エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第157話)

第157話:「営業利益」>「経常利益」は過去の話

 2018年3月期の上場企業の経常利益は6年連続で増加し、過去最高を更新する見込みとなっている。

 企業の利益とは、売上から原材料等の費用を引いたものであり、企業の経営成績として位置づけられる。

 財務省では、金融・保険業を除く資本金一千万円以上の法人企業の単体財務諸表を集計した「法人企業統計季報」を作成しており、業種別、規模別に見た日本企業の利益動向を四半期ごとに確認できる。

 法人企業統計季報の中で公表される利益は2つある。一つ目は、企業の本業から生み出した利益を示す「営業利益」である。これは、売上高から売上原価や販売費、一般管理費を差し引いて算出される。二つ目は「経常利益」である。これは、営業利益に支払利息や受取利息等、その他の営業外損益といった本業以外の日常的に発生する損益を加えたものである。一般的には企業の経常的な活動から生まれる利益として、経常利益が重視される。

 企業の利益は経済環境に大きく左右される。例えば、輸出に力強さが増せば、輸出関連商品を扱う業種の利益は増加しやすくなる。また、資源価格が上昇すれば、原材料コストが上昇して企業全般の利益悪化要因となる一方、資源国向けの輸出を収益源とする一部業種にとっては恩恵が及ぶこともある。更に、賃金が低迷すれば、内需関連の商品やサービスを扱う業種の利益は低迷することが多い。為替相場の動向も輸出入金額の変化を通じて利益に影響を及ぼす。

 こうした中、2000年代以降における我が国企業の利益構造に特徴的な変化が起きている。統計開始の1956年以来、常に「営業利益>経常利益」であったが、2005年以降はその関係が逆転している。背景には、金利の低下や債務削減による支払利息減少の影響もある。しかし、それ以上に影響が大きいのが、受取利息等に反映される海外子会社からの配当や特許使用料が増加していることだ。このことは、我が国企業の海外事業の収益性が高まっており、海外現地法人の稼いだ利益が国内に還流する影響が大きくなっていることを示している。国内の人口減少や高齢化を考えると、日本企業がグローバル化の対応を更に進めることが避けられないことから、今後も「経常利益>営業利益」の関係が続く可能性が高いだろう。(第158話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

さてこの度、永濱氏の書籍が出版となりましたので、ご案内させていただきます。何卒よろしくお願いします。

『エコノミストの父が子どもたちにこれだけは教えておきたい大切なお金の話』~自分の息子と娘のために語り下ろす「お金」の教科書~


〇教育現場でも中高生から経済学や投資の基礎知識などを教えるべき、という声が広がっているが、それ以前にもっと身近な「お金とのつきあいかた」を知るべきではないか、という思いを込めた1冊。

〇「クレジットカードの仕組み」「なぜカンタンにお金が借りられる?」「友だちとのお金の貸し借り」「ものの値段の決まり方」「バイト代や給料の仕組み」「お金がなくなったときどうすればいいのか」「お金を増やすことはできるのか」「無料はほんとうに得なのか?」「君たちもすでに税金を払っている」「修学旅行や部活にだって保険はある」など、中高生の日常に身近なことから「お金とのつきあいかた」を教える。

〇お金で不幸にならないために、お金で人を不幸にしないために、父親としての願いをまとめた一冊。

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投稿者:

ジパング・ジャパン

「にっぽん」を世界へ、情報発信していく会社です。

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