エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第180話)

第180話:戦後2番目の景気回復はいつまで続くか

 日本の景気回復は、曲がりなりにも2017年9月から戦後2番目の長さとなっている。ただ、筆者の見通しでは2019年度後半あたりから景気が悪くなる可能性が高いと予測している。その要因としては、既に戦後2番目の長さになっている米国経済が今後景気後退に転じる可能性があることや、東京五輪特需のピークアウト、2019年10月の消費税率引上げ等が考えられる。

 実際に「ESPフォーキャスト調査」では、2018年度から2019年度にかけて経済成長が緩やかに減速していくと予測されている。尚、2018年度の減速の一因は、2017年度は4年ぶりに増加に転じた公共事業が減少に転じるためである。また世界経済についても、2017年末にかけて欧米の生産活動が良すぎた反動もあり、2018年の生産活動の回復は少し緩やかになっている。ただし特に、米国は2017年末に決まったトランプ減税の効果で、少なくとも2019年前半頃までは好調が続くだろう。

 数少ない期待される消費の分野としては、2009年に導入されたエコカー補助金と省エネ家電の購入を促すエコポイント制度から9年が経過しており、当時売れたテレビや車の買い替え需要が期待できよう。特にテレビについては、2011年の地デジ化の影響もあり、2019年10月に控える消費税率引き上げ前の駆け込み需要も合わせると、かなり大きな買い替え需要が見込まれる。

 しかし、経済は循環しているため、いつかは景気後退局面が訪れよう。その要因としては、米国経済の減速や景気後退、東京五輪特需の剥落、消費税増税などがある。中でも消費税増税の時期については、注意が必要だろう。実際、近年の日本の個人消費が大きく下振れした時期はこれまでリーマンショック、東日本大震災、2014年の消費増税の3度あった。下振れの時期は、リーマンショックは2年、東日本大震災は1年にとどまったのに対し、2014年4月の消費増税の時は3年かかった。更に、個人消費のトレンドという面でみれば、前2つは上方トレンドが維持されたが、消費増税時は上方トレンドが下方屈折してしまった。このことからも、消費増税時には経済の勢いが大幅に削がれることが経験的にわかっている。

 なお、消費税増税の負担額については、2014年に3%引き上げられたときには家計の負担は8兆円以上だった。来年10月の増税では上げ幅自体は2%だが、子育て世代への1.4兆円の還付や軽減税率などを考えると、トータルの負担は2.2兆円となり、負担額だけで見れば前回の4分の1程度だろう。更に、景気対策も実施するため、消費増税のみで日本経済が腰折れすることはないだろう。しかし問題は時期である。過去の経験に基づけば、2020年の東京五輪の特需のピークは来年夏が予想される。建設需要の勢いがピークアウトすることが予想されるためである。つまり、東京五輪特需の勢いがピークアウトするタイミングで消費税増税に突入するため。つまり、ピークが過ぎた後の増税はタイミングとしては最悪であると考えられている。(第181話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

さてこの度、永濱氏の書籍が出版となりましたので、ご案内させていただきます。何卒よろしくお願いします。

『エコノミストの父が子どもたちにこれだけは教えておきたい大切なお金の話』~自分の息子と娘のために語り下ろす「お金」の教科書~


〇教育現場でも中高生から経済学や投資の基礎知識などを教えるべき、という声が広がっているが、それ以前にもっと身近な「お金とのつきあいかた」を知るべきではないか、という思いを込めた1冊。

〇「クレジットカードの仕組み」「なぜカンタンにお金が借りられる?」「友だちとのお金の貸し借り」「ものの値段の決まり方」「バイト代や給料の仕組み」「お金がなくなったときどうすればいいのか」「お金を増やすことはできるのか」「無料はほんとうに得なのか?」「君たちもすでに税金を払っている」「修学旅行や部活にだって保険はある」など、中高生の日常に身近なことから「お金とのつきあいかた」を教える。

〇お金で不幸にならないために、お金で人を不幸にしないために、父親としての願いをまとめた一冊。

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投稿者:

ジパング・ジャパン

「にっぽん」を世界へ、情報発信していく会社です。

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