エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第187話)

第187話:キーワードは「国際化」

 東京五輪開催で最も注意しなければならないのは、開催後の経済の反動減だろう。2次利用できない施設は、負の遺産となることも考えられる。需要の先食いと実需の減少によって、開催後のGDPは0.4%押し下げられることが予測され、その対策が求められよう。

 また、インフラ整備の名を借りて、無駄なものを作りすぎると財政の健全化にマイナスに働くことも考えられる。投資先は集中と選択で選ばなければならない。

 建設投資の他に経済効果として期待できるのが、外国人観光客の増加である。

 政府は2020年に4000万人の誘致を目指している。実現のためには、外国人が訪問しやすい環境を整える必要がある。

 空港を見ても、国際線の発着便の少なさに加えて旅客機の離着陸料の高さも改善されていない。また、道路の案内標識はローマ字のためわかりづらく、交通機関のアナウンスも英語だけのところもまだある。また、ショッピングを楽しみたくても言葉が通じない店舗が依然として多い。

 こうした課題の解決は、実は外国企業の誘致にもつながることが期待される。日本に進出希望の企業にアンケート調査を行うと、ビジネス環境に求める改善点と観光客の不満点は共通している。「世界で最もビジネスをしやすい国をつくる」ことはアベノミクスの目標の一つであるため、オリンピックを契機に変えていくべきだろう。

 観光産業がこれから成長する素地が十分にあるわけだが、その魅力ある観光地づくりの一例として考えられるのがIRである。

 IRは、外国人観光客のリピーターを増やすのに有効な手段である。実際、シンガポールやマカオは、カジノで外国人観光客を急増させた。大阪や北海道、九州、和歌山等、すでに候補地が絞られてきており、2023~2024年ごろに開業との見通しもある。

 また、訪日増加のターゲットとして力を入れたい国はインドである。購買力を持つ中間層が日本の総人口より多いものの、観光客として訪れる人はまだ少ない。たとえば、インド映画のロケ地として売り込むのも一つの方法かもしれない。スイスはロケ地の誘致で知名度を大きく上げ、インド人観光客が多数訪れるようになった。観光客を増やすには、まず日本に興味を持ってもらうことから始めるべきだろう。

 オリンピック開催を控え、今後成長が見込めそうな分野をキーワードにすると「国際化」である。また、食や農産物等にもビジネスチャンスがあり、各地域は情報発信の仕組みづくりに重点を置くべきである。オリンピック開催後も反動減の少ない分野を狙い、今から市場開拓を進めるべきだろう。(第188話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

さてこの度、永濱氏の書籍が出版となりましたので、ご案内させていただきます。何卒よろしくお願いします。

『エコノミストの父が子どもたちにこれだけは教えておきたい大切なお金の話』~自分の息子と娘のために語り下ろす「お金」の教科書~


〇教育現場でも中高生から経済学や投資の基礎知識などを教えるべき、という声が広がっているが、それ以前にもっと身近な「お金とのつきあいかた」を知るべきではないか、という思いを込めた1冊。

〇「クレジットカードの仕組み」「なぜカンタンにお金が借りられる?」「友だちとのお金の貸し借り」「ものの値段の決まり方」「バイト代や給料の仕組み」「お金がなくなったときどうすればいいのか」「お金を増やすことはできるのか」「無料はほんとうに得なのか?」「君たちもすでに税金を払っている」「修学旅行や部活にだって保険はある」など、中高生の日常に身近なことから「お金とのつきあいかた」を教える。

〇お金で不幸にならないために、お金で人を不幸にしないために、父親としての願いをまとめた一冊。

(ご購入はお近くの書店か上の「本の表紙」をクリックしてください。)

投稿者:

ジパング・ジャパン

「にっぽん」を世界へ、情報発信していく会社です。

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