エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第217話)

第217話:6月短観から見た19年度業績見通し

 7月1~2日にかけて公表された6月短観の大企業調査は、6月下旬にかけて金融・保険を除く資本金10億円以上の大企業約1900社に対して行った調査であり、先月公表された法人企業景気予測調査に続いて、今期業績予想の先行指標として注目される。

 まず売上高を見ると、19年度は下期にかけて伸び鈍化となるものの、前回調査からは上期下期とも+0.5%ポイントの上方修正となっている。一方、経常利益は19年度上期で減益率が大幅に拡大しており、前回調査からの修正率も▲5.8%ポイントとなっている。ただし、下期に関しては前年比で+1.6%と増益に転じる見込みは変わってない。このことから、企業は業績の底を今年度前半と見ており、今年度後半は持ち直すと予想している。

 つまり、産業全体で見れば、売上高の半期ごとの伸び率は19年度下期に伸び鈍化に転じるものの、経常利益については19年度下期に増収増益を計画する姿に変わりは無い。特に、年度後半に向けて半導体電子部品を含む情報関連財の在庫循環の底打ちが見え始め、収益回復への市場の期待が高まれば、株式相場の押し上げ要因となることも期待されるだろう。

 続いて、6月短観の売上高計画を基に、上方修正が見込まれる業種を選定してみたい。結果を見ると、製造業では「鉄鋼」「生産用機械」、非製造業では「物品賃貸」を除く全ての業種で増収計画となる中で、前回調査から最大の上方修正率となっているのが「鉄鋼」の+28.5%である。それに続くのが「木材・木製品」の同+8.1%、「通信」の同+2.7%であり、素材業種の上方修正が目立つ。

 従って、19年度の業績見通しにおいては、こうした業種に関連する企業について売上高計画が注目されよう。特に今回は、昨年度に設備老朽化に伴う操業トラブルが相次いだ「鉄鋼」に加え、「情報通信」も引き続き旺盛な日本企業のIT投資意欲の恩恵を受けそうだ。

 続いて、6月短観の経常利益計画から上方修正が期待される業種を見通してみよう。結果を見ると、上方修正幅が最も大きいのは燃料価格や原料の古紙調達価格が落ち着いた「紙・パルプ」の+11.5%となる。それに続くのが、インバウンドに加えて10連休や改元の恩恵を大きく受けた可能性がある「宿泊・飲食サービス」の+8.6%、鉄鉱石や原油価格上昇の恩恵を受けやすい商社を含む「卸売」の+7.5%となる。

 このように、今期の経常利益見通しでは、上方修正が期待される業種として、インバウンドや改元・10連休の恩恵を受けたサービス関連に加えて、昨年度に原油をはじめとした市況価格急変動の悪影響を受けた紙・パルプや、資源メジャー減産に伴う鉄鉱石価格の高止まりの恩恵を受けやすい商社を含む卸売関連が期待される。

 これら以外の業種でも、既存ビルの稼働率改善に伴う賃料増加等により、オフィス市況が好調な不動産も上方修正となっていることにも注目だろう。
 
永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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投稿者:

ジパング・ジャパン

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