エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第239話)

第239話:2020年のマーケット展望

 2020年のマーケットを展望するうえで最大の注目は、トランプ大統領と民主党候補者の経済政策である。トランプ大統領の経済政策の特徴を勘案すれば、更なる拡張的な財政政策への期待と保護主義的な通商政策の懸念が残る。

 一方、民主党候補者の一人であるバイデン前副大統領はトランプ政権の保護主義を批判しており、通商面で不透明感が少ないと見られている。また、企業に対する規制に対しても前向きでない点が、金融市場にとってポジティブだろう。しかし、同じ民主党候補者のウォーレン上院議員は、反自由貿易主義で企業や高所得者への増税、企業への規制強化を打ち出しているため、民主党候補者が誰になるのかも金融市場の大きな焦点となろう。

 日本経済への影響としては、ウォーレン上院議員が勝ち上がり、米国経済が大きく落ち込むことになれば、日本の経済成長率もかなり押し下げられることになるだろう。また、トランプ大統領が再選を果たしたとしても、トランプ政権の政策運営もリスクだろう。というのも、次の再選はないため、経済そっちのけで米中通商摩擦が激化することになれば、米国経済が景気後退に陥り、円高・株安を通じて日本経済にも悪影響が波及する可能性がある。

 2019年のマーケットは、夏ごろまで長期金利が低下トレンドにあったことに加えて、不安定な株式市場でリスクを取りにくい状況にあった。

 こうした中、FRBが2019年7~10月のFOMCで、立て続けに利下げに踏み切るとともに、ECBも9月に緩和にかじを切ったことも、株式・債券市場にポジティブに作用した。しかし、すでにFRBは10月に利下げを打ち止め、様子見の姿勢に転じている。このため、米中貿易協議の進展次第では、世界の株価や長期金利が更なる上昇を試す可能性もある。

 2020年の相場環境については、トランプ大統領が再選を目指すべく、経済重視に政策がシフトすることが予想される。また、日本でも東京五輪特需が期待されることに加えて、中国が2010年比でGDPを倍増する目標期限年でもある。このため、リスクオン気味に推移するとの見方が強まれば、世界の株式市場の押し上げ圧力となる可能性がある。

 ただし、年後半以降はこれらの重要インベント効果が剥落することが意識されるだろう。特に米国では、大統領次第で米中の覇権争いが再び激化することが懸念され、任期満了に近づく安倍首相が経済政策後回しで憲法改正に邁進するリスクも警戒される。年後半はリスクオフに伴う株価の下落が金利低下・円高を後押しする展開になるかもしれない。

 なお、リスクは金融市場のバブルである。特に米国経済は景気後退の前に必ず見られる逆イールド(長期金利が短期金利を上回る)の状況にあったため、予防措置的な利下げに動いた。しかし、98年のLTCMショック(米国大手ヘッジファンドLTCMの実質破綻)後の逆イールド発生時の様にFRBが利下げをしすぎるようなことになれば、99年以降のITバブルのように、今回も短期的に金融市場でバブルが発生しその後崩壊する可能性もあり、その場合には日本経済への悪影響も無視できないことになろう。

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

さてこの度、永濱氏の書籍が出版となりましたので、ご案内させていただきます。何卒よろしくお願いします。

『エコノミストの父が子どもたちにこれだけは教えておきたい大切なお金の話』~自分の息子と娘のために語り下ろす「お金」の教科書~


〇教育現場でも中高生から経済学や投資の基礎知識などを教えるべき、という声が広がっているが、それ以前にもっと身近な「お金とのつきあいかた」を知るべきではないか、という思いを込めた1冊。

〇「クレジットカードの仕組み」「なぜカンタンにお金が借りられる?」「友だちとのお金の貸し借り」「ものの値段の決まり方」「バイト代や給料の仕組み」「お金がなくなったときどうすればいいのか」「お金を増やすことはできるのか」「無料はほんとうに得なのか?」「君たちもすでに税金を払っている」「修学旅行や部活にだって保険はある」など、中高生の日常に身近なことから「お金とのつきあいかた」を教える。

〇お金で不幸にならないために、お金で人を不幸にしないために、父親としての願いをまとめた一冊。

(ご購入はお近くの書店か上の「本の表紙」をクリックしてください。)

投稿者:

ジパング・ジャパン

「にっぽん」を世界へ、情報発信していく会社です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください