エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第120話)

第120話:今夏は猛暑の見込み

 今夏は暑くなることが予想されている。気象庁が6月23日に発表した7‐9月の3ヵ月予報によると、太平洋高気圧の張り出しが強く、暖かい空気に覆われやすいため、気温は全国的に平年より高くなる見込みとされている。

 近年では、2010年が観測史上最も暑い夏と呼ばれている。当時の気象庁の発表によると、6~8月の全国の平均気温は平年より1.64℃高くなり、1898年の統計開始以来、最高の暑さとなった。この猛暑効果で、2010年6月、7月のビール系飲料の課税数量は前年比2ヵ月連続プラスとなった。同様に、コンビニ売上高も麺類や飲料など夏の主力商品が好調に推移したことから、既存店前年比で7月以降2ヵ月連続プラスとなった。

 また、小売業界全体を見ても猛暑効果は明確に現れた。7月の小売業界の既存店売上高伸び率は猛暑の影響で季節商材の動きが活発化し、百貨店、スーパーとも盛夏商材が伸長したことで回復が進んだ。家電量販店の販売動向もエアコンが牽引し、全体として好調に推移した。

 2010年は小売業界以外にも、猛暑の恩恵が及んだ。外食産業市場の全店売上高は7月以降の前年比で2ヵ月連続のプラスとなり、飲料向けを中心にダンボールの販売数量も大幅に増加した。また、ドリンク剤やスキンケアの売上好調により、製薬関連でも猛暑が追い風となった。

 さらに、乳製品やアイスクリームが好調に推移した乳業関連も、円高進行による輸入原材料の調達コストの減少も相俟って、好調に推移した。化粧品関連でも、ボディペーパーなど好調な季節商材が目立った。一方、ガス関連は猛暑で需要が減り、医療用医薬品はお年寄りの通院が遠のいたことなどにより、猛暑がマイナスに作用したようだ。

 以上の事実を勘案すると、仮に今年の夏も猛暑となれば、幅広い業界に恩恵が及ぶ可能性がある。

 事実、過去の実績によれば、猛暑で業績が左右される代表的な業界としてはエアコン関連や飲料関連がある。また、目薬や日焼け止め関連のほか、旅行や水不足関連も過去の猛暑では業績が大きく左右された。そのほか、冷菓関連や日傘・虫除け関連といった業界も、猛暑の年には業績が好調になることが多い。

さらに、飲料の販売比率の高いコンビニや猛暑による消費拡大効果で、広告代理店の受注も増加しやすい。缶・ペットボトルやそれらに貼るラベルを製造するメーカー、原材料となるアルミニウム圧延メーカー、それを包装するダンボールメーカーなどへの影響も目立つ。

 さらには、ファミレスなどの外食、消費拡大効果で荷動きが活発になる運輸、猛暑で外出しにくくなることにより販売が増える宅配関連なども、猛暑で業績が上がったことがある。一方、食料品関連やガス関連、テーマパーク関連、衣類関連などの業績には、過去に猛暑がマイナスに作用した経験が観測される。(第121話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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投稿者:

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