エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第249話)

第249話:オリンピック経費と国内の経済効果⓵

 今夏に開催する予定の東京オリンピック・パラリンピック。当初は世界一コンパクトなオリンピックを目指し、経費を7000億円に抑えるというものだったが、経費は膨れ上がり3兆円超に上るとされている。オリンピックに合わせて進めてきた事業等は多数あり、政府の方でもキャッシュレス等も含めたインフラ整備に力を入れていた。

 しかし、ここにきて中国発祥の新型コロナウイルスの影響が肥大し、日本全国で感染者が見られている。コロナウイルスの影響次第では夏に予定している東京オリンピック・パラリンピック(以下オリパラ)が延期、もしくは中止になる可能性も出てきている。延期ならまだしも、中止になれば日本経済に与えるダメージは計り知れない。そこで、今回と自戒の二回に分けて2020年の日本経済の目玉である東京オリパラの経済効果について解説する。

 過去、オリンピックを開催した国は例外なくその前後に景気の拡大や、株価や通貨の上昇を経験しており、オリンピック開催は当該国の経済にプラスの効果をもたらしてきた。前回のブラジルでは、2009年にオリンピックの開催が決定してから、競技場の建設や交通網の拡充など、様々なインフラ整備を通じて景気が押し上げられたが、観光収入や個人消費の増加という経路からも、経済成長率の押し上げ効果があった。

 今年の東京オリパラも、例外なく経済効果が期待されていた。東京が招致段階でIOCに提出した「立候補ファイル」の大会経費は、建設工事が本体工事費のみに限るなど計上される費用が基礎的なものに絞られていた。さらに、IOCは大会開催を側面から支える都市基盤整備等は大会後も残る「レガシー(遺産)」に当たるとして大会関係経費に盛り込まれなかったため、約7340憶円にとどまっていた。

 しかし、昨年12月に会計検査院が公表した試算では、国の大会関連支出とした事業が340あり、国は関連経費として既に1.06兆円を支出したことが明らかになった。これは、府省庁が照会に回答した支出を幅広く計上している。このため、検査院の試算や東京都の関連経費を含めると、総額3兆円を超えることになっている。

 このように、オリンピック経費は総額3兆円を超えることになっているが、それにはオリンピックに向けて支出される民間部門の投資や消費は入っていない。あくまでざっくりした試算ではあるが、1984年のロサンゼルス以降に夏季オリンピックを開催した国の経済成長率の平均をとると、開催3年前を底に開催2年前が+0.4%ポイント、開催1年前が+0.9%ポイント、開催年が+0.3%ポイント押し上げられていることがわかる。それを現在の日本の経済規模に当てはめると、GDPの押し上げ額は直近3年間の累計で+9.2兆円、開催年だけでも+1.7兆円となる。ただ、これは付加価値ベースの金額である。生産誘発額に換算すれば、それぞれ+17.0兆円、+3.2兆円程度の金額になる。従って、すでに14兆円近くの経済効果が出た可能性があるといえよう。(第250話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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第2章  MMTとは

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第4章  MMTの考え方(MMTは日本で実現するのか?)

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投稿者:

ジパング・ジャパン

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