エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第173話)

第173話:政界で活発になるサマータイム導入の動き

 夏の間、時計の針を進めるサマータイム制の導入を目指す動きが出ている。その中で、サマータイムの導入に伴って我々の生活活動時間内に明るい時間が増加すれば、娯楽・レジャー・外食等への出費増を通じて経済効果をもたらす可能性があることが指摘されている。事実、既に(財)社会経済生産性本部がサマータイムの経済社会に与えるインパクトを調査しており、短期的な直接効果と長期的な間接効果の両面から報告している。ただし、こうした効果の中には省エネやライフスタイル変化による効果が含まれており、必ずしも短期的にGDPに影響を及ぼすとは限らない。また、経済波及効果についても、余暇需要の増加といった切り口から産業連関表を用いて産業毎の生産および付加価値誘発額を試算している。しかし、サマータイムの導入で増加するのは余暇時間そのものではなく、余暇時間に占める日照時間である。

 そもそもサマータイム(夏時間)の定義としては、日照時間が増加する時期に時計の針を早めて早起きをし、その明るい時間を有効に活用しようとするものである。

 世界では、欧州40カ国をはじめ、60カ国がサマータイム制を実施しており、特にOECD加盟国では35か国中31カ国がサマータイムを実施している。そして、未実施国としては日本、韓国、アイスランド、トルコと少数派である。

 こうした導入国では、ライフスタイルの改善や余暇の充実、省エネ・環境保護の推進、観光の振興、治安などの面で評価されており、市民生活に根付いた制度となっている。

 ただ、日本でも戦後にGHQの指令によりサマータイム制度を実施したが、国民の理解を得られず4年で廃止となった。そして、その後に何度も省エネ目的で検討されたが、結果的に見送られている。

 一般的なサマータイム導入の効果としては、電気などの使用を控えることでエネルギーの節約や温暖化ガスの削減に役立つことのほか、退社後の明るい余暇の時間ができることで、小売店などの売り上げ増や仕事のあとの時間を楽しむことができるなどが指摘されている。ただ海外の事例では、もっとも明確な効果として交通安全・防犯効果が指摘されている。

 なお省エネ効果としては、チームマイナス6%(地球温暖化の一因とされる温室効果ガスを抑制するために2005年〜2009年12月まで日本国政府が主導したプロジェクト)が、4-9月までの6ヶ月において1時間サマータイムを実施しても、原油換算の節約量は政府の省エネ対策目標の1%に満たないが、約25万世帯の1年分のエネルギー消費量に相当すると指摘していた。また、サマータイムに伴う年2回の時計変更により、少なくとも年2回サマータイムの意義や環境問題についてPRすることで、更なる省エネに寄与するとの指摘もある。(第174話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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投稿者:

ジパング・ジャパン

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