次元緩和 機動的な財政政策 郵政株公開 消費税増税 「アベノミクス解散」で与党圧勝 「日本再興戦略」による構造改革 中国ショックと、その後の急回復?

投稿者:

ジパング・ジャパン

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