エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第188話)

第188話:景気後退瀬戸際の日本経済

 足元の経済動向について、筆者は非常に危機感を抱いている。背景には、10月の株価の下落速度がアベノミクス以降で見ると非常に大きかったことがある。

 実際2012年12月のアベノミクス始動以降の日経平均株価の月間下落率を大きい順に並べると、最大の下落幅を記録したのがイギリスの国民投票で予想外のEU離脱が決まった2016年6月であり、実にその次が2018年10月の株価下落である。つまり、2016年2月のチャイナショック第二弾、2015年8月のチャイナショック第一弾を上回る非常に大きな株価の調整が起こったことがわかる。

 こうした状況は、既に実体経済にも影響が出ている。事実、街角景気指数とされる景気ウォッチャー調査を見ると、現状判断DIが今年1月分から10か月連続で好不調の分かれ目となる50割れとなっている。また、経済成長率が鉱工業生産の変化率と関係が深いことから見れば、日本経済は2018年7-9月から2期連続でマイナス成長になる可能性も出てきた。実際、2018年10月分の生産予測指数の経産省試算値と同11月分の生産予測指数を基に、2018年10-12月期の前期比を機械的に計算すると、2018年7-9月期の前期比▲1.6%に続いて前期比▲0.2%と2期連続マイナスになると試算される。この結果に基づけば、既に7-9月期にマイナス成長となっている経済成長率が10-12月期もマイナスになる可能性もあり、非常に厳しい状況といえる。

 一般的に、景気がピークアウトしたことを簡便的に判断するには、経済成長率が2期連続でマイナスになったか、もしくは景気動向指数の一致CIや鉱工業生産がピークアウトしたか、等により判断される。こうした中、過去の景気回復局面と比較すると、このまま景気後退が認定されなければ、2018年12月には戦後最長の景気拡大期間となる73か月に並ぶことになる。

 一方、景気の現状を示す代表的な指標とされる一致CI・鉱工業生産指数とも昨年12月をピークに低下基調にあることからすると、今後もこの環境が続けば、景気後退時期に関する議論が盛り上がることになろう。なお、足元の景気動向に関しては、自然災害に伴う一時的な悪化と判断する向きもあるが、今後の景気動向を見通す上では、米国の金利上昇や保護主義の悪影響といった押し下げリスクが潜んでいることには注意が必要であろう。

 特に、米国の金利上昇に関しては、このままいけば来年前半中にもFFレートが中立金利を上回る可能性があり、米経済や新興国経済の足を引っ張るとみられる。また、米中貿易摩擦についても、年内に米中の歩み寄りがなければ、年明け以降は追加関税の幅が引き上げられることになっている。従って、国内の自然災害の影響も合わせて、今後の海外経済の動向次第で日本経済の景気後退局面入りの可能性が高まれば、来年10月に控える消費税率引き上げを先送りする理由になる可能性もあろう。消費増税の行方を見る上でも今後の景気動向からは目が離せない。(第189話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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投稿者:

ジパング・ジャパン

「にっぽん」を世界へ、情報発信していく会社です。

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