エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第235話)

第235話:強まる日本製造業に対する中国内需の影響

 中国経済の重要度を見るべく、日本の製造業PMI(購買担当者景気指数)に対する中国PMIの弾力性を製造業と非製造業に分けて計測してみた。すると、直近5年では中国の製造業よりも非製造業の弾力性の方が高いことがわかる。これは、特に中国内需と日本経済が密接に連動しており、日本経済の行方を探る上で、中国内需を知ることはこれまで以上に重要になっていることを示している。

 ただし、以前からここまで連動していたわけではない。今から6年以上前の2009~2013年における日本の製造業PMIに対する中国PMIの弾力性を計測すると、製造業のほうが高かった。背景には、当時は中国内需というよりも、中国の製造業を通じた最終需要地である米国経済の影響が大きかったことが推察される。

 当時は、あくまで日本から中国に輸出する製品の多くは中国で加工され、米国に輸出されていた。こうした中国国内の生産拠点としての機能が大きかった一方で、日本経済は中国内需の影響を現在ほど大きく受けることはなかったといえよう。

 また、直近5年程度で連動性が高まることとも関係してくるが、今から6年以上前はそれほどインバウンド需要が多くなかったという点も上げられる。このため、2000年代までであれば、日本経済の予測をするときには、ある意味では米国の状況さえ見ておけば良かったといえる。

 このように、最近の日本経済を予測する場合に中国経済の重要度が高まった背景には、中国経済の規模が大きくなったという要因がある。世界最大の経済大国は紛れも無くアメリカであり、世界のGDPの24%以上を占めている。このため、当然それだけ日本経済に及ぼす影響も大きい。それに対して、日本は世界第三位の経済規模だが、世界GDPの6%弱を占めているに過ぎない。2009年まで2位だったが、中国に抜かれたのは記憶に新しい。つまり、米国の次に大きい国は中国であり、中国の経済規模は2018年には世界GDPの約16%を占めるまでに大きくなっている。

 また、ドル建てで比較すると、日本のピーク時のGDPは6兆ドルを超えていたが、現時点では5兆ドル前後である。それに対してアメリカはGDPの規模が日本の4倍強の20兆ドル以上、中国は13兆ドル以上となる。

 つまり、米中二カ国だけで、世界経済の4割以上を占める。また2018年の世界経済規模の拡大で見れば、中国の寄与率が約3割と最も大きいため、やはり中国経済は世界経済を見る上で非常に重要ということになろう。(第236話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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投稿者:

ジパング・ジャパン

「にっぽん」を世界へ、情報発信していく会社です。

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