エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第223話)

第223話:製造業が悪い一方で非製造業が底堅い景気指標の背景

 日銀短観について、業況判断指数の推移を過去に遡って眺めてみると、2015年度後半以降のチャイナショック局面では、製造業・非製造業とも悪化していたことがわかる。 しかし、今回の年明け以降の調整局面では、製造業が大きく悪化している一方で非製造業が底堅い動きをしている。

 そこで、鉱工業生産指数を用いて2014年後半~2016年前半にかけて消費増税からチャイナショックに伴う調整局面の要因分解をすると、消費増税に伴う駆け込み需要の反動等により、輸送機械や電気・情報通信機械といった最終需要財の生産調整が牽引役となっていることがわかる。それに対し、2019年前半の生産調整局面では、電子部品デバイスや汎用・業務用・生産用機械といった情報関連の中間財や資本財の落ち込みで殆ど説明できる。

 そこで今回は、業種の違いで製造業が悪化することによる国内産業への影響について、産業間の取引活動が確認できる最新の総務省「産業連関表(2015年)」を用いて分析する。

 まず、他業種への影響を見るべく業種別の中間投入率を見ると、前回の製造業悪化の主因であった「輸送機械」がもっと高く、「電気機械」や「情報通信機械」も上位を占めていることがわかる。それに対して、今回の調整局面のけん引役である「電子部品」や「はん用機械」「生産用機械」「業務用機械」は、製造業の中ではやや低めの順位となっている。

 そこで、他産業への影響力を見るべく、1単位の最終需要があると全体の産業に何倍の生産波及があるかを見ると、前回の調整局面で最大の押し下げ要因となった「輸送機械」の生産波及力が2.5で最も大きいことがわかる。これ対して、今回の調整局面で最大の押し下げ要因となっている「電子部品」は1.8と製造業の中では比較的低めとなっている。

 更に、最新の産業連関表の逆行列係数表を用いて、各部門の影響力係数と感応度係数を見ると、前回の調整局面の主因となった「輸送機械」の影響力係数は1.40に対して感応度係数は1.09となる。つまり、「輸送機械」は他部門の生産活動に大きく影響を与える一方で、他部門の生産活動からの影響も受けやすいことがわかる。

 それに対して、今回の調整局面の主因である「はん用機械」「生産用機械」「業務用機械」等は影響力・感応度のいずれの係数も「輸送機械」よりも大幅に低く、他部門の生産活動に与える影響も、他部門の生産活動からの影響も「輸送機械」より低いことがわかる。(第224話に続きます。)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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投稿者:

ジパング・ジャパン

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