清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第180話)

第180話:「明日」は「今日」より明るい日と思って生きること。

 1970年代に流行した歌に“明日という字は明るい日と書くのね・・・♪”という歌詞のものがありました。また、カバー曲も再ヒットした“明日(あした)があるさ明日(あす)がある・・・♪”という歌も。自分自身が10代、20代の頃に口ずさんだ歌です。そして、その歌詞そのままに、明日という日に何がしかの新しさを追い求めていたように思います。

 今日は昨日からの連続であって、明日は今日の延伸。日々の暮らしに、それ程大きな節目が毎日のように起きるわけではありません。しかし、連続する時の流れの中でも、自分自身が節目をつくろうと意識することはできるでしょう。大きく変えるのではなく、小さな変革への個人的な意志の表明と確認を繰り返すことです。それ程難しいことではなく「今やっていることは、それ程楽しいことではないが、この作業が終われば、次は未来を語り合うセッションが待っている・・・」「自分のこの作業が、明日準備されている多くの人の雑役を軽減することになる・・・」仕事は連続性を持って進められます。その中で、自分自身が何をやっているのか、ということよりも、「何故やっているのか」を常に問えば良いのです。

 しかし、どうも最近の社会的風潮に「明日」が見えてこない。明日のことを思い描くよりも、今日・今のことを受け入れて楽しく過ごせばいい、といった価値観が見え隠れしているように思えます。あるいは、明日何かを描こうとしても、その何かすら持ち合わせていないのでしょうか。朝早くから、昨夜の遊び疲れをそのままに徘徊する若者。学ぶことも働くことも放棄した輩。君たちにも、明日はやってきます。やってきてしまう、という方が良いかもしれません。

 今日からの連続をどうする。そんなことを言われなくても・・・といわれるかもしれない。しかし私はやはり、明日は明るい日であることを想って、今日を過ごして生きたいと思います。

2016-11-16%ef%bc%9a%e4%b9%9d%e5%b7%9e%e7%94%9f%e7%94%a3%e6%80%a7%e2%91%a0

 2016年11月の九州生産性本部での授業風景
株式会社マップス 
代表取締役 清野 裕司

10冊目の新書が出ましたので是非お読みください。

清野裕司の「ビジネス心論」


今、マーケティング・スタッフには効率よく作業をこなすためのスキルを高めることよりも、幅広い視野で変化を敏感に捉える感度(センス)が問われています。起きている現象を見る目だけではなく、時にもう一つの目(心眼)を開いて、今迄と今を見直し、明日への道を切り拓いて行くように、自らの心に問う学びの志です。
学ぶこと考えることの楽しさを知った自らのビジネス体験を、次代へと歩み行く方々に伝承しておきたいと考えて「心論」と題しました。

※内容の案内/購入手続きはコチラ

Amazon からのご購入はこちら  をクリックしてください。

その他の書籍は下の写真をクリックしてください。

DSC_0165
その他の著書は上の写真をクリックしてアマゾンからご購入ください。

 

エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第253話)

第253話:「コロナショック」に必要な経済対策メニュー⓶

 自民党内の一部で出ている「消費税率0%」案は、短期間の時限措置であれば、かなりの消費押し上げ効果が期待できるかもしれない。しかし、仮に新型コロナウィルスの終息宣言が出るまで、というように期限を区切ったとしても、それが1年続くと、消費税収に代わる27兆円以上の財源が必要になる。従って、仮に9カ月続いても財源が4.3兆円程度で済む全品目への軽減税率適用で、昨年⒑月の消費税率10%引き上げ前の8%の税率に時限措置で戻す案の方が現実的といえよう。

 また、リーマンショック時の土日祝高速料金引き下げは渋滞を引き起こすことになって失敗した。したがって、当時の経験から考えると、今回は新型コロナ問題が収束した後に、全国的な行楽や旅行需要を早期に回復させるべく、平日の高速料金引き下げや旅行・宿泊費の給付などを検討してもいいのではないか。特に平日の高速料金引き下げなら需要の平準化も期待できる。

 設備・住宅投資促進策では、リーマンショックの際には太陽光発電の導入を加速する施策が実施された。今回は、感染拡大を抑えるため企業のテレワークや、全国の学校の臨時休校などが行われたが、リモート設備の導入が中国などに比べて遅れていることが露呈した。従って、追加経済対策では企業のリモート設備導入を加速する施策が必要だ。加えて「リモートニューディール」構想として、学校や家庭にもリモート学習が可能な設備を導入するための支援措置が期待される。

 また、雇用については 雇用維持のために雇用調整・中小企業緊急雇用安定助成金を活用し、失業者に対しては緊急人材育成や就業支援基金で再就職を支援するほか、ふるさと雇用再生特別交付金や緊急雇用創出事業で新たな雇用を作る。企業金融については緊急対策の公的金融機関による緊急貸付や保証枠拡充などの支援が求められる。

 医療や感染症対策ではすでに緊急経済対策でも打ち出されている国内への感染を防ぐための水際対策や国際連携の強化、国内の医療体制の整備などで一層の予算措置が拡充されることが必要だ。

 このように大規模な財政出動を唱えると、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の赤字の拡大を懸念する声もある。だが本来なら、日本はバブル崩壊以降の長期停滞が続いてきた中でもっと早い段階で積極的な財政出動を行い、経済を正常化させるべきだった。

 金融政策に頼りすぎたことで、利子率の低下から投機的動機による貨幣需要が増え一部の不動産投資は増えても、実体経済の回復につながる前向きな投資にはなかなか結び付かず、通常の金融政策が効力を失う、いわば「流動性の罠」に陥っている。

 米国では著名な主流派経済学者達が最近では財政政策の重要性を訴えている。元米財務長官のサマーズ氏は長期停滞論を背景に、自然利子率が低下して金融政策が有効性を失っている状況では、財政政策がより重要としている。元MIT教授でIMFチーフエコノミストだったブランシャール氏も、低金利環境下では財政政策を積極的に活用すべきと訴えていることは傾聴に値しよう。

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

さてこの度、永濱氏の書籍が出版となりましたので、ご案内させていただきます。何卒よろしくお願いします。

MMTとケインズ経済学

21世紀版のケインズ革命は、今まさに起こっているのか?
例外的な環境下において、赤字財政を推進したケインズの学説は、経済学に大きな影響を与え、ケインズ革命と呼ばれた。MMTはインフレ率に注意さえすれば、赤字財政は際限なく出すべきと主張する。本理論は21世紀のケインズ革命となるのか?

第1章  ケインズ経済学の衝撃

第2章  MMTとは

第3章  ケインズ経済学とMMTの違い

第4章  MMTの考え方(MMTは日本で実現するのか?)

第5章 アベノミクスの検証

第6章 日本の財政の誤解

(ご購入はお近くの書店か上の「本の表紙」をクリックしてください。)

エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第252話)

第252話:コロナショックに必要な経済対策メニュー

 コロナショックに必要な経済対策のメニューは、景気後退+消費増税+新型コロナウィルスに合わせ技で対応せざるを得ないことを考えるとリーマン級が必要になる可能性があるため、当時の麻生政権が2009年に打ち出した「経済危機対策」が参考になるだろう。

 具体的には、リーマンショック前後の4回に分けて打ち出された経済対策メニューでは、第一弾が「安心実現のための緊急総合対策」、第二弾が「生活対策」、第三弾が「生活防衛のための緊急対策」、第四弾が「経済危機対策」となっている。

 特に、個人消費向けには多くの対策が掲げられ、定額給付金や土日祝日の高速料金引き下げ、エコカー減税・補助、エコポイントなどの対策が実施された。そして、設備投資や住宅建設促進に向けた対策では、太陽光発電の導入加速のための住宅金融支援機構による低利融資や「スクール・ニューディール」構想等による太陽光導入支援補助金等が実施された。一方、公共投資では補正予算や当初予算の前倒し、雇用支援では雇用調整助成金などの拡充等が行われ、他に医療再生として介護機能強化や子育て支援強化が実施された。

 なお、当時の米国は、2008年時に緊急対策として銀行への公的資金注入や自動車メーカーへの資金支援などを目的に、当時のブッシュ政権が7000憶ドルの緊急予算を用意し、そして、翌2009年にオバマ政権がインフラ投資や失業保険の拡充などを目的に7,800憶ドル規模の景気対策を実施した。

 従って、今回も政府が景気後退+消費増税+新型コロナウィルスの三重苦に伴う景気の下振れに対応するため、一刻も早く政策のパッケージが打ち出されるべきだ。具体的には、昨年⒒月に打ち出された経済対策フレームに加え、当面の生活保障と個人消費や設備投資を喚起するような需要喚起策が2段階で盛り込まれることが期待される。

 まず、生活保障としては、他国でも実施されている現金給付が効果的だろう。ハーバード大学のマンキュー教授も「手始めにすべての米国人に1000ドルの小切手を可能な限り早急に送るべき」としている。所得制限をかける議論などもあるが、今回のショックで最も経済的被害の少ない年金生活者等に給付が集中してしまうため、迅速性を最優先し、所得制限をかけない一律給付の代わりに一時所得扱いにして年末調整で対応すべきだろう。

 ただし、現金補償はあくまで一時的な生活保障である。従って、ウィルス収束後には、個人消費を支える需要喚起策として、すでに予定されているマイナポイント事業に加えて、期間限定の全品目軽減税率導入が有効だろう。そもそも2019年10月の消費増税の際には「リーマン級のことがない限り消費増税を行う」と、政府は言っていた。「現状はリーマンショック以来の不況が来る可能性があり、したがって、例えば今年7月から年度末までの時限措置として全品目に8%軽減税率を導入することで、消費者の負担軽減と家計の購買意欲を高めることも検討に値する。その際、導入前の買い控えは、現金給付と6月に期限を迎えるキャッシュレスポイント還元で補い、来年4月の消費税率を戻す際の駆け込み反動策として、キャッシュレスポイント還元の拡充復活等で対応できるだろう。(第253話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

さてこの度、永濱氏の書籍が出版となりましたので、ご案内させていただきます。何卒よろしくお願いします。

MMTとケインズ経済学

21世紀版のケインズ革命は、今まさに起こっているのか?
例外的な環境下において、赤字財政を推進したケインズの学説は、経済学に大きな影響を与え、ケインズ革命と呼ばれた。MMTはインフレ率に注意さえすれば、赤字財政は際限なく出すべきと主張する。本理論は21世紀のケインズ革命となるのか?

第1章  ケインズ経済学の衝撃

第2章  MMTとは

第3章  ケインズ経済学とMMTの違い

第4章  MMTの考え方(MMTは日本で実現するのか?)

第5章 アベノミクスの検証

第6章 日本の財政の誤解

(ご購入はお近くの書店か上の「本の表紙」をクリックしてください。)

清野裕司のマーケティング・コラム/風を聴く (第179話)

第179話:「探索力」を活かして「探求心」を発揮すること。

 ネット社会に生きる今、日常生活でふと忘れてしまったことや、どうしても思い出せない著名人の名前や施設などの名前。そのような折に便利さを感じるのが、スマホがもつ検索機能の活用です。その言葉自体が浮かばなくとも、周辺の情報や関連のありそうな言葉を入力すれば、まさに関連ありと思われる名前や状況等が一斉にリストとして並んで表記されます。その中から、「うんうん、これこれ」と思い出さなかったテーマや人名・地名を見つけると、うれしさ倍増といったことが何度もあるのではないでしょうか。

 まさに「探索」することは、さしたる労を要さずにできるようになったものです。今も私のワークデスクには、数種類の辞書が並んでいますが、昭和の時代では当たり前の風景でした。しかし、ネット社会の今、分厚い辞書は無用になってしまったようです。

 ただここで、私たちは重要なことを忘れてしまったのではないかと危惧することがあります。それは「探求心」の低減です。単語の検索をして、その意味がわかればその時点で分かったつもりになってしまい、その後の、さらなる探索やあるいは研究にまでの深みを求めなくなってきているように感じます。言葉の広がりはあるものの、深みを感じさせないままに、話が拡散してしまう場面に出会うことがあります。

 プロジェクトのテーマについて話しをしていても、一つの言葉の解釈についての議論はあったとしても、テーマそのものの本質を追求するには至らないということがあります。やはり、上辺の知の底の浅さがなせることでしょうか。今の時代の気になる場面です。

 探索だけの繰り返しでは、上辺の知識が広がっていくだけです。その中で気になったことを探求することで、今度は深みが増していくものです。広がりだけを求めていたのでは、あくまでも表層的なものに過ぎず、いずれ「知」の化けの皮がはがれてしまいます。もっと、「知」の深みを求める探求心を持っていたいと思います。(第180話に続きます)

2016-11-16%ef%bc%9a%e4%b9%9d%e5%b7%9e%e7%94%9f%e7%94%a3%e6%80%a7%e2%91%a0

 2016年11月の九州生産性本部での授業風景
株式会社マップス 
代表取締役 清野 裕司

10冊目の新書が出ましたので是非お読みください。

清野裕司の「ビジネス心論」


今、マーケティング・スタッフには効率よく作業をこなすためのスキルを高めることよりも、幅広い視野で変化を敏感に捉える感度(センス)が問われています。起きている現象を見る目だけではなく、時にもう一つの目(心眼)を開いて、今迄と今を見直し、明日への道を切り拓いて行くように、自らの心に問う学びの志です。
学ぶこと考えることの楽しさを知った自らのビジネス体験を、次代へと歩み行く方々に伝承しておきたいと考えて「心論」と題しました。

※内容の案内/購入手続きはコチラ

Amazon からのご購入はこちら  をクリックしてください。

その他の書籍は下の写真をクリックしてください。

DSC_0165
その他の著書は上の写真をクリックしてアマゾンからご購入ください。

 

エコノミスト永濱利廣の経済コラム (第251話)

第251話:コロナショックに必要な経済対策規模

 政府は新型コロナウィルスの感染拡大による景気悪化に対応すべく、4月に緊急経済対策をまとめることが期待されている。特に経済対策の規模については、景気後退+消費増税+新型コロナウィルスの3重苦に対して、大型の補正予算が組まれることが予想される。そこで以下では、まず必要な経済対策の規模から計測してみよう。

 経済対策の規模を設定する際に一般的に参考にされるのが、潜在GDPと実際の実質GDPのかい離を示すGDPギャップ率である。そして、直近の2019年10-12月期のGDPギャップ率は、内閣府の推計によれば▲1.4%とマイナスに転じている。

 しかし、直近の民間エコノミスト経済成長率平均予測(ESPフォーキャスト3月調査)に基づいてGDPギャップ率を延伸すると、2022年1-3月期時点で▲1.8%のデフレギャップが生じることになる。従って、このGDPギャップを解消するのに必要な規模の経済対策を前提とするだけでも10.0兆円規模の追加の経済対策が必要になる。

 ただし、3月以降に自粛や風評被害が拡大した新型コロナウィルスの影響によって、3月以降の予測でGDPギャップの予測がさらに拡大していることが予想される。実際、過去のGDP統計に基づけば、自粛や風評被害が2四半期にわたって続いた2011年3月の東日本大震災と、3年近くにわたって消費低迷が続いた2014年4月消費増税の時は、GDPの実績がトレンドからそれぞれ▲3.8兆円、▲3.7兆円程度下方に乖離している。

 また消費増税の影響も、前回はトレンドから▲0.9%の乖離にとどまったものの、今回は一昨年11月から景気後退期にあったこともあり、▲2.3%もトレンドから下方に乖離している。

 こうした状況に基づけば、すでに新型コロナウィルス緊急対応策として第一弾で153億円、第二弾で4,308憶円の財政措置を打ち出しているが、これに加えて需給ギャップの解消に必要な需要創出額10兆円以上の財政措置が必要となる。つまり、今回の影響規模からすれば、市場の不安を軽減するという意味でも、既に打ち出されている新型コロナウィルス緊急対応策を除いて、最低でもGDP比で2%近い規模が必要となろう。

 ただ、リーマンショック前後の経済対策は真水でトータル32.2兆円だった。こうしたことからすれば、リーマン級の対策をする場合は、昨年の真水13.2兆円規模の経済対策を除いても20兆円近く必要となろう。

 さらに、トランプ政権がまとめようとしている対策は総額1兆ドルである。そして主なメニューは、現金給付や給与税減免、新型コロナで売上高が急減する航空会社や宿泊業の資金支援が盛り込まれそうだ。従って、経済規模が米国の約四分の一である日本が同等の経済対策を実施するとすれば、25兆円規模の経済対策が必要となろう。(第252話に続きます)

永濱 利廣 氏

第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト
永濱利廣

さてこの度、永濱氏の書籍が出版となりましたので、ご案内させていただきます。何卒よろしくお願いします。

MMTとケインズ経済学

21世紀版のケインズ革命は、今まさに起こっているのか?
例外的な環境下において、赤字財政を推進したケインズの学説は、経済学に大きな影響を与え、ケインズ革命と呼ばれた。MMTはインフレ率に注意さえすれば、赤字財政は際限なく出すべきと主張する。本理論は21世紀のケインズ革命となるのか?

第1章  ケインズ経済学の衝撃

第2章  MMTとは

第3章  ケインズ経済学とMMTの違い

第4章  MMTの考え方(MMTは日本で実現するのか?)

第5章 アベノミクスの検証

第6章 日本の財政の誤解

(ご購入はお近くの書店か上の「本の表紙」をクリックしてください。)