エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第109話)

第109話:今後の経済展望と投資環境

 去年の秋頃から世界の景気循環が上向いてきている。景気循環は一旦上向けばすぐには腰折れしないため、少なくとも来年程度迄は景気拡張期が続くのではないかと考えられる。

 去年の秋頃に上向くまで2年程度、製造業の景気循環は低迷していた。トリガーは中国である。製造業PMIを確認すると、2014年の秋頃から中国が50を下回り始め、少し遅れて米国が50を下回り、その後日本も50を下回った。

 そして今回、明確に中国の生産が戻ってきている。これが景気循環のエンジンになって、先進国に良い波及効果をもたらしている。中国は今年10月に5年に一度の共産党大会があるため、過去の経験則に従えば、それまではあらゆる手を使ってでも景気を支えるだろうという安心感がある。

 今年の経済成長は製造業循環が上向く要因がメインで加速し、来年の経済成長はトランプ氏の拡張的な財政政策の効果がメインで更に加速すると見ている。しかし、トランプ氏が主張する金額の半分くらいでも拡張的な財政政策が実現すれば、恐らく米国経済に過熱感がでてくると思われるため、FRBが利上げペースを速める可能性が高いと見ている。

 過去の経験則では「経済が過熱するなかでFRBが利上げを加速する」局面はリセッション入りのサインだった。従って、今後の見通しの結論としては、ざっくりと2017年と2018年は経済堅調、2019年頃から景気後退入りというイメージである。

 そのような経済環境の中では、単純に景気が良い業種や、業績が良い企業に投資しても、必ずしも良好なパフォーマンスをあげるとは限らないことに注意が必要だろう。

 個人投資家が耳寄りな情報を掴んだとしても、大抵の場合は市場はすでにその情報を織り込んでおり、それまでに多くの投資家がポジションを作っている可能性が高い。その耳寄りな情報が正しかったとしても、高値圏の銘柄を掴んでは仕方がない。もちろん、景況感の方向性を見るのは重要だが、それ以上にバリエーション的に割高か割安かの視点を持つ方が重要だろう。

 指標や業績発表は、発表されれば価格に織り込まれてしまうため、最大のポイントはマーケットに影響を及ぼすようなイベントを事前に確認して、直前直後にどう投資判断するのかだろう。

 例えば、2016年を振り返れば、Brexitと米国大統領選挙という絶好の買い場があった。背景には、今のマーケットはアルゴリズム取引の存在感が増しているため、イベントで想定外のことが起きると、オーバーシュートする可能性が高いことがある。

 2月末にはNYダウが13連騰したが、どう考えても割安ではない。1年間このままいくとは思わない。欧州主要国での選挙も多く、いかにそういうイベントを早めに認知して、割安な局面で仕込めるかが年間パフォーマンスの優劣を決めると思われる。

 特に日本のマーケットは非常にボラティリティが高いため、こういったマーケット環境では、利益をあげるチャンスは多くなるのではないだろうか。(第110話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

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投稿者:

ジパング・ジャパン

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