エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第204話)

第204話:昨年11月の懸念が現実のものに

 足元の経済動向について、昨年11月5日に公表したレポートで指摘した「既に日本経済は景気後退局面入りしている可能性がある」との筆者の懸念が現実味を帯びてきている。背景には、景気に先行するとされる株価の昨年10月以降の下落速度が、アベノミクス以降で見ると非常に大きかったことがある。(下線をクリックするとレポートが読めます)

 実際、2012年12月のアベノミクス始動以降の日経平均株価の月間下落率を大きい順に並べると、最大の下落幅を記録したのが世界経済の悪化懸念が強まった2018年12月であり、それまで最大であったイギリスの国民投票で予想外のEU離脱が決まった2016年6月を上回っている。更に、第三位も2018年10月だったことからすると、昨年10-12月期はアベノミクス以降で最大の株価調整が起こったことがわかる。

 こうした状況は、既に実体経済にも影響が出ている。事実、日本の製造PMI(景況指数)を見ると、昨年1月から急落し、2月には30ヶ月ぶりに好不調の分かれ目となる 50 割れとなっている。

 また、経済成長率が鉱工業生産の変化率と関係が深いことから見れば、日本経済は 2019 年1-3月に大幅マイナス成長になる可能性も出ている。実際、2019年2月分の生産予測指数の経産省試算値と同3月分の生産予測指数を基に、2019年1-3月期の前期比を機械的に計算すると、前期比▲4.4%と大幅マイナスになると試算される。

 この結果に基づけば、既に昨年4-6月期が水準のピークとなっている実質GDPが2019年1-3月期に大幅マイナス成長になる可能性もあり、非常に厳しい状況といえる。

 一般的に、景気がピークアウトしたことを簡便的に判断するには、経済成長率が2期連続でマイナスになったか、もしくは景気動向指数の一致CIや鉱工業生産がピークアウトしたか等により判断される。こうした中、このまま景気後退が認定されなければ、2019年1月には戦後最長の景気拡大期間となる 73か月を更新することになっていた。

 一方、景気の現状を示す代表的な指標とされる一致CI・鉱工業生産指数とも2018年10月をピークに低下基調にあることからすると、景気後退時期に関する議論が盛り上がることも不思議ではない。ただし、そもそもこうした判断はあくまで目安にすぎず、経済成長率や鉱工業生産、一致CI等の動向を見ているだけでは、景気の正確な転換点は決められない。

 そこで次回、実際に政府が景気の転換点を判断する際に用いる手法を簡便的に再現することにより、いわゆる「景気の山」が事後的に判定される可能性があるかについて検討してみる。(第205話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

さてこの度、永濱氏の書籍が出版となりましたので、ご案内させていただきます。何卒よろしくお願いします。

『エコノミストの父が子どもたちにこれだけは教えておきたい大切なお金の話』~自分の息子と娘のために語り下ろす「お金」の教科書~


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〇「クレジットカードの仕組み」「なぜカンタンにお金が借りられる?」「友だちとのお金の貸し借り」「ものの値段の決まり方」「バイト代や給料の仕組み」「お金がなくなったときどうすればいいのか」「お金を増やすことはできるのか」「無料はほんとうに得なのか?」「君たちもすでに税金を払っている」「修学旅行や部活にだって保険はある」など、中高生の日常に身近なことから「お金とのつきあいかた」を教える。

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投稿者:

ジパング・ジャパン

「にっぽん」を世界へ、情報発信していく会社です。

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