エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第1話)

第1話:2015年は地方でも景気回復を実感

 地方経済の厳しさが報じられているが、その背景には、大胆な金融緩和に伴う円安でエネルギーコストが上がったこともある。エネルギーや燃料は地方の方がより生活必需であり、このダメージが大きかったからである。

 ただし、原油価格が下落していることが、今後相当プラスに効くことが期待される。足元の原油価格をみると、2014年夏から5割以上低下する一方で、円安が2割弱進んでいるため、円建てでは3割以上下落している。原油価格が下がれば天然ガスも下がるため、仮にこの状態が今年1年間続けば、10兆円単位の所得の海外流出を抑制することができる。

 加えて、今年度の補正予算で、政府の再分配政策として地方の低所得者層向けに商品券などの配布、住宅エコポイント、フラット35Sの優遇を増やすことなども検討されている。今後、地方でも景気回復が徐々に波及すると思われる。

 世界経済にとって原油価格が低下することのプラス効果は非常に大きい。特に日本の最大の輸出相手先であるアジア諸国ではネットで原油を輸入している国が多いため、原油価格の下落が相当プラスになる。原油価格の下落は日本の輸出にとっても相当な追い風となろう。

 一方、米国経済も順調に推移すると思われる。米国経済はリーマン・ショックで相当落ち込んだことから需給ギャップがあり、まだ水準的に上がる余地がある。このため利上げが実施されても当面は低金利が続き、米国経済にとって良い環境が続くと思われる。

 他方、中国は経済構造を考えると高度成長から安定成長への移行期であり、ゆるやかに減速する局面にある。不動産市場の調整が懸念材だが、政策のテコ入れが行われ始めていることからすれば、減速しながらも6%台後半の成長が期待できる。また、欧州でもデフレ懸念があるが、ようやく欧州中央銀行も量的緩和に舵を切らざるをえない状況になってきたため、2015年は若干持ち直すと思われる。

 外国人観光客の誘致も重要な成長戦略といえる。政府は2020年までに訪日外国人旅行者数2,000万人を目標に観光立国を目指し、観光ビザの発給要件を緩和している。外国人観光客も2012年は836万人、2013年は1,036万人、2014年は1,300万人に達した可能性が高い。

 外国人観光客の経済効果は大きく、1,000万人観光客が増えれば、現在の外国人観光客の消費額でみても1.5兆円以上消費が増えることになる。島国英国でも3,000万人以上の観光客があることからすれば、日本も3,000万人程度の外国人観光客が訪れてもおかしくない。地方でも観光資源を生かすことで、地域経済を活性化させることは可能なはずである。(第2話に続きます)

第一生命経済研究所  主席エコノミスト 永濱 利廣
第一生命経済研究所 
主席エコノミスト 永濱 利廣

濱 利廣 (ながはま としひろ)
第一生命経済研究所 主席エコノミスト

95年早稲田大学理工学部卒、05年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。
95年4月第一生命保険入社。98年4月より日本経済研究センター出向。 00年4月より第一生命経済研究所経済調査部副主任研究員、04年4月より同主任エコノミストを経て、08年4月より現職。

著書

「経済指標はこう読む」(平凡社新書)、「中学生でもわかる経済学」(KKベストセラーズ)、「スクリューフレーション・ショック」(朝日新聞出版)、「男性不況」(東洋経済新報社)、「図解90分でわかる!日本で一番やさしい『アベノミクス』超入門」(東洋経済新報社)、「図解90分でわかる!日本で一番やさしい『財政危機』超入門」(東洋経済新報社)、「エコノミストが教える経済指標の本当の使い方」(平凡社)、「知識ゼロからの経済指標」(幻冬舎)等。

経済財政諮問会議政策コメンテーター、総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事兼事務局長、一橋大学大学院商学研究科非常勤講師、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、㈱あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使。

投稿者:

ジパング・ジャパン

「にっぽん」を世界へ、情報発信していく会社です。

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